転職ノウハウ

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実録!激辛スーパーリアル面接
日本語教師としてのキャリアをもつ女性が、テレビ局のアナウンサー職に挑む。テレビ局が中途採用者に求めるのは、採用後すぐにでも通用するアナウンス能力だ。だが今回の挑戦者の場合、アナウンサーとしてのキャリアはまったくない。彼女の場合、「なぜアナウンサーを目指すのか?」を面接での基本的な会話能力で示し、職務経歴書に書かれていた英会話の能力をPRできるかが採否の分かれ目となる。
 

vol.31 異業種転職 アナウンサー志望者、面接開始後5分で資質を疑われる

激辛面接官
細田 咲江さん
(Sakie Hosoda)
早稲田大学卒業後、1983年に流通会社に入社。12年間、主に人事部で採用担当や人事教育などに従事。1994年にハナマル キャリアコンサルタントを設立。現在は、高校生や大学生の就職、社会人の転職、主婦向けの再就職に関する講演、執筆など幅広く活躍中。面接官の視点に立ったアドバイスには定評がある。また、埼玉女子短期大学と駒沢女子大学では講師も務める。
今回の募集設定
業種 放送
募集職種 地方のテレビ局が自社制作番組の増加に伴い、アナウンサーの中途採用を実施した。雇用形態は契約社員で1年ごとの契約更新。
応募資格 短大卒以上、30歳まで。
求める人材 即戦力になるアナウンス能力と、局の顔としてのタレント性も求めている。

今回の挑戦者
幡多なつみさん(仮名)
経験年数
未経験。※大学在学中にアナウンス研究会に所属。
年齢・現状
25歳。転職活動中。
職務経歴
大学卒業後に英会話能力を磨くためにアメリカへ語学留学。その後、香港で日本語教師を2年間勤める。帰国後はテレビ局の契約社員として1年間、翻訳や通訳の仕事に従事。
志望動機
自分で見つけた情報を自分の言葉で伝えていきたい。アナウンサーとして、映像からイメージがわかるように伝えていきたい。
希望年収額
とくに問わない。
※現在の年収は360万円



「明るく元気よく」というのは基本中の基本なのだが……?
地方局のアナウンサー募集の書類選考の後、第1次面接に残ったのは、すでにレポーターやラジオ・パーソナリティとして経験をもっている人がほとんどだ。そのなかで幡多さんは、日本語教師という正しい日本語を教える仕事をしていたことに加え、英会話能力を見込まれて書類選考を通過した。面接官はアナウンサーの採用面接なだけに、立ち居振舞いや表情など仔細にわたってチェックしていた。
入室後、幡多さんは緊張のためか元気がないように思える。Point1
細田さん まずは簡単にご経歴をお話いただけますでしょうか?
幡多さん (戸惑った表情をして)学生…から…ですか?Point2
細田さん じゃ、大学をなぜ志したのか、というところからお話しください。
幡多さん 大学は高校からのエスカレーターで入学しました。中学のときは親の仕事の関係で香港で暮らしておりました。高校進学のときに香港の学校か日本の学校か、どちらを選ぶかで悩んだんです……が、小学校から使っていた英語をいろんなところで学びたいと思っていまして、また文学も学びたいということもありまして、それで大学では英文学科を選びました。それで……英語は通じるんです……が、母国語が英語の地域に暮らして、母国語がネイティブの環境において、働く前に英語の言葉とか表現とかを補強したいと思いまして、アメリカへ1年間留学しました。それで親がまだ香港に暮らしておりまして、父も母も香港にいたもんですから、そこで外国語として学んだ英語を活かして、日本語教師を3年間―――――(以後、日本語教師を辞めて、日本のテレビ局で翻訳と通訳の仕事をしてきたことの説明が続く)Point3
細田さん そこまで英語にこだわっていらっしゃるのはなぜですか?
幡多さん やはり外国生活だったので、英語とか外国語にふれることが多くて、それで、日本で通っていた学校も帰国子女を多く受け入れている学校で、そこでもいろんな外国語に触れていて、それでせっかく香港に暮らし、学んだ英語を日本で活かしたいと思いました。
細田さん 今回、アナウンサー職への募集なんですが、語学力が優れているからといって、アナウンサーに向いているわけでもないんですね。もっと英語を活かす職業をお選びになったほうがいいんじゃないですか? なぜアナウンサーなんですか?Point4
幡多さん 香港で日本語教師として子供から大人までに日本語を教えてきました。日本語を教えるときには、文法とかを教えているよりも、日本の文化や情報を教えたほうが、生徒さんが面白がってくれたんです。それで、テレビを通して、より多くの人に伝えたいと思いまして、アナウンサーになりたいと思いました。
細田さん 最新情報や文化を伝えるなら、出版とかいろんな分野があると思うんですが、そういうなかで、なぜアナウンサーなんですか?Point5
幡多さん 自分の声で伝えたいということと、自分の表情とかもまじえて伝えていきたいと思います。
 
面接官の本音
アナウンサーとして資質に欠ける。
テレビという不特定多数に向けられたメディアで、「伝えること」を仕事にする人ですから、基本的に元気よく、大きな声ではっきりと話すことが最低条件です。アナウンサー試験の場合、ニュース原稿を読むテスト以外でも、しっかりと相手に伝えられる会話能力が必要です。残念ながら幡多さんの場合は経歴を話してもらった時点で不採用と決めました。

Point1
きびきびとした身のこなし。
人前に出る仕事だから、面接会場に入ったときの身のこなしにも気をつけてほしい。幡多さんの場合は緊張していたためか、この点に欠けていた。他の職種なら気にならないが、アナウンサーの場合は身のこなし方でも評価を下げる可能性がある。

Point2
「面接の常識」を知らないと「一般常識」に欠けるととられる。
中途採用で経歴について尋ねられたら、社会人になってからの経歴を答えるのが常識。ここで、面接官は「一般常識を知らないのでは?」と思っている。もし社会人以前の経歴から話したいならば、「私がアナウンサーを志したことは小学生時代までさかのぼります。そのことからお話させていただけますでしょうか?」と断りを入れるといい。

Point3
「論理的かつ簡潔に話せない」ではアナウンサーとしての資質が疑われる。
幡多さんは声が小さく語尾が不明瞭だった。今回の面接が一般職の面接であっても、幡多さんの答え方ではコミュニケーション能力が疑われる。「結論を先に述べて、理由を述べる」回答が基本だ。
こんな答えがベスト
「私の経歴で誇れるのは英語能力です。まず、第一に小学校から中学まで香港に暮らして日常の英会話を学びました。次に大学では英文科に進み、文学や言語という面からも英語を学びました。さらに大学卒業後はアメリカへ1年間留学して、本場の生きた英語表現を学んだんです」
Point4
アナウンサー志望ということを考慮した経歴のアピールが弱い。
面接官は本音で聞いている。つまり「あなたの経歴のなかで、アナウンサーとして活かせるキャリアはないように感じられます。それなのになぜ、アナウンサーを志望されるんでしょうか?」ということ。

Point5
なぜアナウンサーなのか? 志望動機が説得力に欠ける。
面接官は、志望動機が伝わっていないことを訴えている。アナウンサーは取材をすることもあるが、第一に正しく情報を伝えるのが仕事。職業を理解していないようにも思われる。
 



突然「じゃ、アナウンサーとして伝えてください」と言われ……
幡多さんは、ここまで面接官の共感を得られる発言や回答をまったくしていない。ここから面接官はアナウンス能力を確かめてみることになる。
細田さん (香港から帰国して)日本に1年ぐらいいらっしゃるのですが、今、日本で起こっていることを海外の人に伝えるときに、なにを伝えますか?
幡多さん 今、私自身が興味を持っているのが、IT業界についてです。IT業界の人が堂々とテレビ局の人と渡り合っていることです。
細田さん では幡多さんの言葉で、海外の人に日本のIT業界の状況を伝えるとすれば、どういうふうに伝えますか? 今からここで、放送のアナウンサーとして伝えてもらえますか?Point6
幡多さん (突然、声が大きくなる)今、日本では、IT業界がテレビ局に堂々と立ち向かう姿が見られます。……堀江貴文氏はライブドアという会社を……設立したのですが、……フジテレビに対抗して……株主として対抗する姿が見られました。(以下、3分ほどのニュース調のコメントが続く。しばしば、しどろもどろになる)
細田さん じゃ、今、言ったことを英語で伝えてもらえますか?Point7
幡多さん (かなり困った様子)……英語は得意なんですが、翻訳とか通訳はできるんですが……、ちょっと下調べをしないと……。
細田さん はい、わかりました。最後にどんなアナウンサーになりたいのかを話していただけますか?
幡多さん いろんな人のやさしさを伝えていきたいと思います。
細田さん じゃ、人のやさしさをどうやって伝えますか?
幡多さん たとえば香港で私が道に迷っているとき、おじさんがバスに一緒に乗って案内してくれたことがありました。そういった人のやさしさを伝えたいと思います。
細田さん それは視聴者にとって、どんなメリットがありますか?Point8
幡多さん 私自身、そういった人のやさしさで地域になじむことがありました。文化で人になじむこともあるんですが、視聴者の人にそういったやさしさを伝えていきたいです。
細田さん はい、わかりました。それでは面接を終わります。
以上で面接は終了。
 
面接官の本音
幡多さんの資質は違う職種で活かされるのではないか
幡多さんは、すごく日本的な奥ゆかしさをもった女性だと感じました。話す内容や言葉の調子が、遠慮がちなんです。はっきりと物事を述べるというアナウンサー職の資質はないように感じました。幡多さんの資質は、たとえば以前に経験されていた日本語教師のように、小人数を相手にするところで活かされると思います。

Point6
表現力やアイデアが問われている。
アナウンサーの面接ではしばしばあること。ここでは、面接官はアナウンス能力よりもどんな表現力やアイデアがあるのかを見ている。
こんな答えがベスト
突然立ち上がって、マイクを持った風にしてレポーターになりきってみる。そして「みさなん、ここが楽天本社です。私は今、六本木ヒルズにおります。今日の三木谷社長の出社時間は午前9時、緊張した面持ちで日本経済新聞を片手に、玄関にやってまいりました」と答えてみる。ここで問われるのはアイデアと度胸だから、コメントは多少つまったりしてもいい。
Point7
英語能力と度胸はどうなのか?
ここでは得意の英語能力はもちろん、度胸についても探られている。英会話をPRする人に対してはしばしばある質問だ。幡多さんが断ったのはマイナス。簡単なことでもいいので話すべきだ。
Point8
アナウンサーは何を伝えるべきなのか?
言いかえれば「テレビ局のアナウンサーは何を伝えるべきなのか?」という質問だ。幡多さんの回答は彼女自身が感じたことに帰結している。視聴者に有用な情報は何なのかを答えるべきだった。
 

今回の面接教訓
1 未経験職を希望するならば、志望動機をもう一度考える。
  中途採用で未経験職を希望する場合、経験者に比べると不利な場合が多い。面接官は「この人は未経験の仕事を理解しているのか?」という点を確かめる。だからこそ、志望動機を一度書き出して検討してみるべきだ。
1 面接官が問う、職業の資質を考える。
  アナウンサーなら「はっきりと伝わるように、正しい日本語を話せること」が資質として問われる。職業研究をして、面接官が求める能力をリストアップして技術を磨いておくべきだ。
 
挑戦者の感想
本来の自分を出すと図々しいかと思っていました。
はっきりと物事を言うと、圧迫感を与えたり、図々しい人間に思われると考えていました。もっと本来の自分を出すようにしたいと思います。
次回の予告

次回の挑戦者は、32歳の男性。IT関連のカスタマーサポート業務に従事している彼が、ステップアップ転職を狙う。会話を通して説明するプロフェッショナルが挑む、リアル面接の行方はいかに!?




 
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