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同じ職場に長く勤めていたら、出会えなかった自分がいる――山尾さんのポジティブ転職歴

私が会社を辞めようと思った瞬間

2015.7.9

昨年、仲間と一緒に独立して会社を起こすまで、3つの職場を経験してきた山尾さん。それぞれの現場で得た人とのつながりが今、さまざまな形で有機的につながり、役立っていると語ります。


「元々広告デザインに興味があって、大学卒業後はまず広告制作会社に入社しました。5年勤めて、広告の作法やノウハウを身に付けたところで、今度はメディアに興味を持ち始めたんです。それまでは主に“対クライアント”を意識して仕事をしていたので、今度はカスタマー(読者)と直接向き合う仕事がしたいな、と」


折良く友人からの誘いもあり、山尾さんは希望どおりWebメディアの運営に従事することに。それまでとは異なる人種にもまれる環境は、ハードであっても充実した日々だったと振り返ります。では、2度目の転職を決意することになったきっかけは何か?


「担当していた媒体が1,000万UU(ユニークユーザー)を達成するなど、自分なりにやりきった感があったことが一つ。それに、Webメディアをマネタイズする手法もある程度つかめました。気が付けば6年半も在籍していましたし、新しいフィールドを求めるならこのタイミングを逃すべきではないな、と感じたんです」


そこで山尾さんが次に選択したフィールドは、新聞社でした。といっても記者職ではなく、配属は新規事業の開発を担う部門。山尾さんはここで、被災地に明るいニュースを届ける紙媒体を制作したり、地域活性化のためのビジネスモデルを立案したりするなど、より直接的に人とかかわる事業を展開していきます。


「僕にとって、3.11の震災は一つの大きな転機でした。被災地の皆さんのために、自分にも何かできることがないか。そう思案し続けていたところ、それまで広告やメディアで培ってきたものを、今度はリアルなコミュニケーションに生かすことができないかと考えるようになったんです」


そして昨年、縁あってこの時の仲間と独立。広告、メディア、リアルコミュニケーションと3つの分野で積み上げた経験と実績が、独立への強力なバックボーンとなりました。


「気が付けば、最初の会社で知り合った人も、次の会社で知り合った人も、“ぜひまた一緒に仕事がしたい”と感じた人とは、今も何らかのかたちで協業させていただいています。会社を辞めたからといって、そこで培った人間関係が終わるわけじゃない。逆に言えば、今の自分は過去の職場で得たネットワークがあればこそなんです」


“これは!”と感じた人とは、積極的につながりを維持してきたという山尾さん。時にはSNSを通じて「お会いできませんか」と人脈を広げ、そうして作り上げた人とのつながりが、ステップアップの大きな原動力となったわけです。


もちろん、転職に際して毎回、不安がなかったわけではありません。しかし、山尾さんは「それまでに出会った人たちと、次はどんな仕事ができるのかが楽しみでした」と明言します。そのキャリアは、転職が決してネガティブな選択肢ではないことを教えてくれます。


「こんな話を聞いたことがあるんです。水槽の中を透明なアクリル板で仕切って、片方に金魚を数匹入れ、片方に餌をまき続けることを繰り返すと、最初は餌に反応していた金魚たちが、やがてそれが手の届かないものだと知って見向きもしなくなる。一度そうなると、アクリル板をはずしてやっても、もう餌には反応しないんです。ところが、そこに新たな1匹を投入すると、そいつが率先して餌に食いつくのを見て、再びほかの金魚たちも餌に群がるようになる。つまり自分は、新しい職場でそういう存在にならなければいけない。前職の常識が、新天地では思わぬ刺激になるかもしれないわけですから」


転職する人には、転職する人なりの役割が必ずある。山尾さんは確信を持ってそう語ります。


「転職というのは、確かに一定のストレスを伴うものです。僕自身、慣れないうちは苦労もたくさんありました。でも、どんな人でも環境が変われば、思いもよらなかった新しい自分に出会えるはず。早く自分のポジションを作らなければと必死になる経験が、新たな自分を引き出してくれるんです」


確かにそれは、長く勤めた職場ではなかなか得られないものかもしれません。


(友清哲+ノオト)


取材協力/山尾信一

1976年、大阪府出身。群馬大学社会情報学部卒業後、株式会社ティ・エー・シー企画(在籍中株式会社電通iXへ出向)で広告制作を、株式会社リクルートでメディア開発事業を、そして株式会社毎日新聞社で地方活性化ビジネスを経験した後、仲間と共に株式会社ミトコンドリアを起業。取締役副社長として、新規事業開発からイベント企画運営までさまざまな事業に携わる。

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