
やりたい仕事を見つける力
大人こそ夢を描くべき
仕事ができる社会人は夢を描いている
「あなたの夢はなんですか?と聞かれたら、どんな思いが真っ先に心に表れるか教えてください」
某企業の研修講座で講師を務めた際、参加者全員にこの質問をしたところ、約8割の方が以下の内容の回答をしました。
「就職してからというもの夢なんか考えたこともない」「夢なんて遠い昔に手放してしまった」「今の仕事と夢は別物だと思っている」
大人になる、つまり社会人になるということは夢を捨てること。夢は青臭いこと。このような誤解をしている人は非常に多いと思います。そこで、彼らに対して私はいつもこんなレクチャーをします。
「夢を描くことは決して幼稚なことではありません。むしろ逆です。大人こそ子供以上に夢を描くべきです。なぜなら、大人のほうが広い視野に基づいた創造力を持っているからです。この力を眠らせておくのはもったいないことです」
私は仕事柄、社会で活躍し注目されている社会人の方々とお話をする機会が多くあります。夢について質問をすると、仕事の夢やプライベートの夢を次から次へと楽しそうに語ってくださいます。発展している企業の経営陣や伸びている部門の担当者などは特にそうです。また、朝日新聞朝刊のコラム「ひと」にも毎回、各方面で活躍している方が登場しますが、読んでみると夢が人生を切り開く大きな力になっていることがよくわかります。
仕事とプライベート。小さな夢をたくさん描こう
夢を全く描かずに、やりたい仕事を見つけるのは難しいことです。なぜなら、やりたい仕事は自らの夢の中にあるからです。
さて、人生100年と考えたら、まだ何十年も生きるでしょう。ちなみに30歳ならばまだ70年もあります。ノートに仕事上の夢とプライベートの夢を具体的に書いてみてください。ポイントは、長期間かけてかなえる大きな夢だけではなく、2、3日、および1、2カ月あればかなえられるような小さな夢をできるだけたくさん描くことです。大きな夢もステップごとに小さく分割してみましょう。すると、日々の生活を夢の実現で埋め尽くすことができます。
心から満足を感じる仕事は、夢の書き出しを通して必ず見つかります。昔から「好きこそものの上手なれ」と言われていますよね。たとえ最初は能力ゼロの仕事でも、心配はいりません。3年間も取り組めば、その仕事に関する高度な知識・能力が身につきます。人は成長する生き物。好きなことだったら楽しみながら努力でき、おのずと成果も上がるものなのです。
case study 01夢の書き出し:人生計画表
夢を描く意義や、夢の書き出し方のコツが分かる! プリントして使えるおすすめテンプレートを参考にして、実際に夢を書き出し、その実現に向けた一歩を踏み出しましょう。
夢は書き出すことにより、実現の道が見えてくる
「自分の夢って何だったのか」。日々の忙しい生活の中でいつのまにか忘れてしまうもの。そして、「今の自分には何か満足できない」というモヤモヤした思いは心の中で渦巻き続け、「早く転職したい」と気持ちが焦るけど、どんな転職をしたらよいのかわからない。気持ちは空回りしてばかり。こんなことってないでしょうか。
そのような場合は、自分の夢(人生計画)をノートに書き出し明文化してみましょう。モヤモヤは晴れ、やりたかったことが姿を現し、実現の道が見えてきます。では、なぜ道が見えるようになるのでしょうか。以下、その理由を説明します。
目的意識が、認識のスイッチ(脳の情報認識の仕組み)
心理学の興味深いクイズを2問ご紹介します。これは私がよく研修講座の参加者に対して行うものです。ノートに答えを書いてみてください。
5千円札の裏側の絵はどんな絵ですか?
50円玉の絵柄になっている面の絵はどんな絵ですか?
一般的に、両方の答えを正確に書ける人は1%あまりしかいません。このクイズが教えてくれることは、「人は見ようとしたものしか見えない」という脳の情報認識の仕組みです。人は意識的に見ようとしないと、たとえ何百回も見ているはずの5千円札や50円玉であっても、実はちゃんと見えておらず、脳に情報が認識されていないのです。正確に書けた1%あまりというのは、何らかの「目的意識」を持って、5千円札や50円玉を見たことがある人です。人間の脳の情報認識力は、「目的意識」を持つことによりはじめてスイッチが入るのです。
「○○の仕事をしたい!」と夢(目的意識)を持つと、今までは(そこにあっても)見えていなかったその「○○」に関する情報、例えばその方面の求人情報が、とたんに目に留まるようになります。そして、チャンスをつかんで実現の道を進むことができます。
継続は力なり。今日の一歩が夢に近づく着実な一歩になる
夢を書き出すと実現の道が見え出します。そして、日々の一つひとつの行動を夢に向かう合目的なものにできます。重要なことは、1カ月後、2カ月後はもちろん、10年後、20年後の夢だって、今日から実現の準備をすることができることです。例えば、10年後に実現したいことの準備を、今から始めれば、かなう可能性は極めて高くなるのです。
さあ、「こんな仕事をしたい」「あんな趣味を楽しみたい」など、思い切り楽しい目標を具体的に描いてみましょう。(書き方のコツは、「仕事上の夢」と「プライベートの夢」を分けて挙げていくことです。人生計画表の記入用シートを出力して、あなたの夢を書き出してみましょう)
人生という視点から転職をとらえる!
私は、人生計画表を大学3年生の時に書き上げました。就職コンサルタントとして成長することを大目標とし、20代は社会勉強・修行の期間として4回転職し、30歳から120歳までは(120歳まで生きると仮定して)、10年刻みで段階的に仕事の領域を広げることを計画しました。ノートには、何歳でどんな自分になっているか、できるだけ細かく目標を書きました。その結果、ほぼ思い描いていたとおりの人生を歩み続けています。
「今すぐにでも仕事に就かないと生活ができない」「年齢的にも早く転職してしまいたい」……置かれた状況は人それぞれだと思います。でもここは焦る気持ちを抑えて、夢の書き出し作業を行ってみてください。
あなたの人生は、あなた自身が選んで作っていくものです。そして、人生という視点から転職をとらえてみてください。いい仕事に出合うチャンスは、夢を描き行動することによってつかむことができるのです。
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
ノマドワーク実践者が教える!
▼【やりたいことがない人へ】進むべき道を決める「面白い!やりたい!」の見つけ方

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