天職を見つけるための秘訣(ひけつ)
仕事の楽しみ方を考えることが天職を見つけることにつながる
その時々のいい仕事に出合い、人生が最高に楽しくなる働き方を
天職とは、心の底から喜びや達成感が感じられる仕事。ワクワク楽しみながら働ける仕事です。しかし「これぞ自分の天職だ」と感じながら働いている人は残念ながら少ないようです。
私の元には、人がうらやむような有名企業の花形の仕事に携わっている人たちからも転職相談のメールが届きます。自分の天職が見つからず悩んでいる人や転職を繰り返している人は、企業規模とは関係なく多くいます。
天職は探して見つかるものではありません。天職を見つけるために根本的に大切なのは、仕事のとらえ方や着眼点を変えることです。要するに「この仕事は楽しいだろうか」と考えるのではなく、「この仕事をどう楽しむか」と考えることが重要なのです。
料理で例えると仕事とは生のジャガイモのようなもの。ジャガイモはそのままではおいしくありませんが、料理次第で絶品のおいしさに変わります。プロの料理人がジャガイモをどう料理するとおいしくなるかと考えるように、「この仕事はどう取り組むと楽しくなるか」と考えることが大切なのです。
どんな仕事であろうと、仕事そのものは楽しくないかもしれません。なぜなら、仕事には厳しいノルマやプレッシャー、激しい競争が付随し、高度なスキルも要求され、受動的な態度のままではつらく感じる要素が多いからです。 「どう楽しむか」を徹底的に考え、そのために「どんな自助努力をすべきか」を明確にすることが必要です。
天職は固定的なものではない。能力が高まると天職も変わる
仕事がどうしても楽しめない人は、楽しんで働いている人に「どう楽しんでいるか」を尋ねることをお勧めします。これは料理上手な人に料理方法を教わるようなものです。私は証券会社で営業の仕事をしていたことがありますが、絶え間なく与えられるノルマで仕事がつらく、辞めたくてたまらない状態になったことがありました。
悩んでも解決できないので思い切って関東でトップの成績の先輩営業担当に相談しました。すると証券営業の仕事の楽しみ方、仕事から喜びを見いだす秘訣を教えてくれ、私の仕事観を根本的に変えてくれました。私自身のモチベーションは格段に上がり、低迷していた営業成績が半年後には同期で1番を取れるまでになりました。
相談しても解決しない場合に初めて仕事そのものを変えることを検討しましょう。前記の例でいえば、ジャガイモをどう料理してもおいしく感じない場合、素材自体を肉や魚など別のものに変えてみることです。天職は固定的なものではありません。自分の能力や考え方、視野の広がりなどによって、天職と感じられる仕事はどんどん変化していくものです。社内異動などで解決できる場合もありますが、それが難しい場合は転職という選択肢があります。「24の知恵」を駆使して、人生が最高に楽しくなる仕事に出合ってください。
case study 24天職の捉え方と、それを見つけるための重要ポイント
「いい仕事に出合う」というテーマで全24回にわたってさまざまな知恵を紹介してきた当コラムも、今回が最終回となりました。仕事探しの究極の課題「天職を見つける」ための知恵を、私自身の経験をもとに紹介します
天職は1つとは限らない。特定の企業・仕事だけに決めつけないこと
天職とは、人としての根源的な喜びが得られる仕事。わかりやすく言えば、心の底から達成感が感じられる仕事、胸が躍るようなやりがいを感じる仕事、ワクワク楽しみながら働ける仕事、自分が自分の能力を十分に発揮して、人の役に立つことができる仕事です。
天職とは自分にとってどういうものなのか、まずはそこからあらためて考えてみることで、天職を見つけるポイントが見えてきます。天職を考える前に、まずは下記の9つの重要ポイントを意識しましょう。
●天職のとらえ方・重要ポイント
- 見方(仕事観)を変えると、今の仕事が天職の場合もある(天職に思える場合がある)。
- 自分が想像もしていなかった仕事が天職の場合もある。
- 天職は、派手な仕事、かっこいい仕事とは限らない。
- 世の中の状況や価値観の変化に自らの仕事観が影響を受け、天職に思える仕事が変わる場合がある。
- 自らの努力で仕事の能力・スキルを高めることにより、天職と感じられる仕事が変わる場合がある。
- 一緒に働く人によって、天職と感じられる仕事が変わる場合がある。
- 転職や転職活動を通して仕事観が変わり、天職と思える仕事が変わることがある。
- 異業界や異業種、異文化の企業に転職をすると仕事観が大きく変わり、天職に感じる仕事が大きく変わることがある。
- 結婚や出産、離婚、昇進・降格、失業、資格取得や受賞、事故や病気、身近な人との死別など、考え方や生活環境に大きな変化をもたらす出来事があると、天職と思える仕事が大きく変わることがある。
上記のポイントからも分かるように、あなたにとって、天職は1つとは限りません。あらゆる仕事があなたの天職となる可能性を秘めています。
食べ物で例えれば、おいしさを感じる食べ物が1つしかない人はいないように、働く喜びを感じる仕事が1つしかない人もいないのです。したがって、転職先の企業を選ぶ際は、特定の企業・仕事に決めつけをせず、視野をできるだけ広げて多くの企業・仕事を検討することが大切です。
ただし、やみくもに探すのでは多大な時間を浪費してしまうことにもなりかねません。また、あれもこれも天職に思えて迷ってしまうこともあるかもしれません。そのために最も大事なことは、まずは自分の人生の目的(軸)を明確にすることです。
天職と出合うために一番大切なのは、人生の目的(軸)を明確に持つこと
「人生の目的(軸)を明確に持つこと」とは、言い換えると、「どんな人生にしたいかという夢を持つこと」です。このことは、当コラム第1回でも詳しく説明しているのでぜひご参照ください。
最後に、私自身の天職探しについてご紹介させていただきます。
<天職探し。私(坂本直文)の事例>
私は大学2年生の時、外国人留学生達と人生の目的についてディスカッションをする機会があり、その後、自分の人生の目的をどうするか悩むようになりました。大学の長期休暇の際、1カ月間にわたり座禅を組み、自分の生き方の軸、夢、志、楽しみについて徹底的に自問自答しました。そして、心底満足できる目的だと確信したのは、「世界中の人を幸せにする仕事をすること」でした。
大学3年生の春にこの人生の目的(軸)に沿って、今後の人生計画表を書き上げました。この人生計画表は、20代、30代、40代、50代、60代、70代、80代……と、各年代で自分は一体どんな仕事をするだろうか、どんな趣味を持つだろうかということを具体化したものです。この人生計画表は、微調整を加えながら、現在も自らの人生航路の羅針盤にしています。ちなみに、そのなかでは30才で就・転職コンサルタントになる計画を立てました。20代はそのための社会勉強・修行の期間と決め、どんな仕事をするかできるだけ細かく目標設定したうえで、計画的に就職・転職活動を行ったのです。証券→広告→新聞→教育→就・転職コンサルタントと職を変えながら、専門知識、専門能力を磨き、人脈作りをしました。
「類は友を呼ぶ」。自分の思いに合致した企業や人と出合える確率が高まる
私が体験的に強く思うことは、「人生の目的を明確に持つと、それに合致した経営理念や事業内容、似たような人生の目的を持った社員がいる企業に出合える確率が高まる」ことです。「類は友を呼ぶ」という諺(ことわざ)がありますが、まさにその通りだと感じています。まずは、今年はどんな毎日にしたいか、どんな仕事をしたいか、来年はどんな毎日にしたいか、どんな仕事をしたいか、頭を柔らかくして具体的に描いてみてください。あなたの思いがまるで磁石のような力を持ち、人生の目的(軸)に近い企業との出合いを引き寄せるようになるはずです。
なお、人生の目的を持つこと、人生の夢を描くことは、若々しい心を保ち、身体を活性化することにも繋がります。転職活動に力を入れるパワーの素にもなるはずです。未来は、自らの努力で変えることができます。「いい仕事」に出合い、充実した人生を切り開いてください。
坂本直文
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
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