激務すぎる職場で初めて泣いた夜は、遠距離恋愛の彼氏が倒れた時
大学時代からあこがれていた仕事に就き、テンション上がりまくりのY野さん。約3カ月のアシスタント期間を経て、自分で編集や取材、執筆もこなすようになります。
「終電を逃すのはしょっちゅうで、溜まっていく仕事を休日に処理して締切に間に合わせる毎日でした。でも、人気の月刊誌を手掛ける喜びと楽しさで充実していたため、当時は日々の疲れなど気にとめていませんでした」
Y野さんの職場は、そんな激務にもかかわらず休みも取らずについていける人だけが生き残っているという猛者だらけの職場。耐えられず辞めていく人がどんなにいても、あこがれて入社してくる人が後を絶たない会社だったせいか、会社の体質が変わる気配はありません。入社から時間が経つと共に、「会社に大切にされていない気がする」と話す同期も増えたとか。そして、決意を固めた同期が一人…… また一人と辞め始め、Y野さんも会社に対して徐々に疑問を感じるようになりました。
そんな時、遠距離恋愛中だった彼氏が過労で倒れて突然入院。休みを取ってでも駆け付けたいと思うものの、親の忌引き以外に休みを取るという文化がなかったため、周りに相談することもできません。「忙しいから仕方ないよね」と理解を示してくれる彼氏の言葉に、会社のトイレで人知れず号泣したそう。「今までどんなに仕事がつらくても会社で泣いたことがなかったけど、あの時初めて会社で泣きました」とY野さん。
「このままでは、大切な人がピンチな時にそばにいることも助けることもできない……」。と、退職の二文字が頭をよぎりましたが、転職するにはもう少し経験を積まないと無理だろうと考え、この時は思いとどまったそうです。
それからも変わらぬ激務をこなし数年経った頃、たまたま廊下ですれ違った社長に「君の同期って今、何人くらいいるの?」と声を掛けられたY野さん。人数を答えると、社長は「まだ、そんなに残ってるんだ」と笑顔で言い放ったそうです。
この言葉がショックだったY野さんは、「この会社にいても、報われることはない!」とついに辞めることを決意。それまでの激務で心身ともに疲れ果てていたこともあり、すぐに転職はせずそれまでの貯金と失業保険でしばらく過ごすことを決めました。