Z世代・Y世代の
「推し活」で心豊かになる
生き方のニューノーマル
推しのライブに参加、グッズを購入、プロデュースアイテムを使用……など活動は多岐に渡る。無理に布教せず、好きなものを共有・共感できる者同士で楽しむのが鉄則の様子。
Z世代
I.A.さん
グッズを購入したり、コンサートに当選したら現場に行ったり……SNSを通して好きなアイドルグループが同じ人と繋がって、ロケ地巡りに行くこともあります。
Z世代ゲスト
小浜さん
私は女性アイドルが好きなのですが、推しアイドルがプロデュースしたコスメを友達の誕生日にプレゼントしたりします。推しに興味がない人でもアイテム自体はとても良いので気に入ってもらえるかなって。さりげなく布教しています。
Z世代
Y.H.さん
話題に合わせてサラッと自分の推しを紹介しますね。たとえば美容について知りたがっている人におすすめのYouTuberを紹介することがあれば、その中に自分の推しを入れたり。あくまでも相手に興味がありそうな時限定です。
Y世代
Y.A.さん
曲を聴きたいのはもちろんなのですが、「CDを買えばイベントが当たる」というものには、お金をかけてしまいます。推し活仲間とはメッセージで画像を送り合いますが、推し活をしていない友達に布教することはありません。多分、分かち合えるわけではなさそうなので。
Y世代
I.J.さん
推しが食べているものを食べたり、使っているものを使ったりするのが楽しいです。たとえば映像にちょっと映り込んだリップクリームとかでも良い。K-POPアイドルが好きなので、推しの誕生日に合わせて渡韓したことも。街中がお祝いムードで写真を撮りました。

Z世代、Y世代ともにコンサートなどの現場の雰囲気を体感することを大切にし、付随する使い道が内訳を大きく占めている。

Z世代の推し活費用が、平均的な収入に対して高いことが見て取れる。約半数は年間3万円までの出費はいとわない。
Z世代ゲスト
小浜さん
推しの新作コスメが出たら買うし、推しのおすすめコスメも買ってしまいます。推しのグッズや紹介品など分野を広げれば年間で10万円弱は使っていそう。
Y世代
I.J.さん
年間20〜30万円くらいは使っているかと。CD、グッズ、チケット代などでそれくらいかかります。男性アイドルが好きだったころは、一度に10公演くらい観ることも。大量に買ったCDは友達や友達の友達に配ります(笑)。
Y世代
Y.A.さん
私も30万円くらいです。イベントが当たるCDの購入に大金を用意することもあるし、K-POPアイドルなら、交通費、ホテル代などの旅行費も含めて1回10万円くらいします。
Y世代
H.K.さん
僕もお酒を飲んだり、楽器や機材を買ったりすることに最低でも年間30〜50万円は使っていますけど、推しがいるみなさんとは使い道のベクトルが違う。推し活=対象が人と思っていましたけど、好きなものに対してお金を使うことは、ある意味で推し活なのかな。
Z世代
M.K.さん
僕も推し活=人を推すことだと思っていました。僕には推しはいませんが、代わりに車を買ったり、維持費にお金を使ったりしています。費やす金額はそんなに変わらないはずですが、自分の好きなことにお金を使っている推し活って良いですね。

推し活で人生にポジティブな影響が及んだ人も多い。推し活が理由で生活に不具合が生じたという意見は、今回は見当たらなかった。

Z世代ゲスト
小浜さん
人前に出たいと思ったのも推しの影響。幼稚園〜中学校まで一貫校に通っていたんですが、環境にすっかり飽きてしまい、「知らない世界を見てみたい」と思っていたんです。ステージ上で輝く推しの存在にとても刺激を受けました。推しのYouTubeで可愛くなる楽しさを教えてもらったし、おかげでコスメのブランドアドバイザーという仕事もいただくようになりました。
Y世代
I.J.さん
推しがきっかけで、韓国料理を作るようになりました。キムチも自分で漬けたりして(笑)。推しの話している言葉を理解したくて、韓国語も学ぶようになりましたね。
Z世代
I.A.さん
推しが頑張ってデビューしたり、好きなグループが活動したりしているところを見ると元気をもらえます。自分も課題や検定の勉強を頑張らなきゃって。
Z世代
Y.H.さん
推しの影響で美意識がアップして、見た目を改善するきっかけになりました。
Y世代
Y.A.さん
推し活を始めてから、自分は物事を追求するのが得意なんだと気づきました。「推し活をしているからこそ、任せたい」と仕事につながったこともあります。

“推し活”や“オタク”の印象は時代を経て徐々に変わっている。Y世代からは今をありがたく感じているコメントが寄せられた。推し活の社会への浸透には、まだまだ伸び代がありそう。
Z世代
Y.H.さん
僕は男性アイドルが好きなのですが、メンズアイドルを推していることを男友達には言いづらい雰囲気があります。同じようにオタクをやっている女友達に話すくらいです。“推している”ということ自体に少しだけ恥ずかしさを感じてしまっています。
Y世代
I.J.さん
過去に知人に「アイドルが好き」と話したら、「気持ち悪い」と言われたことがありました。でも最近になって、その気持ち悪いと言ってきた本人に「そんなにも何かを好きでいられるって羨ましい」と言われるようになったんです。世間の印象が変わったんですかね。
Y世代
H.K.さん
推し活をしている人にネガティブな気持ちは一切ないです。でも昔は、“なにかを推す行為”がからかわれる対象だった感じがしますよね。2008年〜10年あたりにTwitterや女性アイドルなどが流行って、そのトレンドが突破口になった気がします。僕はオタクと同じような意味の“ナード”って言葉が流行ってから、かっこいいと感じるようになりました。
Z世代
M.K.さん
確かに以前は「オタク=陰キャ」みたいなイメージがあったかもしれない。でも今はむしろ、推し活を否定する人の方が印象が悪い。僕が学生時代、友達はみんなK-POPアイドルが好きでした。その頃から“推す行為”についてのイメージが変わったのかな。
Y世代
Y.A.さん
ずっとアイドルを推していても、最近まではオタク同士でしか話せなかったですね。“推し活”という言葉が出来て、“なにかを推していること”にポジティブなイメージが生まれた。コロナをきっかけにSNSを観ることが増えたのも大きいと思います。そのおかげで推し活をしていることを周りに明かしやすくなったような気がします。

世代比較によって明らかになったのは、社会における“オタク”の受容感。以前は「オタク=マニアックなもの」として敬遠する層も厚かったが、SNSの普及をきっかけに国内外からさまざまなカルチャーが流入し、新たなものに触れるチャンスが増えた。それらを理解し、取捨選択しながら、“自分の推し”を見つけること。オリジナリティこそが評価される時代になったのである。
一方、“推し”の対象が人間ではないこともある。趣味や好きなことに、人を推すことと同じくらいの情熱や金銭を注ぎ、それをモチベーションに人生を目一杯に楽しむ。それはコロナ禍を経て、社会が「毎日を有意義に過ごしたい」と考えるようになった結果とも捉えられる。今後も“推し”や“推し活”は、未来を明るく照らしてくれるもののひとつとして、人々の生活に深く根付いていくことだろう。
