U・Iターン

ディーラーで整備士を
していた島さんが、
ある言葉との出合いを
きっかけに始めた
「あたらしい生き方」

PROFILE

私のあたらしい生き方

U・Iターン

  • 名前:島 憲司
  • 年齢:31歳
  • 出身地:北海道
  • 現在の居住地:北海道
  • 今の仕事・働き方:林業 正社員
  • 以前の職業:ディーラーの整備士 正社員
今の働き方・仕事について、詳しく教えてください。

2016年3月に、12歳まで生まれ育った北海道占冠村(しむかっぷむら)に移り、父親が経営する会社で林業に携わっています。広く「林業」と言っても会社によって事業内容は異なりますが、ウチの会社では山に木を植えて、育てて、伐採するという一連の業務を行っています。

山の所有者が所属する占冠村の森林組合から「どこの山にマツを植えたい」「どこの山のカエデを伐ってほしい」という依頼を受けて作業をします。お客様がいるという点では、一般企業と一緒ですね。

普通の仕事と違うのは、林業は季節によってやれることが決まっているということ。木を植える時季は限られていて、山が眠りに入る冬の始まりと終わり、つまり春と秋の一時期しか植えることができません。

そのため、それ以外の季節は、夏なら草刈りなどの手入れ、冬なら伐採がメインの仕事となります。勤務時間は1年を通してほとんど変わらず、基本は朝7時~16時半まで、その季節に応じた作業を日々行っています。

なぜ今の働き方・仕事を選んだのですか? これまでのキャリアや経緯を教えてください。

高校を卒業後、帯広の職業訓練学校に通い、整備士の資格を取りました。学校の先生からの推薦もあり、札幌にある大手メーカーのディーラーに就職。それから10年、整備士として働きました。

当時は、繁忙期になると深夜まで残業することも多く、3月は特に忙しかったですね。ただ、そういう大変な中でも目標を持って働くことを心がけ、入社9年目には整備技術を競う大会に出場し、全国大会にまで進みました。

そこで気持ちに一区切りがついて、将来のことを考えるようになったんですが、そのまま会社で働き続けるイメージが湧きませんでした。会社員なので、当然会社や上司のやり方に我慢しなくてはいけないこともあります。この先もそういった環境で働くことが自分に合っているとは思えず、上司や先輩を見ても楽しく働いているようには見えなかったんです。

これからどうしようかと考えているときに、ふと思い浮かんだのが父親の姿でした。いつも楽しそうに林業の話をしていたんです。それから林業に興味を持ち、父親に聞いたり、本を読んだりして調べるようになって。

あるとき、「林業は後世に残す仕事である」という言葉と出合いました。今、自分が木を植えても、伐られるのは50年、60年先のこと。未来に自然を残す、林業という仕事に大きな魅力を感じました。元々、「田舎で生活をしたい」という夢もあったので、妻にも相談し、自分たちの生き方に合っていると考え、占冠村への移住を決めました。

「あたらしい生き方」に変えて、どうなりましたか? 変わったこと、得たものを教えてください。

今は、ストレスを感じることがありません。山が仕事場なので、空気はきれいですし、見上げれば大きな空が広がり、見下ろせば視界の奥まで山々が連なる壮大な景色が続きます。作業中にイラッとすることがあっても、大自然に囲まれているとそんな感情は吹き飛んでしまうんです(笑)。

林業を始めて2年になりますが、まだ樹齢100年、200年の木を伐ることには怖さを感じます。技術的に難しいことはもちろん、長い年月を経て育ったものの命を絶つのは覚悟がいることなんです。木は1本として同じものはないため、日々技術的にも精神的にも成長できる仕事なので、やりがいは大きいですね。

占冠村に戻ってきて、家族と過ごす時間は格段に増えました。17時には帰宅し、子どもたちと一緒に21時に寝る生活を送っています。休日には家族で釣りをしたり、スノーモービルに乗ったり、田舎暮らしを満喫。たまに札幌に出かけると、人に酔う感じがします(笑)。

将来は、会社を継ぐつもりです。現在、私と父親のほかに2名の社員がいますが、ウチで働く社員たちが、家族から「カッコいいね」と思ってもらえるような、誇りを持てる会社にしたいと思っています。そのためにも、まだまだ林業はビジネスとして開拓余地のある分野なので、新しい事業にも積極的に挑戦していきたいですね。

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