U・Iターン

金沢で100年続く製あん会社の
4代目となる沖さんが、
5年間の修行期間を終えて始めた
「あたらしい生き方」

PROFILE

私のあたらしい生き方

U・Iターン

  • 名前:沖 直人
  • 年齢:35歳
  • 出身地:石川県
  • 現在の居住地:石川県
  • 今の仕事・働き方:製あん会社の常務取締役 会社経営
  • 以前の職業:製あん会社の製造職 正社員
今の働き方・仕事について、詳しく教えてください。

今から8年前、27歳の時に実家に戻り、いずれ会社を継ぐつもりで、父親が経営する金沢で100年続く製あん会社に入社しました。現在は常務取締役として、あんこの製造から取引先への営業、マネジメントなど、幅広い業務を担当しています。

当社の勤務時間は朝6時~15時30分までですが、私は毎朝4時に出社して機械を立ち上げたり、豆を炊いたり、さまざまな仕込みを行っています。朝6時から仕込みを開始したのでは、製造が間に合わない可能性があるので、会社としてより確実にあんこを製造し、納品することを第一に考え、率先してサポートするようにしています。

現在、当社には25名の社員がおり、そのうち20名が製造、5名が配送営業を担当しています。なにか現場でトラブルがあった場合に、それを解決するのも私の仕事です。たとえば、工場で原料の配分を間違えるミスが起きた。取引先からクレームが入った。そういうときには私が必ず対応します。会社全体で起きていることに目を配り、業務が円滑に回るようにフォローするのが、私の役割だと思っています。

なぜ今の働き方・仕事を選んだのですか? これまでのキャリアや経緯を教えてください。

実家の製あん会社を継ぐことは、大学4年の時から決めていました。進路を決めるにあたって、社長である父親と母親、私の3人で話し合った結果、「3代続いた家業を未来に残したい」と4代目になることを決意したんです。

大学卒業後は、そのまま実家の製あん会社には入社せず、まずは修業期間として社長が懇意にしている取引先の会社に入社しました。そこは、東京にある食品香料の製造会社で、2年半在籍しましたが、その短い間に製造から品質管理、営業の仕事まで幅広く経験させていただきました。なんの知識もないところから、社会人としての基本を勉強させていただいた感じですね。

その後、山梨の製あん会社に転職。ここは、実家の製あん会社とお取引のある業者さんから紹介していただいた会社で、同業他社であるにもかかわらず、快く入社を受け入れてくれました。この会社にも2年半在籍し、主にあんこの製造について学ばせていただきました。朝早く出社し、夕方には退社するという生活リズムは、この時から今までずっと一緒ですね。

そして、トータル5年間の修行を終えて、2010年に金沢の実家にUターン。まずはイチ社員からスタートし、それまで学んだことを活かしながら経験を重ね、3年後の2013年、常務取締役に就任しました。

今後の目標やビジョンはありますか? これから挑戦したい「あたらしい生き方」があれば教えてください。

来年なのか再来年なのか、時期はまだ未定ですが、近い将来4代目として会社を継ぐ予定です。8年前に戻ってきた時と違って、今は社長就任を間近に控え、会社を経営する立場として「25人の社員とその家族の生活を守らなくてはいけない」という大きな責任を感じるようになりました。そのためにも、自分が4代目を継いだら、会社としてもう1つ上のステージを目指したいと考えています。

たとえば、当社では取引先ごとに材料の配合を変えて、オーダーメイドであんこの生産を行っています。この「多品種少量生産」に対応できることが、当社の強みの1つとなっていますが、この対応力をさらに伸ばし、お客様からの細かいニーズや品質要求に対し、より柔軟に対応できる体制をつくっていきたいですね。

5年前に製造工場を新設し、それまで古い工場で作業効率も悪く、快適とは言えなかった環境を大きく改善しました。今では生産性も上がり、社員が余裕をもって仕事に取り組める環境になっています。これからは、そういった環境の中で、今まで通りの仕事をするのではなく、もう1つ上のレベルを目指して働こうと、社員に積極的に働きかけていきたいと思っています。

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