一体人は何のために働くのだろうか?
もちろん日々の生計を立てるために働く。
これが一番です。
しかし人間それほど単純ではなく、多くの欲があります。
職場の人間関係や、仕事のやりがい、賃金が関係します。
社会に出て、ある仕事について、
「俺、ここでいいのかな?」と考えがよぎることがあります。
人間社会経験を積むと何のためにここにいるのか考える時があります。
こんな環境に俺はいる人間ではない。
きっともっと良い自分に合うところがあるはずだ。
これには人それぞれ答えがあり、ある個人の考えが
正解ということは、ありません。
私は3歳くらいから記憶があるが
最初の記憶は木造船を作る職人と一緒に飯を食べているところから始まる。
小さいお皿にハコフグがおかずに乗っていた。(妙な記憶だが)
飯にバタ-を置いて食べていた記憶もある。
私の周りはすべて造船の職人で、職人が切り出した
木材の木っ端を職人の脇にいて集め、積み上げて日がな一日を過ごしていた。
職人たちは私の子守でもあった。
ある職人は余った木からおもちゃ代わりに
私に木刀を作ってくれた。今でも覚えている。
(だから剣道やったのか...)
おそらく現場でちょろちょろする自分に気を使いながら
ちょうな(大工道具)を使って木を削り出していたのだろう。
木造船を作っていたのは昭和45年くらいまでで
その後は鉄の船となる。
木工職人は鉄工職人となり、ちょうなをガス切断器に変え
船を造り続けてゆく。
若かった職人もやがて年を取り、退職し、そして世を去る。
いったい彼らが何を考えあの世に去っていったか、
退職した後も何を思い日々を過ごしたのか。
私にはわかる気がする。
彼らは職人なのです。
退職しても職人。
家にいても職人。
自分が精いっぱい60年にわたり働き、
多くの船を修理し、建造した自信と満足。
彼らは人生に悔いは残さないだろうと思う。
だから退職しても穏やかな日々を過ごしている。
実は私の爺さんも造船の職人(兼社長)だったので
彼らは仲間だった。
そのような職人と一緒に幼少期同じ屋根裏に
住んで寝食を共にしていた私には
彼らは家族のようなものだった。
いろいろな職業があり、
そしていろいろな職業観がある。
人の生活と職業は過去から未来に
引き継がれ、絶え間なく続いてゆきます。
造船は5000年続いた職業です。
人生を委ねる価値がある職業と思っている。
写真左の方は文章に出てくる最後の職人でした。
私の子守役でもあった方です。
数年前高齢のため亡くなりました。
※写真の船はshenandoah というスク-ナ-で、1902年、
ニュ-ヨ-クの造船所で建造されました。2隻同時建造
され、もう1隻の船の船主はプロシアの
カイザ-ウイルヘルム1世です。
大半が木でできております。
こちらの船は世界の富豪の手を渡り、バブル期に日本人が
オ-ナ-となりました。その時に弊社で修理した写真です。
映っている2名は木工職人だったので
顔を見てください。
うれしさと懐かしさで満面の笑顔ですね。
こんな顔で仕事をやりたいものです。

働くとはどういうことか 転職を考える方々へ
株式会社 アイ・エス・ビー2022-08-29 15:20
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