●私の仕事 今日も国際宇宙ステーションの中で宇宙飛行士達の一日が始まります。朝食をとり、地上管制官達と朝の会議を終えると、タイムラインと呼ばれている一日のスケジュールに従って、無重力環境で育てている植物に給水したり、故障した機器を交換します。宇宙飛行士は、無重力環境での筋力の低下を防ぐため、ルームランナーのような装置を使って毎日運動もしています。お昼は宇宙食を食べながら他の宇宙飛行士と談笑する時間もありますが、昼食が終わると休む暇なく午後の作業に取り掛かります。時には船外服を身にまとい、エアロックと呼ばれる出入口から宇宙ステーションの船外に出て、新型の太陽電池パネルを設置したり、古くなった部品を交換したりします。 一方、宇宙ステーションには、地上から管制官や実験担当者がコマンドを発行して動かすことができるシステム機器や実験装置が多数あり、宇宙飛行士達が寝ている間も、定期メンテナンスや実験等のタスクが毎日のように行われています。 私はJ-PLANと呼ばれるチームに所属し、こうした宇宙飛行士の日々のスケジュールや実験計画を策定しています。国際宇宙ステーションは、日本、アメリカ、カナダ、ロシア、ヨーロッパの各国が協力して運用しているため、スケジュールは、各国のプランナー達と調整しながら、各タスクの優先順位に従って決めていきますが、国際宇宙ステーションの内外で想定外の事象が発生すると(トイレが壊れたとか、補給船の打ち上げが遅れたとか)、優先順位がガラリと変わるため、せっかく決めたスケジュールも大幅に変更せざるを得ない場合が多々あります。時には、こうした急な計画変更を数時間のうちに調整しなければならない場合もあるため、プランナーは常日頃からあらゆる事態を想定しつつ、想定通りに進まなかった場合のバックアッププランを考え、準備しています。私はチェスや将棋は得意ではありませんが、この仕事は「何手先を読めるか(=どれだけ準備したか)」が重要なので、無駄(使われなかったバックアッププラン)は多くなりがちですが、その分、読んだ手がピタリとハマった瞬間は大きな達成感を味わうことができます。
●グループリーダーの仕事 国際宇宙ステーションは、様々なエキスパートによって支えられています。私が所属するJ-PLAN以外にも、船内の熱や空調を管理しているFLAT、電力や通信を担当しているCANSEI等のチームが、実験装置のモニタリングはもちろん、宇宙飛行士が活動する上で最適な環境を保つため、24時間体制で運用を行っています。また、こうした管制官達の訓練を担当するチーム、J-PLANが計画を行う上で必要となる各タスクの優先順位を決めるチーム、宇宙ステーションに新たに持ち込む実験装置や機器の統合評価を行うチーム、更には次期補給船の開発を担うチーム等にもアミルのメンバーが所属しており、それぞれ重要な任務を担っています。 私は宇宙開発支援グループのリーダーとして、各チームのメンバーが気持ちよく、且つ生産的にお仕事ができるよう、メンバーとのコミュニケーションを密にとりながら、業務内容や業務環境の改善点を識別し、一つ一つ問題を解決していきたいと考えています。
●苦労した事 現在の業務に就くまでは、建設業界→旅行業界→翻訳業界と渡り歩いてきたため、宇宙に関する知識が全くなく、着任当初は会話についていけない事にストレスを感じていました。また、管制官として認定されるには、宇宙ステーションの仕組みや運用のルールを覚える必要がありますが、その殆どが英語で書かれてあり、量も膨大なので、覚えるのに苦労しました。
●趣味 古い車を所有しており、よく壊れるため、自分で修理するようになり、それが趣味のようになりました。この夏はエアコンが壊れたため、エアコンのシステム全てを取り外し、各ユニットを分解、洗浄、再取り付け、冷媒注入を何度か行いましたが、結局修理できず夏が終わりました・・。このような失敗もありますが、数々の修理を通して車の仕組みに詳しくなったのと、問題の原因を探ったり、解決方法を考えたりする点は、今の仕事に似ていて面白く、病みつきになります。。 しかし、車の趣味(主に修理ですが・・)はお金がかかるため、同じ4輪で安く楽しめる趣味はないかと考え、50歳からスケートボードを始めました。来年は、サザエさんのお父さん(浪平)と同じ年齢になりますが、それまでに一つトリックを決めたいと企んでいます。。