心理カウンセラーに必要な資格は?取得方法や向いている人を紹介
掲載日:2024年05月03日
記事まとめ(要約)
- 心理カウンセラーは相談者の悩みや不安に寄り添う仕事
- 心理カウンセラーの資格には公認心理師や臨床心理士がある
- 大学・大学院や民間スクールで資格取得を目指すのが一般的
- 学校や企業、福祉施設、医療機関など働ける場所はさまざま
心理カウンセラーになりたいけれど、「どの資格を取ったらいいのか」「どこで学んだらいいのか」など疑問を持っていませんか。
公認心理師や臨床心理士以外にも、心理カウンセラー関連の資格がたくさんあり、迷ってしまうかもしれません。そこで今回は、心理カウンセラーの代表的な資格と特徴や取得する方法についてお伝えします。
資格取得後の働く場所や仕事内容なども解説していますので、資格選びに生かしてください。
心理カウンセラーとは?
心理カウンセラーは、何らかの悩みや不安などの困り事を抱える相談者(クライアント)に対し、寄り添う仕事です。
来談者中心療法や認知行動療法など、カウンセリング技法を駆使しながら、対話を通して悩みの解決や葛藤などの解消に向けて、心理的な支援を行います。
ストレス社会の現在、ほとんどの人が何らかのストレスや悩み事を抱えているものです。主な悩みとしては以下に関するものが挙げられるでしょう。
- 会社や学校での人間関係にまつわる悩み
- 子供の不登校やDV(家庭内暴力)など家庭内での悩み
- いじめやパワハラ、ハラスメント関係の悩み
- 事故・災害などによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)
など
人々の考え方が多様化している昨今、さまざまな悩みを抱える人が多くなり、今後ますます心理カウンセラーの社会的なニーズは高まっていくでしょう。
心理カウンセラーは資格がなくても名乗れる?
心理カウンセラーは名称独占権がないため、独学で心理学について勉強した人や、会社独自の研修を受けただけの人も、心理カウンセラーと名乗ることができます。
ただし、求人に応募する際には心理系の資格保有が応募条件に定められている場合もあります。
また、資格があることは自分の知識やスキルの証明になり、資格があるほうが相談者からの信頼度も増すでしょう。年収アップや今後のキャリア形成にもつながるため、資格を取得しておいて損はありません。
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心理カウンセラーの代表的な資格
心理カウンセラーの資格は、国家資格と民間資格の2種類に分類されます。
2017年に施行された「公認心理師」は、心理学系で唯一の国家資格になります。ほかの「臨床心理士」や「認定心理士」などは、すべて民間資格になります。
一つずつ詳しく見ていきましょう。
公認心理師
公認心理師は、心理系では日本で唯一の国家資格です。心理師は、公認心理師以外は名乗ることができない名称独占資格になります。
公認心理師の試験を受けるためには、主に心理学科のある大学と大学院を卒業し、資格取得に欠かせない所定の単位を取得するか、心理学系の大学で所定の単位を取得し卒業した後に、心療内科などの特定の機関で2年以上の実務経験を積みます。
試験に合格すれば、公認心理師の資格取得が可能です。
公認心理師を取得した後には、医療・福祉分野、産業分野、教育分野、司法分野などで、専門知識や技能を用いて、心理的なサポートが可能です。
臨床心理士
臨床心理士は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が認定する民間資格です。
公認心理師ができる前までは、心理系の資格の中でもっとも信頼性が高い資格の一つで、今なお知名度の高さを誇ります。
臨床心理士として働くには、資格取得が必須となっており、高い専門性を証明できる資格です。
主に指定大学院を修了し、筆記試験や面接試験に合格する必要があります。
資格取得後には、医療や福祉分野、教育分野などでカウンセリングやアセスメントなどを行うことが可能です。
学校心理士
学校心理士は、学校心理士認定運営機構が認定する民間資格です。
児童や生徒などの子供たち、その保護者、教師、学校関係者などに対して、専門的な知識や技能を活用して、心理的な支援を行うために必要な資格です。
学校心理士の試験を受けるためには、心理系の大学院を卒業後に、学校などの特定の機関で1年以上の実務経験を積む、もしくは心理系の大学卒業後に専門的な実務経験を5年以上積む必要があります。
試験に合格すれば、学校心理士の資格を取得できます。
資格取得後には、学校関連などでいじめやひきこもり、摂食障害やDV、学力や進路問題などの諸問題へのサポートを行うことが可能です。
各資格の中でも、子供関連の相談や支援に関する教育分野に特化している資格と言えます。
認定心理士
認定心理士は、公益社団法人日本心理学会が認定する民間資格です。4年制大学で、基礎的な心理学の知識や技能を修了したことを認定する資格になります。
大学において、認知心理学や生理心理学、心理テストの基礎知識や技能となる心理学測定法や心理学統計法、人格心理学や社会心理学、産業・組織心理学や教育心理学など、包括的に心理学の知識を学習します。
大学で所定の単位を取得することで、卒業と同時に取得が可能な資格です。筆記試験や面接試験はありません。
資格取得することで、公認心理師や臨床心理士を目指すうえでの基礎的な心理学が身に付くでしょう。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、一般社団法人日本産業カウンセラー協会が認定する資格です。
産業カウンセラーは一般企業において、従業員へのメンタルヘルスをはじめ、職場での人間関係の改善やキャリア形成などの支援活動を行います。産業・組織分野に特化した心理学の資格と言えるでしょう。
主に産業カウンセラー養成スクールを修了し、試験に合格することで資格取得ができます。
資格取得後には、一般企業でのカウンセリングや研修などの仕事に就くことがあります。
メンタル心理カウンセラー
メンタル心理カウンセラーは、一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定する民間資格です。
社会心理学や発達心理学などの基礎的な心理学を抜粋して学習し、基礎的な心理学の理論への理解を深めます。
通信教育での学習を経て、検定試験に合格したら資格を取得できます。検定試験は、在宅で受けられます。
資格取得後は、心理学の知識や基礎的なカウンセリングスキルなどを活用できるでしょう。
NLPプラクティショナー
NLPプラクティショナーは、日本NLP協会が認定する民間資格です。
NLPは神経言語プログラミング(Neuro Linguistic Programming)を指し、意識―無意識のメカニズムを学習できます。プラクティショナーには、実践する人の意味があります。
基礎的な信頼関係の形成はもちろんのこと、感情のコントロールやトラウマの解決法なども学びます。マイナスの状態からゼロを目指すカウンセリング技術だけでなく、目標達成に関わるコーチングスキルも学べるのが特徴です。
NLPプラクティショナーは、指定の講座を受講することで、資格取得が可能です。
資格取得後は、日常生活に生かせるほか、産業・組織分野で勤めて心理的な支援を行う場合もあります。
キャリアカウンセラー
キャリアカウンセラーは、一般財団法人日本能力開発推進協会(JADP)が認定する資格です。
キャリアカウンセリングに関する基礎知識や理論、キャリアカウンセリングの実践に関する知識等を学べます。
JADPのキャリアカウンセラーになるためには、認定教育機関で行う教育訓練の全カリキュラムを終了し、検定試験に合格することで資格取得が可能です。
資格取得後は、一般企業で従業員のキャリア形成の支援、人材紹介会社や人材派遣会社などでキャリア選択の支援などの仕事に就くことがあります。
心理的なサポートの要素は少なく、産業・組織分野に特化した心理学の資格と言えるでしょう。
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心理カウンセラーの資格を取得するには?
心理カウンセラーの資格を取得するには、大学・大学院で学ぶ方法と、民間スクールや通信講座で学ぶ方法があります。
大学・大学院で学ぶ
大学や大学院で学ぶ場合、卒業と同時に心理カウンセラーとして生かせる資格が取得できたり、資格試験の受験資格を得られたりします。
公認心理師や臨床心理士の場合、大学と大学院で必要な科目を修了していることが、主な受験資格になっているため、必然的に大学・大学院で学ぶ方法になるでしょう。
民間スクールや通信講座で学ぶ
民間企業が運営している資格スクールや通信講座で学ぶことで、資格を取得することもできます。
メリットとしては、大学や大学院に通うよりも費用を抑えて、資格を取得できることです。夜間や休日に行われている講座、WEBや教材を通じて自宅学習できる講座もあるため、社会人でも働きながら学習を進めることができるでしょう。
心理カウンセラーの主な働く場所と仕事内容
心理カウンセラーが働くことができる場所は、学校などの教育機関、一般企業、福祉施設などさまざまな環境があります。ここでは主な働く場所と仕事内容をお伝えします。
学校・教育現場
学校や特別支援学級、青少年育成センターなどの教育現場では、スクールカウンセラーと呼ばれる心理カウンセラーが働いています。
スクールカウンセラーは、児童や生徒などの子供たち以外にも、保護者や教師、そのほか学校関係者にもカウンセリングやアセスメントを行います。
悩みの内容は多岐にわたり、いじめや不登校、親子関係や発達障害などの相談を受けます。
スクールカウンセラーとして働くためには、公認心理師や臨床心理士、学校心理士の資格が求められることが多いでしょう。
また、週1回の非常勤勤務が多く、ほかの仕事との掛け持ちをするケースも多々あります。
一般企業
一般企業のカウンセラーは、主に企業のオフィスに出社して、従業員のメンタルヘルス対策やキャリア開発などを行います。
産業医によるストレスチェックで高ストレス群に分類された人へのカウンセリング、ハラスメントやうつ病への対策としての社内研修などが多いでしょう。
常駐契約は少なく、訪問日を決めてスポットでの仕事が多いという特徴があります。また、従業員の悩みに対して、対面以外にもビデオ通話、電話、メールなどで相談に乗ることもあります。
福祉施設
福祉施設でカウンセラーが働く場所としては、児童福祉施設と高齢者施設の2種類に分けられます。
児童福祉施設は、保育所や母子生活支援施設、児童養護施設や児童相談所など。高齢者施設は、有料老人ホームやケアハウス、特別養護老人ホームなどです。
福祉施設でカウンセラーが働く場合、対象となる子供や高齢者だけでなく、その家族や施設で働く介護士、保育士などへのカウンセリングも行います。
また、介護士、ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、作業療法士などの関係者と協力し合って、心理的な支援を行うケースもあるでしょう。臨床心理士や公認心理師が働くことが多いです。
医療機関
医療機関で活躍する心理カウンセラーは、心療内科や精神科などのメンタルヘルスクリニックで、患者の希望もしくは医師の判断に応じて、カウンセリングやアセスメントを行います。
看護師や医師と連携を図りながらカウンセリングなどを行うため、カルテを共有することもあるでしょう。
働くためには、高度な専門知識が必要となるため、臨床心理士もしくは公認心理師の資格が求められます。
患者の家族にもカウンセリングすることもあり、高い専門知識や技能が必要です。常駐契約は少なく、週1~2回などの契約が多いです。
独立・開業
さまざまな施設や機関で、数年以上の経験を積んだカウンセラーは、独立・開業することもあります。
自分の得意な心理療法を用いて、立ち上げた自分の会社でカウンセリングや心理学セミナーなど、心理学的な支援を行います。恋愛や夫婦関係、発達障害やキャリアなど、得意分野に絞ってサービスを提供することも多いでしょう。
資格は不問ですが、プロとしての専門知識や技能のみならず、集客スキルや経営スキルなども独立・開業にあたって必要になってきます。
司法機関
少年院や刑務所、警察署や少年鑑別所などの司法機関で働くカウンセラーは、非行や犯罪などの加害者に対して、社会復帰の支援をしたり、アセスメントにて心理的な背景を探ったりなどをします。
具体的な仕事内容としては、犯罪に至った原因を探って、矯正のための計画を立て、心理学を用いた教育プログラムを実施、効果の検証などをします。
働くためには臨床心理士や公認心理師の資格が必要なことが多いでしょう。
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心理カウンセラーの給与の目安
カウンセラーの給与について、厚生労働省の統計データの賃金(年収)によると、443.3万円とあります(※)。
出典:厚生労働省│カウンセラー(医療福祉分野) 統計データ(2024年3月11日調べ)
しかし実際には、心理カウンセラーの資格の有無、雇用形態によっても給料には大きく差があります。
心理カウンセラーに向いている人の特徴
心理カウンセラーにはどのような人が向いているのでしょうか。ここでは主な特徴を紹介します。
コミュニケーション能力が高い人
先入観を持つことなく、話をありのままに受け止めて、耳を傾けるコミュニケーション能力はカウンセラーには不可欠です。
また、受容や共感していることを伝えるためにも、聴くことと話すことの双方の力が大事だと言えるでしょう。
時につらい話や重苦しい話を聴く場面もありますが、誠意を持って接し、適切に伝え返しができる人が向いています。
丁寧で穏やかな対応ができる
心理学の知識があるだけでなく、相手が話をしやすいように丁寧で穏やかな対応ができることが大切です。
クライアントはつらい状態で相談に来ることが多いためです。オープンマインドで、相談しやすい安心感が求められます。
根気強さを持っている
クライアントは、信頼関係を形成する前は、なかなか本音を話してくれないかもしれません。
時には話してくれるまで、根気強く待ち続ける姿勢も求められます。
自分の意見を押し付けることなく、寄り添い、時間がかかっても主体的に語るまで待つことも心理カウンセラーの役割です。
程よい距離感を保てる人
心理カウンセラーとして、カウンセラーの倫理規定を順守し、適切な距離感を保った状態で悩み相談に乗る力が求められます。
倫理規定は、カウンセラーとして働くうえでの行動規範となるもので、依存防止や適切な距離を取るために必要な関わり方など、大学や大学院などで学ぶ部分です。
悩みを解決するための支援をすることが心理カウンセラーの仕事ですが、あくまでも現状を打開するのは相談者自身です。
相手に感情移入しすぎると、関係性の線引きが曖昧になり、共依存に陥るリスクがあります。
知識欲があり自ら学び続けられる人
さまざまな人の悩みを解決するために、幅広い知識を取り入れていく必要があります。
自ら学び、持っている知識をアップデートしていくことが、相手の悩みを解決する糸口にもなるでしょう。
最新の心理療法や心理学にまつわる周辺領域の勉強をしたり、カウンセリングの経験を積んだりしていくことで、より心理カウンセラーとしてのスキルが高くなっていきます。
まとめ
心理カウンセラーは名称独占権がないため、誰もが名乗ることができます。しかし、一部の仕事では特定の資格が必須です。
資格を取得することで、自分の知識やスキルの証明はもちろん、年収アップや今後のキャリア形成にもつながります。
また、紹介したとおり心理カウンセラーには多種多様な資格があるため、身に付けたい知識やスキル、働きたい環境などから最適な資格を選びましょう。
あなたの目指すキャリアに合った最適な資格取得を目指し、心理カウンセラーとしての第一歩を踏み出してみてください。
監修者
田倉 怜美(たくら さとみ)
心理カウンセラー
エイド・カウンセラー・スクール 代表
心理歴18年以上、約700名(※) のカウンセリング経験を持つ心理カウンセラー。
※2024年4月16日時点
いじめ、セクハラ、パワハラの3重苦を乗り越え、心理系の大学を経て、カウンセラーに。相談者からは喜びと感謝の報告が多数寄せられている。「さとみさんみたいになりたい」との声が増え、カウンセラー養成スクールを設立。1,000人のカウンセラー育成を通じて、「いじめ0」の社会を創造すべく、まい進中。
主な資格は、認定心理士など。20代で独立し、開業8年目。主なメディア出演経歴は、かわさきFMラジオ出演、TBSテレビ出演など。著書「こころの予防医学」を出版。
マイナビ転職 編集部
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