欠点をさらけ出すのは勇気がいること
相葉:ミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」の公演が2019年11月5日(火)から始まります。吸血鬼と人間の対決を描いた伝説的な作品。以前からあこがれていたものなので出演できることがうれしいです。
桜井:私も同じです。コメディー要素満載で、ダンスも音楽もエネルギッシュ! それぞれのキャラクターにインパクトがあって、魅力的なミュージカルですよね。
相葉:今回の作品で僕が演じる青年アルフレートの役は東啓介さんとダブルキャストで、桜井さんが演じる宿屋の娘サラ役も神田沙也加さんとダブルキャストになっています。
桜井:サラはチャーミングな女の子。アルフレートはやや「ヘタレキャラ」(笑)。
相葉:そう。だから僕は稽古中から共演者の皆さんにたくさん甘えて、それがアルフレートの役作りにつながると勝手に信じています(笑)。
桜井:相葉さんはこれまでに数々のミュージカルに出演されているので慣れていると思うのですが、私はまだまだ経験が浅いので正直本番が怖いです。
相葉:僕だって怖いですよ。ミュージカルの歌のレッスンはいつから?
桜井:昨年、ミュージカル「レベッカ」に出演が決まった時にようやく本格的に始めました。所属していたグループ「乃木坂46」で歌ってはいましたが、根本的にミュージカルの発声はポップスと全然違います。とても難しいですよね。
相葉:実は僕、昔から歌に対しては苦手意識があるんです。
桜井:えっ、そうなんですか!?
相葉:16歳の時、ミュージカル「テニスの王子様」で本格的に俳優の活動を始めたのですが、その前は3人組のダンスユニットでストリートライブをやっていました。でも、僕だけ下手だったので歌わせてもらえなかったぐらいです。
桜井:相葉さんって歌が上手な印象があったので、そのお話は意外過ぎます。
相葉:そんな僕がこんなにも長くミュージカルをやるなんて思ってもいなかった。だから、今もどこか自分の得意分野ではないところで勝負している、という感覚があるんです。
桜井:でも、それができるっていうのはすごいです。欠点をさらけ出すって勇気がいることですしね。
想定外の道でも夢はかなえられる
相葉:桜井さんは、芸能界に入ったきっかけって何だったんですか?
桜井:私は小さいころから「いつか女優になりたい」と思っていました。それがなぜか人に勧められるまま「乃木坂46」の1期生オーディションを受けることになり、合格してアイドルになったという感じです。
相葉:幾つで乃木坂46のメンバーに?
桜井:17歳です。自ら望んで飛び込んだ世界ではなかったのもあり、「やっぱり自分には向いていない」と悩み、落ち込むことも多かったですね。それでも結果8年間も続けました。
相葉:やめようと思ったことは?
桜井:ありましたね。でもキャプテンだったのでやめるという決断はなかなかできなかった。とはいえ、この役職のお陰でメンバー一人ひとりと真剣に向き合うことができて楽しかったし、その分、グループにも深い愛情を持っていました。第一、乃木坂46のメンバーだったからこそ、映画や舞台に出演するチャンスにも恵まれたんですよね。
相葉:案外、自分の思い描いていた未来とは違う出来事が起きて、想定外の方向へ進んでいったりするものです。それでも夢をかなえることはできるんです。
桜井:本当にそう思います。
相葉:僕も、映像の仕事には興味があったけれど、あまり知らなかったミュージカルというものに出会ったからこそ、ここにいることができる。しかも今はまず、ミュージカルもできる俳優として認めてもらえることが大きな目標となっています。
桜井:素晴らしいです。そんな相葉さんがこの世界でやっていこうと決意したのはいつごろですか?
相葉:本当の意味で腹を据えることができたのはつい最近かも知れません。正直、僕も何度となくやめたくなったことがあります。とにかく歌への苦手意識が強かったので、ミュージカルをやる度に苦しく、つらいと感じていました。その繰り返しで日々歩んできたわけですが、でも17年に「レ・ミゼラブル」で帝国劇場に立たせていただいた際に、初めて自分のやってきたことがようやく一つ報われたという感慨があった。そこで覚悟ができた気がします。
(続きは10月18日(金)公開の後編で)
リーダーが語る、アシタを開く言葉
桜井玲香さん
「1%の才能と99%の努力」
中学生のころ、習っていたピアノに集中することができなかった時、ピアノの先生が言ったひと言。すごく心に残っています。
相葉裕樹さん
「何事も、なるようになる」
僕自身、結構何でも四角四面に難しく考えてしまいがち。そんな自分に言い聞かせるように時々「何事も、なるようになる」とつぶやくようにしています。
桜井玲香
1994年神奈川県生まれ。2011年8月女性アイドルグループ「乃木坂46」の一期生オーディションに合格。翌年からキャプテンを務める。今年9月1日、グループを卒業。13年から女優として活動を開始している。主な舞台主演作に「嫌われ松子の一生」「半神」「レベッカ」など。
相葉裕樹
1987年千葉県生まれ。2004年映画デビュー。05年『テニスの王子様』不二周助役で初舞台。09年『侍戦隊シンケンジャー』で一躍注目される。近年では、「レ・ミゼラブル」「HEADS UP!」などに出演。またアニメや海外ドラマの吹替えを担当するなど、幅広く活躍中。
※2人が出演するミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」は11月5日(火)から27日(水)まで東京・帝国劇場にて上演予定。