挑戦する背中を見せ、あこがれの存在でいたい
桜井:相葉さんは俳優デビューから2019年で15年とのこと。その間に大きな転機となった人との出会いなどはありますか?
相葉:15年にミュージカル「ラ・カージュ・オ・フォール 籠の中の道化たち」という作品で共演させていただいた市村正親さんの存在は大きいです。役者として市村さんのような生き方がしたいと思うようになり、そのためにももっと本気でミュージカルに取り組もうと心に決めたんです。その際、20代のうちに帝国劇場に立つことを一つの目標にし、2年後に実現できました。ところで桜井さんは、アイドルグループ「乃木坂46」を先月卒業されましたが、まさに19年の今年が大きな節目となりますね。
桜井:そうなんです。私は今年25歳になり、グループの更なる成長のために、そして自分のためにも今こそ次のステージに進むタイミングだなと思ったんです。後輩たちには、常に新しいことに挑戦する私の背中を見せていたい。あこがれの存在になれるよう頑張る、それもまた初代キャプテンだった私の使命だと考えています。
相葉:なるほど。では、乃木坂46は桜井さんにとってどんな存在なんですか?
桜井:家族よりも長い時間を一緒に過ごし、苦楽を共にした仲間のいる場所。もはや自分の一部のようなものですね。
相葉:すごいですね。僕の場合は、デビュー間もないころに出演した特撮ドラマ「侍戦隊シンケンジャー」が自分の原点と考えていて、そこで出会った仲間たちが活躍しているとうれしいし、それを見て自分も頑張ろうと思います。ちなみに桜井さんはメンバーからどんなキャプテンと言われていたんですか?
桜井:実は「ポンコツ」なんて言われていました。
相葉:えっ、そうなんですか、でも何かいいなあ(笑)。実際そうなんですか?
桜井:ライブで新曲のタイトルを間違えて紹介したり、一人だけダンスの振り付けを間違えたりと何かとミスが多くて、結構みんなからイジられていましたね。
相葉:そういう話を聞くと人間味があってホッとする。たぶん、みんなに愛されるキャプテンだったんでしょうね。
桜井:だといいのですが(笑)。
自信がないから欠点に向き合える
相葉:桜井さんは、仕事をするうえで何か心掛けていることはありますか?
桜井:よく笑うようにしています。
相葉:素晴らしい、大事なことですよね。
桜井:所属していたグループ「乃木坂46」でも、レッスン中に集中していて「今、『話しかけるなオーラ』出してたでしょ」なんて言われて笑い合っていました。相葉さんはいかがですか?
相葉:僕は「自信」というものをあまり持たないようにしています。もともと自分に自信のない人間なんですが、ないなりの闘い方ってあるなと最近思えてきましたね。自分の欠点を素直に見つめることができるし、どう改善していけばいいのかを客観的に考えることができる。冷静に現実に向き合えるという感じかな。
桜井:私も全然自信が持てなくて、そんな自分もあまり好きになれなくて。
相葉:本当ですか。でも、根拠のない自信をひけらかすより、「ない」とはっきり言えるほうが僕はいいと思う。
桜井:自信が持てないのは性格なので仕方ない。ただ、その分、自分なりに精いっぱいの努力をしなくてはと思っています。努力しても目標に届かないこともあるけれど、でも次こそ頑張ろうっていう気持ちがあれば、それでいいかなって。
相葉:僕は新しい作品に出会う度に大きな壁にぶつかっています。その都度それをどう乗り越えられるかだけを考え、突き進んできました。これからも常に壁はあるだろうと思います。でもそれを乗り越え、「次こそは!」と思いながら更に上のステージを目指して頑張りたい。
桜井:まったく同感ですね。私は舞台と並行して、映像の仕事にこれからもっと挑戦していきたい。そのためにもまずはよく食べてよく寝ようと思います。とにかく元気でいることが一番。具合が悪いと何一つうまくできませんから。
相葉:本当にそうですよね。僕は物事を考え過ぎるところがあるので、意識的に気を抜く部分を作るようにしています。舞台の本番中も、真剣に演じつつも、あえて遊び心を持って演じるような瞬間を作ってみたりして。
桜井:さすがです。でも、今回共演させていただくミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」では、妙なアドリブを入れないでくださいね(笑)。
リーダーが語る、アシタを開く言葉
桜井玲香さん
「1%の才能と99%の努力」
中学生のころ、習っていたピアノに集中することができなかった時、ピアノの先生が言ったひと言。すごく心に残っています。
相葉裕樹さん
「何事も、なるようになる」
僕自身、結構何でも四角四面に難しく考えてしまいがち。そんな自分に言い聞かせるように時々「何事も、なるようになる」とつぶやくようにしています。
桜井玲香
1994年神奈川県生まれ。2011年8月女性アイドルグループ「乃木坂46」の一期生オーディションに合格。翌年からキャプテンを務める。今年9月1日、グループを卒業。13年から女優として活動を開始している。主な舞台主演作に「嫌われ松子の一生」「半神」「レベッカ」など。
相葉裕樹
1987年千葉県生まれ。2004年映画デビュー。05年『テニスの王子様』不二周助役で初舞台。09年『侍戦隊シンケンジャー』で一躍注目される。近年では、「レ・ミゼラブル」「HEADS UP!」などに出演。またアニメや海外ドラマの吹替えを担当するなど、幅広く活躍中。
※2人が出演するミュージカル「ダンス オブ ヴァンパイア」は11月5日(火)から27日(水)まで東京・帝国劇場にて上演予定。