同じ商用車カテゴリーでも、今度は専業メーカーに目を向けてみよう。マイナビ転職編集部が着目したのは、日野自動車のブースだ。今回は、1.3リッタークラスからのダウンサイジングのニーズに応え、低回転高トルクな8866cc大型車用ディーゼルターボエンジン「A09C」、新興国向け車両にも搭載する7684cc中型車用ディーゼルエンジン「J08E」の2機種の商用車用エンジンがブースに並べられていた。
このエンジンを眺めていると、説明役のスタッフから「商用車のトラックやバスに求められるのは、シンプルで、安価で、長く使え、信頼性も高いクルマであること。そんな厳しいニーズに応えるスペシャリストとして、日野独自のモノづくりで世界と勝負し、それぞれの国や地域の社会インフラである物流や公共交通を担う完成車メーカーとしての責任を果たしていきたい」とのコメントをいただいた。
国内のディーゼルトラックでいち早く平成27年度燃費基準+5%を達成するなど、高い次元の燃費性能と環境性能との両立を誇る商用車専業メーカーのプライドが詰まった展示内容と発言に、思わずマイナビ転職編集部も首肯させられてしまった。
やはり、社会インフラとして多数のトラックやバスが使われている今、それらの燃費向上や環境負荷低減が喫緊の課題である。たとえ、コンマ数%でも改善することができたら、その波及効果は大きなインパクトを与えるものになる。その事実を一番よく理解し、課題解決に立ち向かっている商業車メーカーでの研究開発は、技術者ならずとも挑み甲斐ある仕事&環境と言える。
実際、日野自動車でも、今年の2月から新たに「材料開発部」を立ち上げ、「REACH(欧州の化学物質規制)」対応なども視野に新規材料の研究開発を進めている。「性能は環境のために」を掲げる日野自動車ならではの動向に、化学含め幅広い技術領域の耳目が集まっているようだ。
では、ここで完成車メーカーから部品メーカーに目を転じてみよう。そもそも、この展示会は自動車に関連するエンジニアに向けて開催されていることから、回を重ねるごとに部品サプライヤーをはじめ、検査技術、研究開発支援、素材系…など多彩な企業の出展が増加し、数々の最新技術が披露される場として機能している。自動車業界ではスタンダードであるものの、異業種の方にとっては、普段、あまり目にすることのない企業の技術に触れられる格好の機会だけに、より幅広い技術領域で多くの方々と接点がありそうな企業をピックアップする。
そんな観点から会場内を見渡し、今回は日立オートモティブシステムズのブースに足を運んでみた。1930年に日立製作所が自動車用電装品の国産化に進出したのを皮切りに、そこから1世紀近く国内外の完成車メーカーに独創の自動車関連技術を提案している、実力派独立系グローバルサプライヤーだ。そんな同社のブースでは、次世代モビリティを支える日立オートモティブシステムズグループの「環境」「安全」「情報」分野の先進テクノロジーが多彩に紹介されていた。
例えば、ステレオカメラや自動駐車システム、ADASコントロールユニットなどの車両統合制御システムなどは、シナジーソリューションとして先進運転支援システムの要となるもの。今回のブース出展もグループ企業のクラリオンとの共同であることからも、ワンストップで担える総合力が覗える内容だった。
加えて、高効率ICEシステムや将来のインテリジェントカーと親和性の高いモーター・インバーター・バッテリーなどの電動パワートレインシステムも展示紹介。「もしかしたら日立のリソースだけでも完成車がつくれるのでは?」と思わせるほどの深みある技術開発力は、ここでもしっかりアピールされていた。
その一方で、機械や電気・電子だけでなく、化学領域をはじめとしたさまざまな技術者の活躍の場としても未来のクルマづくりのフィールドは開かれていることにも、ぜひ、触れておきたい。その好例として訪れてみたのが、住友化学のブースだ。
自動車の技術革新への寄与、それを通じた持続可能な社会の発展への貢献をめざす新技術・新製品が、「かろやか」「やさしい」「うきうき」の3カテゴリーでプレゼンテーションされており、パーティキュレート・フィルタをはじめ、有機薄膜太陽電池(OPV)、防カビエラストマー材料、接着性樹脂、スーパーエンジニアリングプラスチック、高濃度ガラス繊維強化ポリプロピレン、高分子有機EL照明、高透過ポリカーボネート……などなど、多彩な化学素材系部品の展示が技術紹介とともになされていた。
中でも、パーティキュレート・フィルタは、ディーゼルエンジンの排出ガスから煤などの粒子を捕まえる排気フィルタとしてすでにおなじみの製品だが、今回は細かい六角形の穴を均一化する素材加工技術で、より吸着効率の高いフィルタに仕立てて展示。さらに、欧州EURO6でより厳格化されるガソリン直噴エンジン向けのパーティキュレート・フィルタも、先行開発フェーズの試作品を持ち込み、近い将来の完成車への搭載を予感させる仕上がり具合で展示されていた。
いずれもクルマづくりにはなくてはならない素材&要素技術であり、同社が掲げるテーマのように環境問題からの貢献度が高い領域でモノづくりに打ち込める環境は、多くの技術者にとって魅力的に映るだろう。
以上、ほんの一部ではあるが、マイナビ転職編集部セレクトによる展示ブースや企業の紹介だ。漠然とでもクルマづくりへの興味・関心から、転職先候補探しの一環として眺めてくださった方には、改めてお伝えしておきたいことがある。日本の基幹産業のひとつ、自動車業界は、今、本当に広範な領域の技術者を求めており、もしかしたらみなさん自身にとって大きなチャンスになるかも、ということを。
今回、訪れるブースの先々で、「マイナビ転職ですが、お話を伺いたいと思いまして…」とお声掛けすると、みなさん気持ちよくご対応くださり、いろんなお話をしてくださるのだが、ほとんどのブースで「いい技術者を採用するにはどうしたらいい?」と異口同音に逆取材されてしまったのだ。
各社それぞれの事情が異なるため、一口に“いい技術者”と定義してくくれないのだが、少なくとも同業(自動車業界)経験者だけでなく、機械、電気・電子、化学、素形材、IT……と、あらゆる技術領域で得意分野を持つ技術者を、ノドから手が出る勢いで求めている様子が、ひしひしと伝わってきた。
どんな技術ノウハウでも、それを糧に打ち込む技術者にとってモノづくりに挑戦できるフィールドがあるというくらい、クルマづくりの裾野が広がっていることを実感させてくれるイベントだったことは、マイナビ転職編集部が保証する。
つまり、それだけ自動車業界とあなた自身とに、自分でも気付かなかった/意識してこなかった接点がある、ということにほかならない。自らの得意分野を軸に、可能性との出会いを探してみる絶好のタイミングかもしれない。
