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サイボウズがAIを全製品に展開、「AI ラボ」として提供--「Cybozu Days 2025」で発表

thumb_cybozu_01サイボウズ 執行役員開発本部長 佐藤鉄平氏(写真撮影:齋藤 公二氏)

2025年10月27〜28日に幕張メッセでサイボウズ最大のイベント「Cybozu Days 2025 」が開催された。Day1 基調講演では、AIやDXの取り組みや製品開発の狙いや機能などが紹介された。ここでは、サイボウズ 執行役員開発本部長 佐藤鉄平氏とサイボウズ マーケティング本部マーケティング戦略部長 山田明日香氏が行なった製品アップデートの状況や生成AIへの対応状況、今後の計画の話をダイジェストでお届けする。

「kintone」の基本機能が改善、全社で複数のポータルの設定が可能に

まず「kintone」については基本機能の改善として、プロセス管理、絞り込み機能の拡充がある。プロセス管理では、代理承認が可能なプロセスが設定可能になった。作業者以外のアクションを設定することで代理承認や取り下げなどができる。また、絞り込み機能の拡充では、レコードの絞り込みや全文検索での条件など、選択できる条件が増えた。たとえば、添付ファイルありなしでの検索もでき、ファイルの添付を忘れている場合にリマインドを送るといったこともできるようになった。

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サイボウズの基本機能の改善について紹介。プロセス管理では、代理承認が可能なプロセスが設定可能になった。(写真撮影:齋藤 公二氏)

管理性の向上という点では、ポータル機能がある。全社でkintoneを利用する際に、1つのポータルだけでなく、複数のポータルが設定できるようになった。部門ごとにポータルを設定し、部門や業務に適したポータルを設定できる。管理統制機能も強化された。アプリ管理者の制限やメンテナンス中のアプリをエンドユーザーに表示させないアプリメンテナンスモードが搭載された。

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サイボウズの管理性の向上について紹介。ポータル機能では、全社でkintoneを利用する際に、1つのポータルだけでなく、複数のポータルが設定できるようになった。(写真撮影:齋藤 公二氏)

メール共有オプションを強化し、API拡充で柔軟なカスタマイズが可能に

拡張・カスタマイズ性の向上という点では、メール共有オプションの強化がある。会社の代表メールや部署のメールをチーム内で共有して、kintone上で送受信するといった業務ができるようになる。メールの自動転記や添付ファイルへの対応などが追加されている。また、8月にプレリリースした連携コネクタのオプションでは、kintoneやGaroonとMicrosoft 365をスムーズに連携する機能で、両者を使った業務の構築をノーコードで実施できる。

オプションだけでなく、カスタマイズも柔軟にできるようになった。まず新しいAPIとして、追加更新を行うUPSERT REST APIが提供された。また、JS APIが90個以上追加され、kintoneでの表現力が向上した。パートナーがkintoneのソリューションを開発する際もさまざまな業務に対応できるようになった。 またサイボウズ Officeでは、kintone連携やモバイルの強化が図られた。Garoonでは、モバイルや通知などの基本機能の操作性の向上と管理機能の向上が図られた。

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サイボウズ Officeでは、kintone連携やモバイルの強化が図られた(写真撮影:齋藤 公二氏)

「こうした機能の先に目指しているのは、より多様なお客さまがより多様な情報を扱えるプラットフォームになることです。サイボウズは理念として『チームワークあふれる社会を創る』を掲げています。よいチームワークのためには、特定の部署だけでなく、より広くみんなでシステムを使っていく、特定の業務だけでなく広い業務で使っていく、それによって、情報がみんなで共有され、業務がシームレスにつながっていきます。そしてそれぞれのメンバーが主体的に発想できるようになる。それがよいチームワークにつながると考えています。それを支えるプロダクトになるように日々のプロダクトの開発、改善を行っています。」(佐藤氏)

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機能の先に見えていること(写真撮影:齋藤 公二氏)

チームで使える安心なAIを全製品に展開

そこで大きなテーマになるのがAIだ。AIの特徴は「敷居がさがる」「扱える情報が増える」「システムがつながる」ことにあるという。

「AIは、プログラムだけでなく、言葉で指示することができます。また、AIとシステムをうまく融合させることでより賢い、スマートなシステムを作ることができます。それによってシステムの利用の敷居を下げ、みんなで使っていくことにつながります。また、AIは、数値だけでなく、非定型なデータや文章、音声、画像、動画などさまざまな情報を扱うことができます。AIを使って自律的に複数のシステムを柔軟に組み合わせることもできます。こういったAIの特徴を活かして、サイボウズのプロダクトとうまくAIを融合させることに取り組んできました」(佐藤氏)

具体的なAI機能としては、サイボウズ マーケティング本部 マーケティング戦略部長 山田 明日香氏が解説した。山田氏はサイボウズのAIの特徴として「個人で利用できるAIではなく、チームで利用できるAI」「専門家ではなく誰でも簡単に試せる」「安心して利用できる」点にあると説明した。

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サイボウズ マーケティング本部マーケティング戦略部長 山田明日香氏(写真撮影:齋藤 公二)

具体的な機能としては、検索を支援する「検索AI」や一覧表の分析を支援する「レコード一覧分析AI」などのほか、市民開発を支援するためのAIに相談しながらアプリを作成できる「アプリ作成AI」、プロセス管理を支援してくれる「プロセス管理設定AI」などがある。

【参考】:kintone AIラボ | kintone(キントーン)

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サイボウズのAI『kintone AIラボ』のAI機能(写真撮影:齋藤 公二)

AIとサービスを組み合わせ多様な業務を改善できるプラットフォームに

また、今後の予定として、アプリが社内ルールに沿って提供されているかを確認する「アプリ設定レビューAI」などを提供する予定だ。

AIは、kintoneだけでなく、サイボウズ OfficeやGaroonなどのグループウェア製品についても「AI ラボ」として提供される予定だ。具体的には、誤字脱字をチェックする「校正AI」、使い方や機能を質問できる「ヘルプAI」、長い文章やコメントをまとめる「要約AI」などが提供される。

また、開発者向けの取り組みとしては、大きく3つある。1つめは、MCPサーバーへの対応だ。8月に「kintone MCPサーバー」を、10月に「Garoon MCPサーバー」をそれぞれ公開した。ローカルMCPサーバーとしてOSSで提供され、さまざまなユースケースの開発を支援する。2つめは、マーケットプレイスへの「kintoneプラグイン」の公開だ。LangGeniusが提供するDifyマーケットプレイスに年内に公開予定で、これにより、kintoneと連携したAIアプリケーション開発が容易になる。3つめは、AIモデル「JavaScript API」だ。JavaScript APIで生成AIを活用したカスタマイズが可能になる。

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開発者向けの取り組み(写真撮影:齋藤 公二)

AIをさまざまなサービスと組み合わせることで、業務改善、もっと便利になる仕組みをつくることができます。JavaScript APIを使うと、kintoneからAIを利用できるようになります。これまでは、個別のサービスや連携サービスをつくるためにLLMを用意する必要がありました。JavaScript APIを使うと、LLMを用意しなくてもAIが使えるようになります。そこを目指して準備しています。誰もが多様な業務を改善できるプラットフォームとして進化していきます」(山田氏)

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サイボウズの今後の展望(写真撮影:齋藤 公二氏)

ライター

齋藤 公二 (さいとう こうじ)
インサイト合同会社 代表社員 ライター&編集 コンピュータ誌、Webメディアの記者、編集者を経て、コンテンツ制作会社のインサイト合同会社を設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集に従事する。IT業界以前は、週刊誌や月刊誌で、事件、芸能、企業・経済、政治、スポーツなどの取材活動に取り組んだ。
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