- 企業名
- 株式会社ゆめみ
- 役職
- 取締役CHRO
- 氏名
- 太田 昂志さま
略歴
2023年、株式会社ゆめみ入社。新卒でシステムインテグレーターを経て、組織人事系ファームに転じ、人材育成・組織開発のコンサルティングに従事。現在、企業のデジタル変革を支援する株式会社ゆめみにて取締役CHROを務める。全社的な事業推進、新規事業開発、人事領域全般を管掌。
𝕏 ID:@oh1ta
株式会社ゆめみ
略歴
2023年、株式会社ゆめみ入社。新卒でシステムインテグレーターを経て、組織人事系ファームに転じ、人材育成・組織開発のコンサルティングに従事。現在、企業のデジタル変革を支援する株式会社ゆめみにて取締役CHROを務める。全社的な事業推進、新規事業開発、人事領域全般を管掌。
𝕏 ID:@oh1ta
「ワークフルライフ(Workful Life)」という考え方のもと、社員が充実した人生を送れることを目指し、「フルリモし放題制度」や「有給取り放題制度」などユニークな制度を導入。
「まなびファンディング制度」や業務の10%を自主的なプロジェクトに充てられる「10%ルール」、「副業し放題制度」など、自己成長に必要な時間とリソースを自由に活用できるようにしたことが社員の成長加速を促し、競争の激しいIT業界において、事業成長および採用力の強化で高い成果をあげられています。
株式会社ゆめみはスマホアプリやWebサービスの企画・開発を手がけるIT企業です。2000年の創業以来、600社以上のクライアントに伴走し、法人のDX・内製化支援におけるリーディングカンパニーとして、従業員数約400名体制へと成長を遂げてきました。最終的なミッションとしては、法人企業の内製化を実現し、コア業務におけるアウトソーシングの時代を終わらせることを目指しています。現在は大手企業のWebサービスやアプリを数多く手がけていますが、おそらく皆さんもご存知のサービスが多いと思います。
当社ではクライアントに価値を提供するために「自律・自学・自責」を基本原則としています。この基本原則に沿うことを前提に、組織の制度やガイドライン、採用方針、育成方針を定めています。
当社はエンジニアやデザイナーなど、すべての職種が協力してサービスやプロダクトをつくる会社です。そんな当社のカルチャーを表すキーワードが3つあります。まずは「ドキュメントカルチャー」。システム開発では必ず成果物をドキュメントに残すことで、すべてを言語化し、共有します。この文化は組織の徹底した透明性につながっています。次に「レビューカルチャー」。モノづくりの過程で必ず対等な関係性でレビューを受け、ブラッシュアップしながら良いものを作っていく文化です。もう1つは「エキセントリックカルチャー」。もともとは特段変わった人間が集まっている認識はありませんでしたが、お客さまからは「ゆめみさんは変わった人が多いですね」と言われる事がしばしばありました。
そう言われる所以は、顧客の前であっても特徴的で変わった本来の自分を出してもいい、素のままに近い自分であってよいという暗黙の文化があるためだと、その後理解が進みました。今でもその文化が浸透しています。
当社は現在、社員が給与を決める「給与自己決定制度」を導入しています。初めは一般的な目標管理制度を採用していましたが、「自己評価制度」「自己申告制度」を経て、現在の制度にたどり着きました。
制度を決めるには、経営陣などの一部の層が決め、社員の合意を得て、説明会を開いて……などといったプロセスを踏んでいません問題意識を持つ人なら誰でも提案でき、他の社員はリアルタイムで議論の様子を確認したり、その過程で自由に意見を発信したりすることができます。まずはやってみて、走りながら修正していくやり方は、Webサービスやアプリを作る際のアジャイル開発と同様ですね。ベータ版をリリースし、実際にユーザーに使ってもらい、フィードバックを受けながら進化させるスタイルです。
「給与自己決定制度」についても、初めは「本当に自由に決めていい」という制度でした。しかし、さすがに何か基準がないと決められないというフィードバックを受け、ガイドラインが設けられました。それにより等級職位ごとに一定のレンジが定められ、さらに複数のレビューを受ける仕組みへと進化しました。給与を自己申告できるとなると高い金額を提示されるのでは? と思われるかもしれませんが、意外にもそんなことはありません。当社は真面目な人柄の社員が多く、自己分析がしっかりできているため、極端な高給をオファーする人はいませんでした。
当社はほかにも「フルリモし放題制度」、「有給取り放題制度」、「まなびファンディング制度」、「副業し放題制度」など、一見モラルハザードを招きそうな制度も導入していますが、むしろ完全にフリーにすると、自ずと秩序が生まれます。たとえば「有給取り放題制度」があっても、極端に休みをたくさん取る人はいません。仕事は自分の人生のひとつだと考えている方が多く、当社は成長につながる仕事が多いため、働いて経験を積むインセンティブのほうが大事だと考えているというのもあると思います。自主性を重んじて自律的に判断する自由な会社として、「自律・自学・自責」の根本原則やレビュー文化、アジャイル開発の考え方が、それを可能にしているのだと自負しています。
(左)執行役員CCO 福ちゃん (右)取締役CHRO 太田 昂志さま
今でこそ「成功事例」も増えましたが、そもそも数々の変革のきっかけは、2016年から2017年にかけて経験した出来事にあります。疲弊した部長が、会社は辞めないものの3名立て続けに部長職を辞するという事件がありました。システム開発プロジェクトにおけるミドルマネージャーは一般に、ピープル、プロジェクト、プロセス、プロフィットの「4つのP」のマネジメントを一手に担っており、この重責に耐えかねて部長職を辞めてしまったのです。当時の離職率は24%にも達し、抜本的な組織の見直しが必要になりました。
まず、特定の人に業務と責任が集中しないよう、マネジメントをチームで分散して担当するよう業務設計を見直しました。基本的な考え方は「人が組織に合わせる」のではなく「組織が人に合わせる」。2018年には「アジャイル組織宣言」を行い、ティール組織に転換。全員がCEOと同等の権限を持つ「全員CEO制度」を導入しました。
誤解されがちなのが、当社が「欧米の最先端の組織論」を取り入れているという印象を持たれる点です。もちろん、一部では海外企業の取り組みを参考にしていますが、基本的には米国型のヒエラルキーモデルではなく、日本古来のムラ社会の文化を組織運営に生かしています。秩序を伴った自由を実現できているのも、同調圧力が良い方向に働いているからでしょう。いわば日本型の組織運営を再発明・再インストールし、発信しているのです。
私たちの取り組みは決して完璧ではありません。例えば、メンタルヘルス対策として「保健室」を設立、積極的に定期面談を行うことで、若手を中心に一定の成果をあげていますが、一方で40代・50代の「ミッドライフクライシス」については、対応を模索しているとことです。また、キャリア形成についても、エンジニアがプロジェクト単位で動いている性質上、ロールモデルが見つけづらいという課題があります。
ゆめみは今後1,000名体制に向けて組織拡大を目指しています。今はうまくいっている制度も、この先は未知の領域。他社の前例もほぼないなか、今までと同様にトライアンドエラーを続けていくことになります。
その過程を多くの社員が楽しめているのは、価値観を共有できているからにほかなりません。根本をたどると「採用」に至ります。400名体制になった今も、人事まかせにせず代表自ら人材採用に深くコミットしています。どんな施策であれ、成否を左右するのは人。つまり、採用へ本気に取り組むことこそが、組織づくりのベースに不可欠だと考えているためです。
最後に、この記事を読んでいただいた皆さんに、ぜひ「ゆめみオープンハンドブック(永遠のβ版)」をご覧いただけたらと思います。ここには、当社の成功や失敗、その背後にあった議論の過程など、すべてをオープンに公開しています。
この取り組みの背景には、ゆめみが大切にしている「組織のひずみをなくす」という想いが込められています。ゆめみは「社会の実験室」として、社会や組織が抱える課題に向き合い、前提を疑いながら、新しい方法を模索し続けています。その中で得られた知見や学びを、このハンドブックという形で皆さんにお伝えすることで、少しでもお役に立てればと思っています。
もし、同じような課題に直面している方がいらっしゃれば、このハンドブックの内容が少しでも力になれたら光栄に思います。そして、もしゆめみと同じように、成功も失敗も共有し合え、互いに学び合える企業が増えれば、それは個々の企業の成長を促すだけでなく、最終的には日本経済全体をより強くする力にもなると信じています。