受賞企業インタビュー

「世界に、愛を着せる。」
お客さま・従業員双方にとって魅力的な企業であるために

株式会社オンワードホールディングス

企業名
株式会社オンワードホールディングス
役職
代表取締役社長
氏名
保元 道宣さま

略歴

1965年熊本県生まれ。1988年に東京大学法学部卒業後、通商産業省(現経済産業省)に入省。2006年株式会社オンワード樫山(現株式会社オンワードホールディングス)に入社。常務執行役員、取締役などを経て、2015年3月から現職。

取り組み内容と評価のポイント

販売職において上限なく高い給与水準を目指すことが可能な仕組みへ変更したことにより、平均年収が10%、25年卒採用より新卒初任給が16%アップすると共に、新卒採用人数も34%増加。努力に応じた給与アップが仕事のモチベーションにつながる結果となりました。

また、全職種対象の生産性向上を目的とした「働き方デザイン」プロジェクトを通じて、業務効率化とワーク・ライフ・バランスを実現。残業時間を41.2%削減。社員が主体的に働き方の改善に取り組める仕組みを導入するなど、心理的安全性の点でも高い評価となりました。

「モノづくりの力」と
「接客力」の二刀流

オンワードグループの歴史は1927年、紳士既製服を販売する「樫山商店」の創業に遡ります。現在では、「ファッション」「ウェルネス」「コーポレートデザイン」の3つの領域における事業を推進するとともに、海外においては、「ヨーロッパ」「アメリカ」「アジア」の3地域でビジネスを展開しています。

オンワードグループは高度経済成長期を背景に、抜群の集客力を誇った百貨店を中心とした積極的な出店により成長を遂げてきました。しかし、バブル経済崩壊以降、店舗売上が減少し、生産性・効率性が大きく低下してしまいました。そこで2019年度から、不採算事業・店舗の撤退や、DX推進をはじめとする大規模な事業構造改革に着手。近年その成果が、店舗あたりの売上高の向上や生産性の改善に表れています。

さらにオンラインストアと連動したOMO型店舗の展開を推進するなかで、オンワード樫山のさまざまなブランドの商品を販売する「ONWARD CROSSET SELECT(OCS)」をスタートしました。これにより店舗の複合化・大型化が進み、販売する側の自由度とお客さまの選択肢が広がったことで、収益性の向上につながりました。

こうした事業構造改革を進めるなかで改めて実感したオンワードグループの強みが、100年近い歴史で培ってきた「モノづくりの力」と、販売スタッフの高度な「接客力」です。競合他社には容易に模倣できない「二刀流」の文化が、オンワードグループの根幹にあります。

長く働く場として
魅力的なファッション業界へ

2021年4月には、2030年度に向けた成長戦略として中長期経営ビジョン「ONWARD VISION 2030」を策定しました。当グループのミッションステートメントである「ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを」のもと、「社員の多様な個性をいかしたお客さま中心の経営」を追求しています。「社員の多様な個性をいかした」という言葉には、多様化するマーケットに対応できるよう、多様な個性を持つ社員が集まる組織をつくることが欠かせないという考えがあります。

給与面においては、全職種(総合職・販売職・技能職)いずれにおいても業界最高水準の処遇を実現し、継続していくことを謳っています。最前線で活躍するファッションスタイリスト(販売職)のセールススキル向上が給与アップにつながる仕組みを導入したことで、「昇給や予算達成率に応じたインセンティブはやりがいになる」といった声が現場からあがり、仕事のモチベーションアップに貢献しています。

また、2023年度から「マイスター制度」を導入しました。これは60歳定年を迎えたスキルの高いファッションスタイリストを「ストアマイスター」として、再雇用後も適切な待遇で働き続けられる仕組みです。これによりマイスターに近い年代にとっては「しっかり自分を見てくれているんだ」と勤続のモチベーションアップにつながり、それ以外のスタッフにとってもマイスターのノウハウを学べたりサポートを受けられたり、育成面でも大きな成果が得られました。

これら待遇の改善は、オンワードグループのためだけでなく、ファッション業界全体を盛り上げ、安心・安定して働ける魅力的な業界にしていくことにつながればと考えています。

働き方を社員自らデザインする
「カエル会議」

2019年8月、業務効率化とワーク・ライフ・バランスの実現によって生産性を上げることを目的に、働き方改革プロジェクト「働き方デザイン」をスタートしました。当時、部署によっては長時間の会議やそれに付随する資料作成に追われ、長時間残業が慢性化。加えて働き方改革に対する懐疑的な考え方も根強く残っていました。こうした状況を変えるため、ファッションの会社らしく、社員が自発的に働き方をデザインし、良く変えていって欲しいという思いを込めて「働き方デザイン」とネーミングしました。

このプロジェクトは、残業時間を減らすことが最終目的ではなく、イノベーションの創出を目的としています。

こうしたゴールを共有したうえで、人事部門主導で進めた取り組みが「カエル会議」です。課ごとにそれぞれの「ありたい姿」を決めることから始め、週に1回程度、「ありたい姿」のために何をすべきかを話し合い、実行します。「カエル会議」では一人ずつ順番に意見を出していくのではなく、各々が考えてきたことを一斉に提出するようにし、上司への遠慮などが生じないよう工夫を凝らしています。誰もがフラットに話せる場にして「全員が楽しめる会議」を実現するため、ファシリテーションの研修も行いました。

「カエル会議」によって、実際に劇的に働き方が改善されただけでなく、普段から自由闊達に議論ができるようになりました。

ファッションを通して、
世界の人々の心をつなぎ、
愛と笑顔を広げていく

キャリア支援では「多様で個性的な人財の活躍をサポートする」方針のもと、認識の共有や価値観の共有を行う「ダイアログ・セッション」を実施しました。2023年度は女性の役員候補者が参加し、「対外的な数字合わせや社会的体裁のために、女性管理職を増やしているのでは?」といった誤解を解消し、経営戦略として本気で多様性に向き合っていることを伝えました。実際に話してみると、案外ざっくばらんに話してくださる方もいて、「管理職になったからと言って、すぐに成果を求められるのではないかという不安がある」といった率直な意見も聞くことができました。こうした対話で得られた気づきは社内にも発信しています。

マーケットが多様化してきている今、そのニーズを満たすためには、提供側にも多様性が備わっていなければなりません。当社の歴史は1927年にスタートし、今につながっています。これからは日本をはじめアジアから世界中にファンを作っていく、その素地は整っていると実感しています。しかし、オンワードグループも含め、日本のファッション業界の世界への発信力はまだ十分とは言えません。もっと世界に発信できる企業になっていきたいですね。

世界が殺伐としている昨今だからこそ、2025年、オンワードグループは「世界に、愛を着せる。」というメッセージを掲げました。ファッションを通して、世界の人々の心をつなぎ、愛と笑顔を広げていく挑戦を続けてまいります。

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