生成AIの利用を禁止している企業は26%、IPAが「営業秘密管理に関する実態調査」の結果を公開

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情報処理推進機構(IPA)は8月29日、「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」報告書を公開した。

調査は、2024年度における国内企業での営業秘密の漏えい発生状況や管理実態、対策などの実態把握を目的としてアンケートで行ったもの。2016年度と2020年度にも調査を実施しており、今回は後続となる調査として、2020年度の調査との比較も行なっている。

(※2024年度はウェブアンケート、2020年度は郵送アンケートを実施)

報告書のポイントの1つは、営業秘密の漏えい事例や事象を認識している割合が、2020年度から大きく増えたことだ。具体的には、過去5年以内の営業秘密の漏えい事例・事象を認識している割合は、前回(2020年度)の5.2%から35.5%に大きく増加した。

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(画像提供:独立行政法人情報処理推進機構)

漏えいがどのように行われたかついては、「外部に起因するサイバー攻撃による漏えい」が前回の8.0%から36.6%に大きく増加した。また「内部不正相当の漏えい」についても「現職従業員等によるルール不徹底」が32.6%、「金銭目的等の具体的な動機」が31.5%、「誤操作・誤認」が25.4%と上位を占めた。このことから「サイバー対策と内部不正防止の両面で対策に取り組む必要がある」と指摘している。

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(画像提供:独立行政法人情報処理推進機構)

また、業務における生成AIの利用については、何らかのルールを定めている企業の割合が52.0%に上った。ルールを定めていると回答した企業のうち「生成AIを利用してよい」割合が25.8%である一方、「生成AIを利用してはならない」という割合は26.2%と、許可と止が相半ばしている状況だった。

さらに「生成AIを利用してよい」の内訳をみると、「ルールを定め、業務では、外部にもオープンな生成AIに、公開情報のみ生成AIに入力して、取扱ってよいことになっている」が14.8%、「ルールを定め、業務では、組織内に情報開示を閉じた生成AI環境で、秘密情報を含めすべての情報を取扱ってよいことになっている」が11.0%となった。

一方、「生成AIを利用してはならない」の内訳は、「ルールを定め、業務では、一切生成AIを利用してはならないことになっている」が16.3%、「業務環境から生成AIを強制的に利用できなくしている」が9.8%だった。

報告書では、この結果を踏まえ「企業における生成AIの適切かつ安全な利活用を一層促す必要がある」と指摘している。

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(画像提供:独立行政法人情報処理推進機構)

【参考】:「企業における営業秘密管理に関する実態調査2024」報告書の公開 | プレスリリース | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構

ライター

齋藤 公二 (さいとう こうじ)
インサイト合同会社 代表社員 ライター&編集 コンピュータ誌、Webメディアの記者、編集者を経て、コンテンツ制作会社のインサイト合同会社を設立。エンタープライズITを中心とした記事の執筆、編集に従事する。IT業界以前は、週刊誌や月刊誌で、事件、芸能、企業・経済、政治、スポーツなどの取材活動に取り組んだ。
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