大賞企業インタビュー

「給与・働き方・キャリア支援」三位一体で改革。若手とベテラン、誰もがモチベーション高く働ける企業へ。

アイ・アール債権回収株式会社

企業名
アイ・アール債権回収株式会社
役職
常務取締役
氏名
菊地 隆文さま

略歴

1994年、アコム株式会社に新卒入社。営業店勤務を経て海外事業に従事し、タイ子会社への出向では業界初の個人向けカードローン事業に携わる。その後、財務部長として資金調達、広報・IR、サステナビリティ推進等を担当。2025年4月よりアイ・アール債権回収の常務取締役として人事部門を管掌。

取り組み内容と評価のポイント

業務の内製化と外部委託の最適化によって原資を確保し、収益を134%向上させるとともに、非成長産業とされがちな分野で年収ベース12.9~14.9%の賃上げと3年連続の処遇改善を実現。離職率は1.61%まで改善し、求人充足率も66%から約200%へと回復されました。

加えて、コミュニティ形成を軸に多様な人材が長期的、かつ快適に働ける環境を構築し、柔軟な勤務制度や専門性の高い社員に対する再雇用上限年齢延長にて人的資本経営を実践しました。更に自律型人材を育む体制を整備し、ナナメンター制度やキャリア支援室を通じ、若手定着とエンゲージメント向上を図るなど、持続性の高い人材活用モデルを確立しています。

大手グループの安定基盤のもと、
専門性の高い事業で強みを発揮

アイ・アール債権回収株式会社は三菱UFJフィナンシャルグループの一員であり、アコム株式会社が100%出資する債権回収会社です。債権回収会社(サービサー)というのは、銀行や消費者金融などに代わり、お金を借りている債務者から借金を回収する専門業者です。

バブル崩壊後、金融機関の破綻を防ぐための法律「サービサー法」が制定されました。この法律に基づいて不良債権を処理するサービサーが生まれたため、比較的新しい業界と言えるでしょう。現在、サービサーは全国で70数社。当初は大口の事業性債権を中心に扱っていましたが、現在は個人のリテール債権が主流です。当社もまさにそのリテール分野を得意としています。

サービサーという業界では商品自体で優位性を得るのは難しい現状です。そんななかで競争力を発揮できているポイントは、企業力や応対力だと考えています。

まず企業力については、三菱UFJフィナンシャルグループの一員としての経営基盤、アコムの100%子会社としての顧客基盤が強みとなっています。

そして、応対力は「人びとの豊かな未来への力になる」という経営理念が根底にあります。真面目な国民性である日本人は、借金を抱えたままでは、なかなか前向きな気持ちになれません。そして、お金のことは家族にも相談できないという人が多いのです。そんな不安を解消する手助けをするのが、専門知識を備えたサービサーです。

当社は「北風と太陽」の太陽のようなアプローチで、お客さまの返済意欲を後押しする姿勢を大切にしています。さまざまな事情を抱えたお客さま一人ひとりに向き合うプロが揃っているため、温かな企業文化が育まれていると感じています。

生産性向上により原資を確保、
基本給・昇給額・賞与アップを実現。
若年層の獲得、既存社員の
モチベーションアップを両立

設立から四半世紀が経ち、顕在化してきたのが社員の高齢化です。

次代を見据えた若手の採用・育成が急務となるなか、採用市場での競争力を高めるために必要となったのが給与アップです。2022年当初、競合他社に比べて明らかに低い給与水準が採用活動の最大のボトルネックとなっていました。長年にわたって業績に応じた昇給制度だったため、若年層の初任給の上昇に対応できていなかったのです。

加えて、既存の従業員のモチベーションも低下していました。頑張れば報われるという昇給制度はあったものの、ベースとなる給与水準が低いため、収入アップを求める同業他社への転職が増え、離職率が悪化していました。

そもそもサービサーは急に売上を伸ばせるようなビジネスモデルではありません。ただ給与を上げるだけではコスト増にしかならないため、持続可能な給与アップを実現するには、収益構造を変えていく必要がありました。そこで、給与アップを「生産性向上と連動した戦略的な投資」と位置付け、創業以来の改革がスタートしました。

まず給与アップの原資を確保するための生産性向上とコスト削減の施策として「封入封緘機の導入による請求書の内製化」「電子化による各種業務フローの効率化」「発送業務の外部委託」を通じて、経常利益10億円以上を安定的に確保できる体制を確立。そして、基本給・賞与における戦略的な年収アップ施策として「3年連続のベースアップ」「抜本的な基本給体系の見直し」「賞与における成果連動の強化」などを実施しました。

こうして基本給・昇給額・賞与の個人業績給を引き上げた結果、正社員の年収は12.9〜14.9%アップ。世間的には若年層の賃上げが注目されがちですが、当社は既存社員の給与アップも重視しました。特に、若手の育成にあたる課長・次長クラスの昇給率を厚めに設定しています。当社で積み上げてきた価値を高く評価し、自信を持って若手の教育にあたってほしいという姿勢を示したものです。

給与アップによって求人充足率が66%から200%に増加し、特に優秀な若年層の人材獲得につなげることができました。従来年間2名程度だった採用実績が、2023年度には目標7名に対して実績11名。その後も14名(2024年度)、18名(2025年度)と、採用力を劇的に回復させることができました。

長く充実して働いてもらうために。
ライフステージの変化に対応できる
制度・福利厚生を拡充

入社した従業員に安心して長く働いていただけるよう、働き方改革にも注力しました。

従来の制度ではライフステージの変化に対応できず、優秀な人材が離職してしまうことが課題となっていました。多様性への対応、組織へのエンゲージメントという点でも、時代に合わせた改革が必要とされていました。

働き方改革については、親会社であるアコムの存在が大きなメリットとなりました。アコムは従来からライフイベント・ライフステージや健康、ダイバーシティに関わる制度を積極的に導入しています。それを参考にしながらも企業規模や年齢構成などを考慮し、当社用にカスタマイズして導入したものもあります。

具体的には、育児関連休暇の拡充、ベビーシッター利用料の補助などの施策によって、子育て世代が安心して育児とキャリアを両立できる環境を整えました。その他、不妊治療のための通院・検診等に対する有給休暇「ライフサポート休暇」など、「多様な人材の活躍推進」と「ウェルビーイングの向上」をテーマとした制度・福利厚生を多数導入しました。

一方で、誰かが休んだときに他の人に負担がかかるのではないか、という懸念もありました が、介護休暇などはすでに利用されていますし、現場で大きな負担が生じているという話はあまり聞いていません。ありがたいことに、最近では20年前に入社したベテラン社員の方から「今、入社していたらもっと働きやすかったのに」という声もあるようです。

そして社員間のコミュニケーションの活性化とエンゲージメント向上のための施策として、本社の移転も行いました。以前は部署によって3フロアに分かれていたためコミュニケーションがとりにくい環境でしたが、移転後はワンフロアに全部署の執務室や休憩室を集約。部署を超えたコミュニケーションが活性化し、業務の効率化も進みました。

社員同士が日頃の感謝の気持ちを伝えるためにポイントを贈り合うピアボーナス「Unipos」も好評です。月を追うごとに活性化しており、一体感の醸成と企業理念の浸透・体現につながっています。企業理念というのはポスターにして飾ったり、読み合わせしたりして浸透させていくことが多いですが、「Unipos」を通じて行動で体現できる点が素晴らしいと感じています。

この先も若手と既存ベテラン社員、
双方の働きがいにつながる改革を推進

給与アップによって採用力を高め、入社してくれた社員が長く活躍できるよう「働き方改革」を進める。そして、最後のピースが、社員の継続的な成長につながる「キャリア支援」の仕組みを整えることです。従来は社員が自分のキャリアを自律的に設計し、必要なスキルを習得する「キャリア自律」の意識が希薄でした。また、新人教育においては、現場のOJTと人事部門の連携が取れておらず、問題解決の遅れが早期離職につながっていました。管理職層の評価制度への知識も不足しており、人事評価が社員の成長につながらないという課題もありました。

こうした課題解決のため、新入社員の育成プログラムを新たに構築。人事と配属部署が連携してOJTを手厚くサポートする体制を確立しました。また、入社直後から「他部署の先輩(ナナメンター)」がサポーターとなる「ナナメンター制度」を導入しました。利害関係がないからこそ相談しやすいというメリットがある上、メンターとメンティ両方の成長につながる仕組みとなっています。採用活動の際も「入社後の研修・育成体制が整っています」と胸を張って言えるようになりました。

キャリア支援の施策については、キャリアコンサルタントの資格を持つ人事スタッフが率先して推進しています。その方はもともと現場で債権回収を担当していたのですが、自力で資格を取り、人事総務への異動をしました。役職定年を迎えてもなおパワフルに制度の構築・運用に取り組む姿勢が評価され、昇進も決定しました。頑張ればしっかり評価され、実力でキャリアを切り拓いていけることを体現してくれる「キャリア自律」のモデルとなる活躍ぶりです。

一連の改革は若手の採用・育成・定着にフォーカスしたものが多いですが、育成において大切な役割を果たす既存社員の働きも高く評価しています。教育や評価の仕組みもしっかり体系化され、親子ほど歳の離れた部下の育成にやりがいを感じていただけているようです。1つの問題を解決しても、新しい課題が次々に出てきますが、これからも若手とベテラン双方の働きがいにつながる改革を進めていきたいと考えています。

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