【スキルアップ編】「資格」とは、「ゴールド持ってます」の一言で威力を発揮する(時がある)ものである|#エンジニアあるある システム開発現場・実録IT用語辞典

【スキルアップ編】「資格」とは、「ゴールド持ってます」の一言で威力を発揮する(時がある)ものである

お疲れさまです。今年はソフ開(ソフトウェア開発技術者試験)を受ける予定だったのですが、申し込むのを忘れて撃沈したMWです。保証のない身分で働いているので、気休めとしていくつか資格は持っておきたいところなのですが。仕方ないので、5月にTOEICでも受けて挽回します。

皆さんは資格に対してどんなアプローチをしていますか。私の周囲では、重箱の隅をつつくような問題をやるより、実践のほうが役に立つという理由で距離を置いている人もいれば、学習するうえでのちょうど良い目標になるから便利だという人もいます。

持っていて損はないとは思いますが、それほど大きく得という気もしない。どうアプローチするかが個々の判断に任されるのが、資格の面白いところだと思います。

#エンジニアあるある 実録IT用語辞典【スキルアップ編】INDEX

「資格」とは

自分はこの資格に合格する程度の知識は持っています、ということを証明することができるもの。

何も持たずに「データベースなら任せてください!」と言うのと、「自分、ゴールド持ってます!」と言うのとでは、威力が違うもの。

国がやってくれている情報処理技術者試験などは、ウイルス対策ソフトと同じくらいの価格で受けられるけど、ベンダー資格は1つ取るのにVistaのパッケージ版くらいの、けっこーなお値段がして、お財布的には痛いもの。

でも、3年間くらいのスパンで見れば、会社評価とか、派遣時の単価とかによって、それに見合う対価は得られることが多いような気がするもの。

ただし、資格によっては期限が定められていて、合格してから3年経つと、再度試験を受けない限り資格が抹消されるとかいう、技術者の気持ちを萎えさせるシステムになっているものもあるもの(移り変わりの速い分野だと、3年前の知識なんて半分は嘘と化していることがあるから仕方ないけど)。

現場を転々としている人にとっては、職務経歴書と面談でのトークスキルに並ぶ、案件獲得三大要素として取り扱われているもの。

三大要素のどれもが、その人の能力を完全に証明できるものではない、怪しげなものであるあたりが、システム開発現場のすてきなところ。

資格を取る際の目的として、評価面のほかに、大規模開発を希望してるのに、なぜかLAMP案件しか回ってこないという望まない立場にいる人が、DBやJavaの資格を取ることで、そっち系の仕事獲得の可能性を増やすとか、Railsのファンを自称する人が、数少ないそっち系の案件を獲得する為にRubyの資格を取る等、自身のキャリアをコントロールする目的で使用することもある。

ただし、同じDBの資格といっても「俺、ブロンズです!」とか言ってもそれほど効果がなかったり、「自分、ポスグレマスター持ってます」とか言っても物珍しそうに見られるだけで大規模案件なんかにはなかなか行けないので、選定には注意が必要なもの。

資格支援制度がある会社で働いている人は、受験料を会社から支給してもらえたり、合格すると報奨金をもらえることがあるあたりが、そういうシステムを持たない会社の人や、フリーの立場の人の目には眩しく映ることもある。

「書籍代」とは

エンジニアの家計をむしばむ災厄の種。

日々勉強していないとすぐに陳腐化した情報を抱え込むことになってしまうIT業界で、最先端ぽい場所に自身を置くことでコンサルとかアーキテクトのような上位の職種を目指したりしている人にとっては、将来的に回収できる可能性がある正当な出費。

知識を得ることで給料を上げようとかは一切考えてなくて、ただ新しい情報を見ると心がウキウキしてきてつい手にした本を購入してしまうという悲しい性癖を持つ人にとっては(筆者はおそらくこれに当たる)、ただ生活を苦しくするだけの悲しい出費。

書籍なんて買わなくても、GoogleやCtrl+Fが使えるWEBのほうが欲しい情報を手早く、しかも無料で引き出せるように思えるかもしれないが、実際にやってみると書籍のインデックスから探したほうが手早く欲しい情報が見つかることも多いような気がする。

たいていの書籍は(一部例外はあるかもしれないが)読者が理解しやすいように構成等が練られているのに対して、WEBの情報はその場の思いつきで適当に書かれたものが多かったりするのが、その理由の1つだと思われる。

また、所詮100dpi程度しかないディスプレイの解像度に比べて、1,000dpiとか2,000dpiとか平気で言える紙に書かれた文字のほうが読みやすいというのも、書籍の優れた点の1つである。

技術関連の書籍は安いものでも1,000円台半ば、高いものだと6,000円とか普通にするうえ、なぜか欲しいと思う本ほど高値で売られているという、寂しい値付けがされていることが多いもの。

そのため、多くのエンジニアが今日も書籍代を捻出できず、立ち読みで済ますなどの手段を使って、日々の研さんに努めている。

「雑誌」とは

IT関係の場合は月刊で発行されることが多く、ある種のテーマに絞った興味深い情報をいろいろと取り揃えてくれている。

ここ数年、売り上げが芳しくないせいか、休刊のお知らせを耳にすることが多くなったような気がするもの。

なお、休刊という言葉を聞くと「休むだけでまだ復活する可能性があるのか?」と錯覚してしまうかもしれないが、廃刊ではなく休刊扱いにしているのはただの大人の事情によるもので、実際に復刊する可能性はゼロと思って差し支えないと思われるもの。

割と良い雑誌が廃刊になったというニュースを聞いては、ちょっとだけブルーになるもの。

「オライリー本」とは

リアルな動物の絵の表紙がおなじみで、内容に関して信ぴょう性の高さや難易度の高さには定評があり、そして1冊5,000円とか6,000円とかいう価格設定がエンジニアの心や財布に深い傷を負わせたことなどが思い出深い、オライリー・ジャパン(洋書に手を出す人はO'Reilly Media)という出版社の書籍たちのこと。

オライリー本は「ラクダ本」などのニックネームを持つように、ラクダ(プログラミングPerlの表紙)やライオン(Java魂)など、動物の絵を表紙に使用することが多い。

非常にリアルな絵が使用されているのだが、そのリアルさゆえに、時々気色悪いという表現がしっくりくるような表紙ができあがってしまうこともある。

例えばPython関連の書籍には当然のようにリアルなニシキヘビの絵が表紙に使われている。Python=蛇はエンジニアなら誰もが連想してしまうことだし、Pythonプログラマはみんな蛇に慣れている(筆者主観)ので問題はないかもしれないが、一般の人から見ると若干敷居が高い表紙である。

また、なぜか「C# クックブック」という、どんな動物を持ってきても良さそうな本にも蛇を使っていたり、Oracle関連の書籍はムカデやハエといった、「この本は売る気があるのだろうか」とか「Oracleのこと嫌いなんだろうか」といった気持ちを抱かせるような表紙を採用している。

タイトルにHacksと付く書籍では、卓球のラケット(Ajax Hacks)や、靴(Perl Hacks)、碁盤(Binary Hacks)など、動物以外のものを表紙に持ってくることもあるようだ。

「座学」とは

主に書籍を読んだり講義を聴く等、ものを実際に作るのではない方法で学ぶこと。

実践的な学習方法しかして来なかった分野について、ふと立ち返ってじっくり本を読むとか、正規のドキュメントを見直すとかすると、これまで意識して来なかった分野で発見があったりして、何かと面白いもの。

ただし、実践的学習法に比べて座学は、ものすごく眠くなりやすいというデメリットがあるので、苦手な人は無理にやるのは避けたほうが良いと思われるもの。

現場では、たまに担当する案件がなくて、でも契約上8時間は会社にいないといけないといった時に、デスクに座って暇だなぁと呟きながら本を読むなどの場合に発生することがあるもの。

「勉強会」とは

毎週のように日本のどこかで行われているらしいもの。会社で行われているものや、個人で場所を借りて行っているものがある。

家で1人で勉強しているよりも集中して学べたり、人脈を広げられたりするなどのメリットがある。自分で勉強会を開いたりするともっと勉強になるのだが、準備に物凄く時間がかかるので、時間に余裕がない人間がやろうとすると痛い目に遭う。

大抵は土日の昼間や平日の定時以降に行われ、休みの日だというのに勉強したいと思う勤勉な人たちや、24時間365日プログラムと共にありたいと願うある種の病気にかかってしまった人たち、会社からのプレッシャーに折れて面倒だけど勉強しないとマズイよなぁと思った人たちなどが参加するもの。

「自己投資」とは

エンジニアのような、スキルの高低によって給与に差が出やすい仕事をしていると、やっておいても良いかなと思うもの。

例えば受験料が2万5,000円の資格を、書籍購入等の経費5,000円ほどかけて取得したことで、給料が3,000円上がったとする。この場合、10カ月で元が取れる計算になる。資格を取ることで給与が上乗せされる会社に勤めている人は、自腹で取っても十分に得になることが多いと思われる。

情報処理技術者試験やTOEICなどは、転職や査定などの時に十分な効果を発揮すること請け合いなうえに、受験料はたったの数千円なので、非常に良いコストパフォーマンスが期待できる。ただし、その分、評価される資格やスコアを取るにはかなりの量の勉強時間という名の投資が必要になったりするわけだが。

研修やセミナーを受講し知識を広げるという方向で自己投資をしている人も多い。それらは無料のものから、数万円程度のなんとか個人で支払えるレベルもの、数十万円とかいう会社を頼らなければ無理と思えるような金額のものまでさまざま。研修やセミナーは資格のように形としては残らないものが多いので、投資した分を回収できたかどうかを数字として明確に見ることは難しいかもしれない。

「無駄骨」とは

大枚をはたいて参加した研修の内容がほとんど既知のことばかりで、あまり役に立たなかった時に思う言葉。

ほかにも、編集していたファイルを保存しようとした瞬間にアプリケーションが固まってしまい、編集内容が失われてしまった時に思い浮かぶ言葉。

あるいは、パフォーマンスチューニングをしている時に、処理速度を向上させる方法がひらめいて時間をかけて実装してみたけれど、いざ実行してみたら大して速くなってなかった時に思う言葉。

形式的に作っておかなければいけないことになっているけれど、作っても誰も見ないことが分かりきっている仕様書を、何時間もかけて書いている時に思う言葉。

プロジェクトのメンバー全員で飲みに行った翌日、二日酔いでフラフラになりながらちゃんと定時に出社したら、自分以外のメンバー全員が午前半休にしていた時に思う言葉。

数週間かけて作った機能を実装して、ちゃんとテストをした後に「ごめん、その機能使わなくなった」という残酷な言葉を投げかけられた時に思う言葉。 

#エンジニアあるある 実録IT用語辞典 【注目のキーワード】

あわせて読みたい

注意!!

この連載記事には必ずしも正しいとは限らない内容が含まれています。この記事を信じたことによって発生した障害に対して、筆者及び株式会社マイナビは一切の責任を負いません。ご容赦ください。

※この記事は2007/11/23〜2009/08/28に連載された内容を再構成しています

著者プロフィール:MW(えむだぶりゅー)

Java、PHP、C、C++、Perl、Python、Ruby、Oracle、MySQL、PostgreSQL関連の業務経験がある、典型的な広く浅い役に立たない系のウェブ(時々クライアント)アプリのエンジニア。 週に1日休みがあれば、ほか6日間は終電帰りでも全然へーきな体力と、バグが出ても笑って誤魔化す責任感の無さを武器に、今日も修羅場った開発現場の風景を横目で見ながら、適当に仕事をこなす日々を送る。
著書「それほど間違ってないプログラマ用語辞典」(発行:毎日コミュニケーションズ)

  • twitter
  • facebook
  • line
  • hatena

勤務地を選ぶ

職種を選ぶ