巻ノ三ひとりに疲れて、彼は仲間探しの旅に出た
相変わらず「投稿募集中です~」なこの連載。したがって第三回目もまたもや私の知人ネタです。 15で社会に出てみたら~、すり切れるほどに使われて~、点滴主食で生きている~♪……と、そんなギザギザハートなM山さんの転職体験談をご紹介。
誰かいっしょに苦労してちょんまげなのだ
フリーランスのSEとして個人契約で仕事をしていたところ、どうにもナンデモ屋扱いされてすり切れる一方だ……と疲れ果ててしまったM山さん。「仲間」というものがいる職場で働きたいと、そんな願いをふと抱いたのは23歳になった年のことでした。
「胃が完全に止まっちゃって、スポーツドリンクと点滴が主食な生活なんて、もうまっぴらゴメンなんだ!」
うんうん、誰だってイヤだよねそんな生活は。つか、そうなるまで働いてたのか。スサマジイなそれ。
さて、15歳で社会に出ただけあって、23歳という若さでありながらもキャリアだけはたっぷりなM山さん。当然知り合いだってたっぷりです。
「だったらウチに来いよ」
そんなうれしい声をかけてくれる人も、ひとりやふたりではありませんでした。
年齢的にも有利なためか、転職サイトに登録してみれば、そちら経由でもポコポコと内定が続きます。もう当時の就職不況などどこ吹く風。
「ダテに点滴うちながら働いてないぜ!」
……と彼が思ったかどうかは定かでありませんが、とにかくそんな彼の仕事っぷりは、間違いなく転職活動にプラスの作用を及ぼしていたのでした。
けっきょくまたもやナンデモ屋
様々な企業で面接をうけるうちに、M山さんは「やっぱり清く正しい日本企業は肌に合わん」という思いを強めます。彼にとってそれらの会社は、「なんか言葉面だけが綺麗で、中身が伴ってない会社」のように思えたのです。それに今さら新人並みの給与にされても困るので、古き良き年功序列制度を採る会社には、23歳の彼が行く場所はない……というのもありました。
ところが……。
「んな金額じゃうけらんねぇよ! 年俸でこれこれこーだって言ってたでしょーが!」
「いや、だからうちで君の年だと新入社員と同じで……」
そんな計算の上で決めたはずだった転職先は、ベンチャー系企業の関連会社。ところがこともあろうに、入社後働きだしてから面接時の話をちゃぶ台返しで、しかも組織の中へと仲間を求めに行ったはずなのに、「お、コイツ使えるな」とあちらこちらで助っ人要員として使い回される体たらく。
「おまえの稼働が180%になってしまっているのはわかっている。でもなんとかあと20%をこっちに振り分けてくれ」
直接の上司から、はやくもそんなセリフが飛び出すに至り、彼は心の底から思うのでした。
「転職決定! 次だ次~!! 付き合いきれるかこんなとこ~!!」



仲間ってのもアレですよね。人がたくさんいればよしってわけじゃなくて、やっぱり「同じ目線で働ける人」じゃないと仲間たり得ない現実はありますよね。
切磋琢磨。いい言葉だと思います。
それができる職場に彼が巡り会えますようにと、ただそう願ってやみません。
■著者プロフィール
きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわらウェブ上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
遅筆ながらも自身のサイト上にて、4コマまんがは現在も連載中。
http://www.kitajirushi.jp/
■著書紹介
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