巻ノ二十九パワハラ、セクハラ、なんでもありか!? そして選んだ、個人事業主という働き方
理想の会社に巡り会えたと思ったら、その会社があえなく倒産。その反動で、「つぶれない、しっかりした会社を」と会社選びをしたA山さん。
はたしてその結果は……。
自分に合う会社・働き方とはなにか、そんなことを考えさせられる体験談です。
転職はある日突然に
1社目で働いていた時の倍の給料。責任ある仕事も任せてもらえて、周囲には実力のある人ばかり。しかも超フレックスで勤務時間は自由裁量。
A山さんが入った2社目の会社は、彼女にとって「楽園」といっていいほど、お気に入りの会社でした。本当に楽しくて、一生ここで……と思うくらい。
しかし突然の倒産が彼女をあわてさせます。早く次の職をと焦るあまり、A山さんはあまり条件を整理できないまま……しいて言うなら「倒産しないところ、お給料をキチンと払ってくれるところ」といったくらいの条件でもって、新しい職場を決めることになるのです。
人材紹介会社経由で彼女が見つけたのは、「さらに給与は1.5倍」と、さすがは上場企業だといった風情の待遇を持つ大きな会社でした。
「リーダー経験とかある?」
「ハイ!!」
「うちは女性にも開かれた会社だからね」
そんな会話を面接で交わした後、彼女の3社目は、ここに決定したのです。
女は結婚とか出産があるから……
入社後、A山さんには、新人くんの書いた汚いプログラムの書き直しに代表されるような、「尻ぬぐいか雑用仕事」ばかりがまわってきました。雑用仕事のくせして、客先に1週間泊まり込みを余儀なくされたりなど、つらいばかりで報われません。
あるプロジェクトに「やらせてください!!」と声を挙げた時などは、「女は結婚とか出産があるから、重要な仕事なんか任せられるか!!」と一喝されてしまう始末。出産どころか、結婚すらまだだったのに……。
彼女がいない40歳過ぎの人と組まされては、毎日のように「あいつの彼女になってやって」としつこく言われ、忘年会などの会合の度に、副社長の隣へ座らされるのはもうお約束。役員との接待麻雀には強制参加な一方、仕事面では係長の補佐からは抜け出せず……。
ぶすぶすと不満が燻(くすぶ)り続けるA山さんに転機が訪れたのは、ある出会いがきっかけでした。彼女の働く職場に「個人事業主として仕事を請けている女性」がいて、その人から個人事業主のことを聞く機会があったのです。これに興味を持ったA山さんは、自分でも調べてみたり、その関係の事業者が集まる組合の集まりに参加してみたりして、「個人事業主」という働き方に理解を深めます。
やがて副業として仕事を請けるようになり、そのパイプが固定化したあたりになって、A山さんはとうとう退職を決意。個人事業主への転身を果たしたのでした。
「中小企業との仕事が多いですが、直接エンドユーザーと向き合えるのも魅力のひとつです」そう話すA山さん。会社の看板じゃなく、自分自身を気に入って付き合ってもらえる環境に、これ以上ない満足感を抱いているようです。



なんつーか、すごいなA山さんモテモテだなぁ……とまずは思った体験談でした。その仕事に対するバイタリティ含め、かなり魅力的な女性なのでしょうね。
だったらそれに報いてやればいいものを、自分たちに都合のいいとこだけ「モテモテ」扱いにしちゃうからおかしなことになってくる。なんとまぁ背骨の入ってない男性社員どもであることよと、3社目の会社には情けない気持ちしかわいてきません。まったくこれだから古い会社は嫌なんだ。ぶつぶつぶつ。
そんなA山さんも今は個人事業主。存分にその魅力を発揮して、大成して欲しいなと願う次第です。
■著者プロフィール
きたみりゅうじ
もとは企業用システムの設計・開発、おまけに営業をなりわいとするなんでもありなプログラマ。あまりになんでもありでほとほと疲れ果てたので、他社に転職。その会社も半年であっさりつぶれ、移籍先でウィンドウズのパッケージソフト開発に従事するという流浪生活を送る。本業のかたわらウェブ上で連載していた4コマまんがをきっかけとして書籍のイラストや執筆を手がけることとなり、現在はフリーのライター&イラストレーターとして活動中。
遅筆ながらも自身のサイト上にて、4コマまんがは現在も連載中。
http://www.kitajirushi.jp/
■著書紹介
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