転職Q&A【法律関係】
取引先の名刺は退職時に返却しないとダメ?
更新日:2025年12月24日
退職時に上司から取引先の名刺を返却するように言われました。後日、何かの役に立つかもしれないので、できれば返却したくないのですが、返さなくてはいけないのでしょうか?
スイカ(30歳 女性)
A
取引先の名刺は会社の資産。退職時は返却が原則で、持ち出しはトラブルのもとになります。
名刺(顧客情報)は会社の「知的財産」
名刺には取引先の会社名や氏名、連絡先などの顧客情報が含まれており、これは会社の知的財産とされています。
内容によっては営業秘密として法的に保護されることもあり、退職時に無断で持ち出すと、秘密情報や個人情報の不正取得と見なされる可能性があります。
利用目的によっては「悪用」と見なされることも
名刺に含まれる顧客情報を、退職後に同業他社での営業活動や独立開業に利用した場合、たとえ個人的なつもりでも、「不正利用」や「顧客引き抜き」と判断される可能性があります。
こうした行為は、企業の利益を侵害するものとされ、在職中であれば懲戒解雇、退職後でも損害賠償等の法的トラブルに発展するリスクも否定できません。
また、名刺は「持っているだけなら問題ない」と思われがちですが、会社の資産である以上、退職後に個人で保有すること自体が不適切とされる場合もあります。
更に、実際に利用すれば不正使用と見なされ、重大な責任を問われる可能性があります。
秘密保持契約に違反する可能性がある
名刺の持ち出しや退職後の利用は、秘密保持契約に違反し、民事上の責任を問われる可能性があります。
たとえ悪意がなくても、情報管理の観点からは法的にも倫理的にも問題視される行為となりうるため、細心の注意が必要です。
実際に損害賠償に発展した判例も存在
実際に、在職中に別会社を設立し、退職後に前職で得た顧客の名刺を利用して営業活動を行った社員に対して、会社の損害賠償請求が認められた判例があります。
このケースでは、在職中に名刺を別会社の業務に使う目的で持ち帰ったことが、雇用契約上の義務違反にあたると判断されました。
名刺の利用方法によっては、実際に損害賠償を命じられる可能性があることを理解しておく必要があります。
※この情報は2025年7月1日時点のものです。
回答者
永廣 勇資
社会保険労務士
ながひろ社労士事務所 代表
2011年社会保険労務士登録。
豊富な実務経験を基に、企業労務顧問、人事労務アウトソーシングを専門とする。特に、人材確保が喫緊の課題である運送業向けコンサルティングに注力。
独自のノウハウを駆使し、企業の成長を力強く支援するほか、企業のパワハラ予防対策にも定評がある。従業員が安心して働ける職場環境づくりに貢献し、労働トラブルの未然防止にも取り組んでいる。
労働法規の専門知識と実務経験を活かし、企業の持続的な発展を力強く後押しすることを心掛けている。
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