ダイヤモンド・オンラインの記者が斬る! 最近のおシゴト事情
夏ボーナス、上がったのは5人に1人という景気回復の意外
掲載日:2015.10.28
国家公務員の夏のボーナス平均支給額が、前年夏と比べ、約3万3200増(5.7%増)の約61万9900円になったと報じられ、注目を集めたのは記憶に新しい。しかし、それ以上のインパクトを与えたのが、経団連が発表した大手企業の夏のボーナス平均支給額が3年連続プラスの91万3106円だったことだろう。リーマンショック前の2008年以来の高水準だという。
一方で、「ボーナスアップなんて実感できない!」という読者は、実に多いのではないだろうか。それもそのはず。ダイヤモンド・オンラインが、読者に対して「ボーナス上がりましたか?」というアンケート(※)を実施したところ、「下がった」、「変わらない・その他」という人の合計が80%に上り、「上がった」人は20%に留まっていたからだ。
(※)スマートフォンにてサイトにアクセスしたダイヤモンド・オンライン読者を対象に実施。2万6805人から回答を得た。調査期間2015年6月22日~7月2日。
なぜ大企業はボーナスアップしたのに 中小企業では増えないのか
今回のアンケートでボーナスが「上がった」とした回答を、勤め先の企業規模(大企業or中小企業)で分けてみた。すると、大企業では「上がった」人が35%超だった一方で、中小企業は14.6%と両者で大きな差があることわかった。なぜ、大企業と中小企業の間で、ここまで「上がった」人の割合に格差が生まれてしまったのだろうか。
「ボーナスに限らず、給料アップを決定づける要因として、(1)企業業績、(2)労働需給、(3)インフレ率の3つを挙げることができますが、今は全て好転しています。企業業績は円安・株高の影響でアップし、労働需給に関しても5月の完全失業率は3.3%と改善。また、消費税率アップの影響でインフレ率も上昇している状況です」
ボーナスアップの背景をこう語るのは、第一生命経済研究所の永濱利廣・主席エコノミストだ。永濱氏は、大企業と中小企業で差が生まれている理由を次のように解説する。
「労働需給とインフレ率については、大企業も中小企業も条件は同じです。両者を大きく分けたのは、企業業績でしょう。アベノミクスの影響で、円安・株高が進みましたがその恩恵を受けられるのは、グローバル展開し、海外現地法人を持つ大手企業が中心です。一方、グローバル展開をしていない内需型の中小企業は、円安の影響でむしろ原材料コストが上昇したことで業績を圧迫されています」(永濱氏)
こうした点からも、今回のボーナスアップによって恩恵を受けているのは、大手輸出関連製造業を中心に、外国人観光客の増加で恩恵受ける旅行・運輸、さらに金融・不動産といった業界などに留まっているようだ。
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今後は中小企業も二極化 ボーナスアップの可能性があるのは?
では今後、日本の全雇用者の約7割が働いている中小企業にその恩恵が下りてくることはあるのだろうか。
「これからは、恩恵を受けられる中小企業と受けられない中小企業に二極化するでしょう。大企業ほどではありませんが、大手輸出型製造業の下請けを行う中小企業やグローバル展開をする中小企業は恩恵を受けられる可能性があります。しかし、販路が国内向けのみで、輸入依存度が高い中小企業は、今後も厳しい状況が続くのではないでしょうか」(永濱氏)
景況感が以前より好転し、労働需要も高まっている状況にもかかわらず、企業の優勝劣敗がボーナス額からも明確になってきた。これを機に日本企業の新陳代謝が静かに起これば、政府も課題としている人材の流動化も自然と進むのかもしれない。
(ダイヤモンド・オンライン編集部 林恭子)
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