仕事に効くエッセンスが凝縮！　落語に学ぶ商談テクニック

掲載日：2016.1.21

本屋に行くと、落語にまつわるビジネス書が数多く販売されているなど、近年、落語とビジネスの関係に注目が集まっています。どうやら、エリートほど落語を聴くというのです。それは一体どうしてでしょうか？

「落語のストーリーには弱者の失敗談や、常識をがらりと変えるような発想が含まれています。落語を聴くことで新しい視点を発見することもあり、更に想像力も要求するので、仕事に役立つと考える人が多いのかもしれません。何と言っても、落語とビジネスの商談は似た構成になっているんですよ」

こう話すのは、『この一冊で仕事術が面白いほど身につく落語力』（PHP研究所）の著者で落語家の立川談慶さん。落語と商談の構成が似ているとは？

「落語は『まくら』『本題』『オチ』の3つで構成されています。まくらとは、本題に入る前の小話のことで、お客さんの心をつかむ大事なところです。落語ではラストのオチから逆算して、冒頭のまくらに何を持ってくるかを考えます。ビジネスでも同じで、商談成立というクライマックスのために、冒頭の雑談で相手の心をつかむことが重要ですよね」（談慶さん　以下同）

確かに言われてみれば、落語と商談の構成は似ているかもしれません。では、商談の鍵となる相手の心をつかむ小話は、どうやって見つければいいのでしょうか？

「秘訣は対象を好きになることです。商談相手のことを好きになれば、相手の興味関心や課題をとことん調べるはずです。そして両者の共通言語は何かと探るのです。もっと言ってしまえば、仕事を好きになることです」

談慶さんによれば、落語の師匠である立川談志さんのことが好きだったから、辛い修行にも耐えられたと言います。ホレた弱みが、原動力になったようです。ちなみに、落語を仕事に生かすなら、初心者はどの落語から入るのがいいでしょうか？

「新作落語である、志の輔師匠の落語『親の顔』が聴きやすいのでオススメです。志の輔師匠で落語の耳を鍛え、落語力を高めてから、古典落語である師匠談志の『芝浜』などに進んでいくといいですよ。どちらも、人のミスやウソを否定するのではなく肯定し、そこに食い違いが生じて、笑いや感動に変えています。人生の真理を学べるでしょう」

商談時には、落語家のように演者になりきって、相手の心をぐっとつかむ小話をすると成功率がアップするかもしれません。落語を聴いて、笑いや間についても習得してみましょう！

（名久井梨香＋ノオト）