
忙しくて転職活動ができないという人に
仕事が忙しいのは有能な証し。むしろ転職活動には有利
忙しい人ほど転職に成功する。時間の使い方を工夫してみよう
「仕事が忙しいので転職活動ができない」「このコラムで紹介されているくらい丁寧に対策を練る余裕がない」という声をよく聞きます。しかし、社会人ならば仕事が忙しいのは当然。まして有能な社員であれば多くの仕事や責任ある立場を任されますから、相当な忙しさになるものです。
実は仕事が忙しいことは、転職する上でメリットになり得ます。なぜなら、採用担当者の立場からすると、仕事が少なくて暇な時間がある人よりも、重要な仕事に数多く取り組み、忙しく働いている人のほうに魅力を感じるからです。要するに「面接の日時はいつでも大丈夫です」という人よりも、「○日の○時しか時間がとれません」という人のほうが、現在の勤務先で活躍している可能性を感じさせられるのです。ちなみに、本人に有能さを感じれば、企業側が面接の日時を調整してくれるようになるものです。
つまり「仕事が忙しいことは転職活動に有利」なのです。転職活動でのライバルは、あなたよりも時間がある人ではなく、あなたよりも忙しい人であると心得てください。
長期計画と時間の有効活用が転職に成功する秘訣(ひけつ)
忙しいのになぜ転職活動ができるのでしょうか。転職に成功した人の傾向を見ると、半年~1年程度の長期計画で転職の準備をし、通勤時間などのすきま時間を有効活用していることが分かります。行き当たりばったりの転職活動はせず、時間を有効に使っているのです。
素材メーカーから専門商社に転職したMさんは、1年計画で転職準備をしました。最初の1カ月は業界研究を中心に行い、2カ月目は企業研究、3カ月目は自己分析、4カ月目は履歴書の作成、5カ月目は面接対策、と毎月テーマを決めて転職に必要な準備を入念に行い、転職を実現させる時期を1年後に設定し、焦らずに取り組んだのです。
さらに、毎日の通勤時間のうち15分間のすきま時間を「転職活動タイム」に割り当て、新聞の求人欄やモバイル転職サイトをチェックしました。求人情報だけでなく書類の書き方、面接対策などのコンテンツを熟読し、重要ポイントは「転職活動ノート」を用意してひとつにまとめる。これを1年間続けたそうです。1年後、Mさんの手元には、転職活動を成功させるための知恵と情報のデータブックが出来上がっていました。
さて、ここで「忙しい」という人に私からの提案です。まずは30分程度の時間を作り、転職活動の長期計画をノートに書き出してみてください。半年~1年くらいのスパンで、やるべきことをリストアップし、毎月の課題を設定しましょう。そして5分程度のすきま時間を見つけて、モバイル転職サイトで求人情報を収集したり、転職ノウハウの勉強をしてみてください。小さな積み重ねでも、確実に転職成功につながることを実感できるはずです。
case study 17忙しい人の「転職活動時間」はこうして作ろう
「忙しい」と一言で言っても、その原因はさまざま。ここでは自分の忙しさの原因を見つけ出し、それぞれのタイプ別に時間を作り出す方法をアドバイスします。
忙しさの原因を知れば、「時間の作り方」がわかる
「忙しくて転職活動の時間がない」と言う人の場合、その原因を突き詰めると、以下の4タイプに大別できます。
- 時間「見過ごし」タイプ
- 時間「かけ過ぎ」タイプ
- 時間に「追われている」タイプ
- 「体力的・精神的に余裕がない」タイプ
それぞれの見分け方と対策を以下で説明します。
1.時間「見過ごし」タイプ
以下に当てはまる人は、すきま時間があるのに見過ごしていたり、無駄に使ってしまっているタイプです。
□ 通勤電車・タクシー等の移動時間や待ち時間は、睡眠やメールチェックに充ててしまう
□ 昼食は、同僚や友人と一緒に行くことが多い。1人の場合は携帯メールや本を読んでいる
□ 就寝前など、自宅での空き時間はテレビを見たり、ネットサーフィンをしている
すきま時間は、たとえ3分でも有効活用しましょう。新聞の求人情報欄に目を通したり、携帯電話でマイナビ転職モバイル版などのモバイルサイトを閲覧することは、いつでもどこでもできます。積み重ねれば、大きな成果が得られます。
2.時間「かけ過ぎ」タイプ
効率的な方法を考えないまま、いきなり各作業に着手して、結果的に時間が足りなくなるタイプです。
□ 履歴書を1枚書くのに2時間以上かかる
□ 1つの企業研究に半日以上かかる
□ 1つの企業の面接対策に半日以上かかる
取り組む前に、所要時間を設定するようにしましょう。そして、その時間内に仕上げるための効率的な方法を考えるようにしましょう。履歴書を例に挙げると、1時間以内に書きあげることを目標にし、そのための効率的な方法をまず考えるようにするのです。例えば、どの企業に対しても共通である「住所・氏名・学歴・職歴欄」などを埋めた履歴書をあらかじめ何枚か作成しておいたり、すきま時間を利用して少しずつ書き進めたりすれば、かなり効率化が図れます。
3.時間に「追われている」タイプ
日ごろの仕事に追われていて、転職活動に使う時間が確保できないタイプです。
□ 仕事のノルマが時間内にこなせないので、プライベートの時間が犠牲になっている
□ 仕事でやるべきことが次々と課されて、そちらをやらざるを得ない
□ 困難な仕事に取り組んでいて、そのことで頭がいっぱいである
自分にとって大切なのは、現在の仕事をずっと続けることなのか、転職することなのかをよく考えてください。転職することが最重要ならば、スケジュールを組む際の転職活動の優先順位を高くしなければなりません。意識するだけではなかなか難しいものです。思い切って、手帳のスケジュール欄に、「先に転職活動をする時間を決めて書き込む」くらいの気持ちで時間を確保してください。
4.「体力的・精神的に余裕がない」タイプ
日ごろの仕事で心身が疲れ果てていて、転職活動をする余裕がないタイプです。
□ 通勤電車の中では、少しでも睡眠を取りたい
□ 家に帰ったら、すぐに眠りたい
□ 休日は家でずっと休んでいたい
□ 仕事のことは考えずに、気晴らしをしたい
心身が疲れる最大の理由は、(その仕事において・その会社において)未来に希望がないからではないでしょうか。実は、未来に希望を感じている人は同じ仕事をしていてもなかなか疲れません。もしも疲れたとしてもスポーツやゲームをした後のような爽やかな疲れなのです。
大切なのは、転職に対して「未来への希望を感じること」です。すると、転職活動とは自分の人生を楽しくすることであり、日ごろの仕事から心を開放することができるリフレッシュ活動だと捉えられるようになります。そうなれば、転職活動することにより、心身の疲れが癒されるようになります。
転職を成功させている人とは、忙しい中で、時間のやりくりをし、効率的なノウハウを活用している人です。今回のコラムの内容に自らの創意工夫を加えて、より自分に合ったやり方を実践してください。
プロフィール
就転職・キャリアコンサルタント
坂本直文(さかもと・なおふみ)
キャリアデザイン研究所代表。劇的就職塾主宰。大学講師。全国各地の大学にて年間200回以上講義。著書多数。近著に『就活ノート術』(日本実業出版社)、『人生のエントリーシート』(PHP研究所)。
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