裁量労働制とは?対象職種や残業代の仕組み、働くメリット・デメリット
更新日:2025年12月22日
記事まとめ(要約)
- 裁量労働制とは、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた労働時間分を働いたものと見なし、賃金が支払われる制度
- 労働時間ではなく成果に対し報酬を支払うという考え方に基づく
- 労働者自身が1日の労働時間などを決めることができる、自由度の高い働き方
- 成果が出なければ長時間労働に陥りやすいといったデメリットも
- 裁量労働制で働きたい場合は、どのくらいの裁量を持って働けるか、適切な評価を受けられるかを確認すべき
裁量労働制は、労働時間や仕事の進め方などが労働者の裁量に委ねられ、比較的自由度が高く働ける制度です。
しかし、裁量労働制が適用される職種や業務は決まっており、労働者にとってのメリット、デメリットがあります。具体的にどのような制度なのか、また自分に合う働き方なのかどうかを確認していきましょう。
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裁量労働制とは?
裁量労働制とは、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定めた労働時間分を働いたものと見なし、賃金を支払う制度です。
例えば、労働時間が8時間と定められている場合、実際の労働時間が1時間であっても12時間であっても8時間分の賃金が支払われます。
この労働時間を「みなし労働時間」と言い、労働者(社員)と使用者(企業)の間で取り交わす「労使協定」で定めています。
裁量労働制は、労働時間ではなく成果に対し報酬を支払うという考え方です。企業は労働者の時間管理を行わず、業務の時間配分などについても指示をしません。
そのため、始業・終業時間や1日の労働時間についても、労働者自身が決めることができる、自由度の高い働き方です。
なお、裁量労働制が適用される業務は法令により定められています。詳しくは「裁量労働制が適用される職種・業務」で説明しています。
また、企業は労働者を裁量労働制の業務に就かせる場合は、労働者本人の同意を得る必要があります。
裁量労働制の主な目的
裁量労働制を取り入れる主な目的は、時間に縛られない働き方をすることで、生産性を高めることにあります。
一般的な働き方では、1日の始業・終業時間や労働時間が会社や部署ごとに定められていて、その範囲内で業務を行います。
しかし、研究や開発、企画など専門性の高い業務においては、決められた時間内で業務に取り組むことで、かえって効率が悪くなることがあります。
そのような業務に裁量労働制を適用し、労働時間の管理や配分を労働者自身に任せることで効率を上げ、生産性を高めることを期待するものです。
裁量労働制が適用される職種・業務
裁量労働制が適用されるのは、「業務遂行の手段や方法、時間配分などを大幅に労働者の裁量に委ねる必要がある業務」です。
厚生労働省は「専門業務型」と「企画業務型」の2種類を定めています。
| 専門業務型裁量労働制 | 企画業務型裁量労働制 | |
|---|---|---|
| 対象となる業務 | 業務の遂行方法や時間管理を労働者の裁量に委ねる必要がある業務 (2024年4月から20業務) |
企画、立案、調査、分析を行う性質上、業務遂行を労働者の裁量に委ねる必要があると客観的に判断できる業務 |
| 職種例 | 研究職、システムエンジニア、プログラマー、新聞記者、編集者、デザイナー、コピーライター、建築士、公認会計士など | 経営企画、営業企画、人事・労務、財務、広報などのうち、企画・立案・調査・分析を行う業務に就いている人 |
専門業務型裁量労働制
業務の性質上、遂行方法や時間配分を労働者に委ねる必要があるため、上司が具体的な指示をすることが困難な、専門的な業務を対象とした制度です。
具体的には、研究職、取材や編集の仕事、デザイン系職種、弁護士や公認会計士などの専門職が対象となっています。
2024年4月1日からのルール改正により、「銀行又は証券会社における顧客の合併および買収に関する調査又は分析およびこれに基づく合併及び買収に関する考案および助言の業務」が追加され、20業務が対象となります。
出典:厚生労働省 | 専門業務型裁量労働制について
企画業務型裁量労働制
事業の運営に関する企画、立案、調査および分析などを遂行するという業務の性質上、これを適切かつ効率的に遂行するためには、業務の遂行方法や時間配分を労働者に委ねる必要があるため、使用者が具体的な指示をすることが困難である業務を対象とした制度です。
具体的には、以下の4つの要件をすべて満たした業務となります。
- 業務が事業運営や事業戦略に関するものであること
- 企画、立案、調査、および分析の業務であること
- 業務遂行方法を労働者の裁量に委ねる必要があると客観的に判断できる業務であること
- 業務の遂行方法や時間配分の決定などに関して使用者が具体的な指示をしない業務であること
出典:厚生労働省 | 企画業務型裁量労働制について
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裁量労働制とほかの労働時間制度の違い
裁量労働制以外にも、さまざまな勤務制度があります。
変形労働時間制
労働時間を1日単位ではなく、「1週間単位」「1カ月単位」「1年単位」で調整するのが変形労働時間制です。
繁忙期と閑散期との差が激しい業務や、季節性があるような業務の場合に、労働者と使用者が工夫しながら労働時間の配分などを行い、全体の労働時間を短縮することを目的とした制度です。
例えば、1カ月単位の変形労働時間制であれば、繁忙期である月末月初には法定労働時間よりも労働時間を長くする代わりに、閑散期である月中は所定労働時間を短くするといったケースが該当します。
変形労働時間制は、一定期間の労働時間を平均した時に、一週間当たりの労働時間が週40時間(法定労働時間)を超えないことが前提となります。
フレックスタイム制
フレックスタイム制は変形労働時間制の一種です。一定期間の総労働時間の範囲内で、1日の始業時間と終業時間を労働者が自由に決められます。
必ず勤務しなければならないコアタイムが設定されている場合は、その前後数時間で自由に出退勤できます。
例えば、1日の標準労働時間が8時間でコアタイムが13時から16時と設定されている場合、7時に出社して16時に退社しても問題ありませんが、6時に出社して15時に退社することはできません。
なお、コアタイムを設定しない場合はスーパーフレックスタイム制と呼ばれています。
事業場外労働のみなし労働時間制
労働者が会社の外で労働しているため労働時間を把握することが難しい場合、所定労働時間を勤務したものと見なす制度です。外回りや出張が多い営業職などが対象となります。
しかし、会社外で働く労働者に対して、使用者がいつでも携帯電話などによって連絡が取れる状態にあり、使用者からの指示を仰ぎながら労働する場合は対象外となります。
在宅勤務の場合も、一定の要件を満たせば事業場外労働のみなし労働時間制の対象となることもあります。
出典:テレワーク総合ポータルサイト | 自宅でテレワークを行う場合、「事業場外労働のみなし労働時間制」を利用できますか。
高度プロフェッショナル制度
高度の専門的知識を持ち、職務の範囲が明確で、かつ一定の年収要件(年収1,075万円以上)を満たす労働者を対象に、労働時間に基づいた制限を撤廃する制度です。労使委員会の決議および労働者本人の同意が前提となります。
この制度を導入する場合、1日当たりの労働時間の規制や休日の規定については労働基準法の適用外です。
具体的な対象業務
- 資産運用会社における新興国企業の株式を中心とする富裕層向け商品(ファンド)の開発
- 資産運用会社などにおける投資判断に基づくファンドマネジャー、トレーダー
- 証券会社におけるディーラー
- コンサルティング会社において行う顧客の海外事業展開に関する戦略企画の考案
- メーカーにおいて行う要素技術の研究や特許などの取得につながり得る研究開発
などが対象となります。
出典:厚生労働省 | 高度プロフェッショナル制度 わかりやすい解説 P8~10
裁量労働制で働くメリット
裁量労働制で働くメリットを解説します。
働き方・仕事の自由度が高くなる
裁量労働制では、仕事の時間配分や進め方などを自分で決めることができるため、自分のペースで働くことができます。
また、ライフスタイルやプライベートの用事に合わせて始業・終業時間を決めることができるため、働き方そのものの自由度が高くなります。
労働時間を短くできる
与えられた業務を完遂する、または成果を出すことができていれば、その分早く仕事を終えることも可能です。そのためには効率を上げ、生産性を高めることが重要です。
裁量労働制で働くデメリット
自由度が高く短時間労働もかなう反面、裁量労働制にはデメリットもあります。
残業代が出ない
仕事が立て込んでしまい所定労働時間を超えてしまったとしても、原則残業代は発生しません。
慢性的な業務量過多が発生している場合は、労使の間で業務量を見直すか、裁量労働制ではない働き方を選択したほうがいいかもしれません。
自己管理能力がないと厳しい
効率良く業務をこなしたり、成果を上げたりすることができなければ、長時間労働に陥ってしまうことになります。基本的に残業代も出ないため、結果、労働時間に対する収入が少ないということにもなりかねません。
企業や上司が仕事の管理・指示をしない分、高い自己管理能力が求められる働き方です。
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裁量労働制の労働時間と残業代の仕組み
裁量労働制は基本的には残業代が支給されない仕組みですが、だからといって、無制限に働き続けることが認められているわけではありません。ここでは、裁量労働制における労働時間と残業代の仕組みについて解説します。
裁量労働制でも残業代が出るケース
残業代が支給される3つのケースがあります。
- みなし労働時間が法定労働時間を超える場合
- 深夜労働した場合
- 休日労働した場合
それぞれ確認していきましょう。
みなし労働時間が法定労働時間の制限を超える場合
労働時間は労働基準法で、「1日8時間、週40時間」と定められています。これを「法定労働時間」と言います。
みなし労働時間が法定労働時間を超えている場合は、超えた分が残業代として支払われます。
例えば、1日のみなし労働時間が9時間だった場合、1時間分は残業代支給対象として扱われ、25%割り増しした金額が支払われます。
深夜労働した場合
労働基準法第37条において、22時から翌5時の深夜帯での勤務は深夜残業として扱われます。所定時間内であっても深夜帯の賃金は25%以上割り増しした金額が支払われます。
例えば、みなし労働時間が8時間の裁量労働制が適用される労働者が朝4時から13時(休憩1時間)まで働いた場合は、4時から5時の1時間分は割増賃金が適用されます。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索 第37条
休日労働した場合
労働基準法第35条では少なくとも週1日の休日か、4週間で4日以上の休日を設けることが定められています。これを法定休日と言います。法定休日に仕事をした場合は、みなし労働時間に対して35%以上割り増しした金額が支払われます。
出典:労働基準法 | e-Gov法令検索 第35条
ただし、もし、みなし労働時間が1日8時間(法定労働時間の制限)を超えていても、残業代は追加で発生しません。一方、労働時間が深夜(22時以降)に及ぶ場合は、深夜割増が支払われます。
※別日を休みにすることが決まっている場合
あらかじめ別の日を休み(振替休日)にすることが決まっている場合は、法定休日労働とはみなされないため、35%以上の割増賃金は発生しません(振替によって週の法定労働時間を超えた分は、通常の残業代として支払われます)。
※所定休日に労働した場合
法定休日に対して、企業が独自に設定する休日のことを所定休日と言います。
所定休日に仕事をした場合、法定休日割増(35%以上)は適用されませんが、その労働によって週の法定労働時間(原則40時間)を超えた分については、時間外労働として25%以上の割増賃金が支払われます。
裁量労働制の求人の見方
裁量労働制の仕事はどのように探せば良いのでしょうか。求人の見方についてお伝えします。
求人に裁量労働制と明記されているか確認する
2018年1月に施行された改正職業安定法により、裁量労働制が適用される場合、求人には以下のように「裁量労働制であること」を明記しなければならなくなりました。
裁量労働制の記載例
- 専門業務型裁量労働制を採用しており、1日8時間働いたものと見なします
- 企画業務型裁量労働制(1日7時間)
多くの求人情報では「勤務時間」欄や「勤務形態」欄に記載しています。
実働時間や勤務時間帯の記載がある場合は、裁量労働制ではない可能性があります。
裁量労働制ではない勤務時間の記載例
- 企画業務型裁量労働制 10:00~18:00(休憩1時間)
- 専門業務型裁量労働制/実働8時間
裁量労働制は業務遂行上の裁量を労働者に委ねているため、実働時間や勤務時間帯の決まりはありません。ただし、目安や参考として勤務時間帯を記載している求人もあります。
出典:厚生労働省・都道府県労働局 | 裁量労働制の求人を行う際の留意点
裁量労働制で働く際の注意点
裁量労働制で働く際には、事前に確認しておくべき注意点があります。
実際に自分の裁量で働けるか
裁量労働制は、本来労働者が自分の裁量で仕事を進められることが前提の制度です。基本的には、使用者や上司から業務時間の配分や遂行の手段などに関して、具体的な指示は行われません。
実際にどのような裁量を持って働くことができるのか、面接段階で質問をして確認しておくべきです。
企業によっては、一部業務の進め方や進捗報告の形式に指定がある場合もあるため、裁量の範囲について確認してから働くことが大切です。
成果に対して適切な評価を受けられるか
裁量労働制では、労働時間ではなく、成果を報酬の対象にする「制度」です。そのため、求められた成果を出し続けることが大前提となります。
しかし、企業の評価制度がしっかりと確立されていない環境の場合、出した成果に対して適切な評価を受けられない可能性もあります。
どのように評価を行うのかや、昇給昇格の基準など、評価制度について確認し、納得できる会社を選ぶようにしましょう。
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まとめ
裁量労働制は、労働者にとって仕事の自由度が高く、仕事の進め方次第では労働時間を短くできる魅力がある制度です。
しかし、残業代が出なかったり、自己管理能力が必要な面もあるため、人によっては合わない場合もあります。
裁量労働制の働き方に興味を持っているのであれば、一度対象の業務や職種に関する求人情報をチェックしてみましょう。
裁量労働制の場合は、求人内に裁量労働制であることが明記されています。実際の求人情報を見ることで、より裁量労働制で働くことがイメージできるでしょう。
監修者
岡 佳伸(おか よしのぶ)
特定社会保険労務士
社会保険労務士法人岡佳伸事務所 代表
大手人材派遣会社、自動車部品メーカーなどで人事労務を担当した後、労働局職員(ハローワーク勤務・厚生労働事務官)としてキャリア支援や雇用保険給付業務、助成金関連業務に携わる。現在は開業社会保険労務士として活動。各種講演会で講師を務めるほか、日本経済新聞、読売新聞、女性セブンなどへの取材記事掲載、NHK総合テレビ「あさイチ」スタジオ出演などで活躍。
特定社会保険労務士、キャリアコンサルタント、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士。
マイナビ転職 編集部
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