実際の面接体験談をもとに、過去1万人以上を面接した人事のプロ『ヤドケン(谷所 健一郎氏)』が回答内容を評価。「自分なら質問にどう答えるだろう?」と面接を受けているつもりで読みながら、回答のコツを盗み取ってください。
面接でのやりとりを知ることで、緊張や不安が和らぐだけでなく、面接本番で使える回答のバリエーションも増やすことができますよ。
Episode.05 営業(業界未経験)
空さん(31歳・男性)
希望職種:海外営業、販売戦略企画
応募企業:エンターテインメント業界
面接時間:人事部の方から会社説明20分、その後SPI形式の能力試験、試験の合間に面接(約30分)
面接官:人事部長、役員2名、募集部門長(リーダー)
概要:1次面接で役員を含め4名の面接官がいるとは思ってもいなかったので、最初はかなり緊張してしまいました。退職理由と転職理由をうまく伝えられず苦戦してしまいました。
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面接レポート
人事部長 「転職理由についてお話ください。」
私 「私は営業活動を通して数値管理能力を高め、将来的には販売戦略や事業戦略の構築を行えるような経験を積みたいと思っておりましたが、現職では以前は一緒だった部内のセールスと管理部門が完全に分離してしまい、私が希望している経験を積むのが難しくなったことが一番の理由です。職場環境や人間関係に問題はないのですが、営業を通じて数値管理能力を高めるといった私の希望が強く勝り、今回の転職に至りました。」
(現在私は管理を担当しており、営業には携わっていません)
漠然とは理解できるけど、やや分かりにくい点が気になるな。分離したことで営業に携われなくなったということを、前面に出してもいいかもしれないね。営業をやりたいということを明確にしないと、管理業務に興味があるように受け止められてしまうかもしれないね。
募集職種にもよるけど、営業職への応募であれば、数値管理もできる営業職に就きたいということを、はっきり伝えよう。あいまいな退職理由は、余計な詮索をされる可能性があるから、分かりやすく端的に答えよう。
*退職理由は、端的に、分かりやすく説明しよう
人事部長 「どうして弊社に応募したのですか?」
私 「人に喜びや楽しさを提供するエンターテインメント業界で仕事がしたいという私の希望、日本のアニメーションやゲームなどのコンテンツが世界中で認められ始め、今後更なる成長が見込まれる業界の将来性、そして私が海外営業およびそのほかの業務で培ってきた経験を御社の募集職種にて最大限に生かすことができると思ったためです。
何よりも大人や子供だけではなく、高齢者や体の不自由な方を含め、すべての方々へ遊びを提供するという御社の理念と行動力に大変共感し、他社ではなく御社で働きたいと思い応募させていただきました。」
(業界に興味を持った理由から話し始めてしまったため、話が長くなってしまいました。反省しています)
業界が、前職と異なるのであれば、業界に興味を持った理由から、話を始めても構わない。多少長くなってしまったけど、分かりやすく説明できていると思うよ。
話が長いと受け取られるか否かは、長さだけでなく内容と話し方にもポイントがあるんだ。同じことを繰り返したり、暗記してきたことを棒読みで話したりすれば、長いと感じられるし、ポイントを押さえながら、聞く人の立場に立ち、自らの言葉で語れば、決して長いとは感じられない。
話す時の表情や間の取り方も、大切なポイントだ。誰かに模擬面接を行ってもらい、動画を録って、面接官の気持ちになって見返してみよう。表情に変化がなく暗かったり、話のテンポがゆっくりしていると、だらだらと間の抜けたような印象を与えるから、注意しよう。
応募企業の企業理念に結び付けている点や、他社ではなく御社で働きたいという姿勢も、面接官は好感を持つと思うよ。
*話す時の表情、間の取り方、声のトーンに気を使おう
人事部長 「入社の時期について教えてください。」
私 「正式な内定を書面でいただいた日から1カ月後を目処に考えております。」
「1カ月いただければと思います。」という答え方のほうが、採用側に対して謙虚さをアピールできるね。
でも1カ月という期間であれば、まったく問題ないと思うよ。入社時期を確認する質問で、面接官は応募者の意志を確認しているんだ。 入社したいという熱意があれば、前向きに表現するし、迷いがある場合、同じ内容でもちょっとした一言で、その迷いを感じ取られてしまうから注意しよう。
*入社時期の回答で、積極的な姿勢を示そう
役員 「営業と管理の分離が原因での転職のようですが、営業活動と数値管理をどう結びつけるのか良く理解できなかったので詳しく教えてください。」
僕が感じた疑問と同様の質問だね。営業職の応募であれば、空さんが理想とする営業職と、応募企業における営業職を、マッチングさせる必要があるね。『数値管理を戦略的にできる営業職』というイメージではだめかな?
私 「営業においても代金の回収のために取引先の安全性や健全性を数値によって把握し、代金の未回収といったリスクを最小限にする能力が必要になると思います。
また、日々の流れの中においても、債権の回収が滞りなく行われているかどうかといった債権管理能力も重要です。こうした数字に対する知識や能力を十分に生かし営業として活躍していきたいということです。」
理解はできるけど、営業という視点で考えれば、管理部門の仕事より実践で、数値面を重視した戦略的な営業を経験していきたいというような表現のほうがいいかもしれないね。応募企業の求めている人材について分からないから何とも言えないけど、一般的には、空さんの営業職に対しての適正と応募企業の魅力を説明したほうが、分かりやすいね。
営業事務や、経営企画の応募であれば、数値管理を前面に出してもおかしくないけど、 営業職の募集であれば、自分がどのように売り上げを作れる人材かを、アピールする必要があるね。
*応募企業が求める営業職の根幹を考えてみよう
役員 「通勤に時間がかかりそうですが大丈夫ですか?」
私 「必要であれば転居を考えますが、まずは路線を調べてみたいと思います。」
役員も当日まで勤務地が分からなかったということを理解してればいいけど、念のため「本日勤務地をお伺いしまして」と、一言加えるといいと思うよ。
役員 「他社の選考状況に“面接待ち”とありますが、どのような状況ですか?」
私 「はい、面接が3日後にあります。」
役員 「もし当社と他社から内定が出たらどうしますか?」
私 「私は人に喜びや楽しさを提供するエンターテインメント業界を第一志望としておりますので、御社から内定をいただけた場合は必ず御社で働きたいと思っております。」
「必ず御社で働きたい」という表現は、強い意志を感じて、好感が持てるね。この質問では、応募企業が第一志望だということを表現しなければいけない。業界を理由に挙げているけど、できれば業界プラス応募企業に対しての気持ちを伝えると、更に良くなると思う。
*応募企業が第一志望だという熱意が、採否の決め手になる
海外部門長 「数値管理を強調していますが、これは管理業務の仕事をやりたいということではなく、その能力を営業で生かしていきたいという理解でよろしいでしょうか?」
私 「はい。数値管理能力を生かし営業活動に貢献していきたいと思っております。」
数値管理能力のことで、面接官が混乱しているね。転職理由の部分がやや分かりにくく、数値管理能力というと、営業ではなく管理部門のイメージを与えていると思うんだ。
数値管理にこだわるのであれば、前職において数値管理能力を、どのように営業に生かし、売り上げに貢献できたかを、具体的な数値で説明しよう。 海外部門長が確認したように「能力を営業で生かしたい」と、転職理由で明言したほうが分かりやすかったね。ビジョンをしっかり持っていれば、どのような状況にも対応できるんだ。
*強みをどのように生かして、貢献できるかを検討しよう
海外部門長 「お客さんは大企業ではなく小さな会社が多いので、これまでの経験とギャップがあるかもしれませんが、それについてはどのようにお考えですか?」
私 「はい。これまでの営業経験もそのほとんどは小さな会社が相手でありましたので、大きなギャップは感じないと思っております。」
いい答え方だね。前職も同様の顧客を対象にしてきたということで、問題はまったくなくなるね。「確かに前職は、大企業が多かったのですが、中小企業でも問題ありません」と言う人がいるけど、この答えでは、面接官は納得しない。売り上げなどでは大企業は優位だけど、大企業の顧客が上だという考えで語ることは避けたいね。
*面接官の質問の主旨を、的確に理解しよう
【最後に何か質問はないかと聞かれる】
私 「年間の中途採用者はおよそ何人くらいになりますでしょうか?」
「前期事業報告書のレビューの中で、海外市場では他社製品の販売を行って売り上げを伸ばしたとありますが、具体的にはどのような製品の販売を行ってきたのでしょうか?」
(返答は具体的なのであえて伏せさせていただきました)
2番目の質問は、企業研究を行っていなければできない質問だから、熱意を示すことができ、いい質問だね。募集要項に記載してあったり、企業側から説明があったことを繰り返し質問すると、逆効果になるから注意しよう。
また、面接官が答えにくい質問は、できる限り避けたほうが無難だね。質問は、入社に対しての熱意を示す絶好のチャンスだけど、意外と何も質問しない応募者も多いんだ。
*質問は、その場で考えず事前に用意しておこう
Check! 退職理由・転職理由の伝え方
退職理由・転職理由に関する質問は、応募者の考え方や行動特性を理解するために有効なんだ。退職理由から、物事をネガティブにとらえるタイプか、逆境に負けずにチャレンジしていくタイプなのか、などを推測することができるからね。
また、将来のビジョンを持っているかどうか、などを判断する材料にもなるんだ。 人事は、転職の直接的な原因や理由そのものを問題にするのではなく、応募者が「転職することで何を実現しようとしているのか」「自社に利益をもたらすことができる人材なのか」などをチェックしている。
従って、リストラや業績悪化、今回のような組織変更などのネガティブな退職理由であっても、そのことを契機に新しいビジョンを持ち、新しい企業や職場で活躍するイメージをしっかりと作り、転職理由としてアピールすることが大切だよ。
それができたら、自信を持って面接に臨み、過去よりも今後の自分をしっかりアピールしよう。自信を持つことを忘れずにね。
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面接を終えた感想
いきなり役員の方が面接されるとは思っていなかったので極度に緊張してしまい落ち着くまで数分かかりましたが、その後は役員の方が比較的話しやすい方だったので、落ち着いて話すことができました。人事の方が進行役で、面接は役員の方が主体で行っていたように感じました。
絶対に入社したいという気持ちで想定問答を準備し面接に臨みましたが、私の回答でどこまで面接官を納得させることができたか不安です。
志望理由は、良くできていたと思うよ。気になるのが、転職理由の数値管理を生かしたいという部分だね。説明不足もあって、面接官に誤解を招いた点は、反省材料だと思う。応募職種が営業であれば、営業ができなくなったことが理由になるわけだから、そのことをストレートに表現し、付け加えて、「得意とする数字の裏付けによる営業活動」などをアピールするといいね。数値管理ができる営業として、前職でどのような実績を作ったのかを説明することで、面接官も納得するんだ。

有限会社キャリアドメイン代表取締役
谷所 健一郎(ヤドケン)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメントアドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職道場、キャリアドメインマリッジ、ジャパンヨガアカデミー相模大野を経営。主な著書「はじめての転職 必ず成功する転職」(マイナビ)ほか多数。
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