転職Q&A【法律関係】
退職直前の有給休暇は法的に問題アリ?
更新日:2025年12月23日
退職願と一緒に、退職日までのすべての勤務日を対象として有給休暇届を提出しました。
ところが上司は「業務の引き継ぎが優先だ」と言って有休取得を認めてくれません。退職直前に有給休暇を取ってはいけないのでしょうか?
A
退職直前でも有給休暇は取得できますが、業務の引き継ぎなどに配慮や誠実な対応も重要です。
有給は労働者の権利
労働基準法第39条に基づき、年次有給休暇は一定の条件を満たせば自由に取得できる労働者の権利です。退職間際であっても、有給休暇の申請は法的に認められています。
会社は事業の正常な運営に支障がでる場合、「時季変更権」を行使できますが、退職日が確定している場合は変更できる日がないため、基本的に請求された日に取得してもらうしかありません。
退職後には有給休暇は取得できない
有給休暇は在職中に取得することが前提です。
退職日を過ぎた後に有休を取ることはできません。そのため、有休を使い切るには、退職日を有給日数分考慮したうえで設定する必要があります。
引き継ぎを放棄すると減給やトラブルの可能性も
引き継ぎが不十分なまま退職すると、就業規則違反や業務妨害とみなされることがあります。
場合によっては、退職金の減額・不支給や損害賠償を請求される可能性もあるため、有休の消化とあわせて、引き継ぎの計画も立てておくことが大切です。就業規則や社内ルールも事前に確認しておきましょう。
「退職届提出後、14日間正常勤務しなかった者には退職金を支給しない旨の覚書は、労働者の年休権を不当に制約するものではなく有効であるとし、退職を申し入れても2週間は勤務義務があるので、これを怠ることは労働者の義務違反であり退職金不支給も正当である」とした判例もあります。
残った有休の買取は可能だが、会社によって対応が異なる
原則として、有給休暇は取得することが前提であり、会社に買取の義務はありません。
ただし、退職などで消化できなかった場合、会社が任意で買い取ることは可能です。これは義務ではなく、対応は会社によって異なるため、就業規則や退職時の説明を確認しましょう。
年次有給休暇は法律で与えられた権利です。とはいえ、円満退職にするためにも、引き継ぎが必要な日は出勤する、退職日を延期するなど、誠実な態度を心掛けましょう。
※この情報は2025年7月1日時点のものです。
回答者
永廣 勇資
社会保険労務士
ながひろ社労士事務所 代表
2011年社会保険労務士登録。
豊富な実務経験を基に、企業労務顧問、人事労務アウトソーシングを専門とする。特に、人材確保が喫緊の課題である運送業向けコンサルティングに注力。
独自のノウハウを駆使し、企業の成長を力強く支援するほか、企業のパワハラ予防対策にも定評がある。従業員が安心して働ける職場環境づくりに貢献し、労働トラブルの未然防止にも取り組んでいる。
労働法規の専門知識と実務経験を活かし、企業の持続的な発展を力強く後押しすることを心掛けている。
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