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退職時の有給消化に必要な3STEP&トラブル対処法【転職経験者アンケート結果あり】

退職時の有給消化に必要な3STEP&トラブル対処法【転職経験者アンケート結果あり】

転職活動中や会社を退職する時に気になる「有給休暇の消化」。できれば全部消化したいけれど、どうすべきか悩んでしまう人も多いのではないでしょうか?

ここでは、転職経験者に行った「有給消化」にまつわるアンケート結果や、スムーズな有給消化に必要なステップ、有給消化を申し出る際に気を付けたいポイントを解説します。退職時の有給休暇消化の際に起こりがちなトラブルと対処法についてもご紹介。円満退職するためにも、しっかり学んでおきましょう!

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そもそも有給休暇とは?

有給休暇(年次有給休暇)とは、労働基準法で定められている労働者の権利で、簡単に言うと取得しても賃金が減額されない休暇のことです。

勤務期間が長いほど有給休暇日数が増える

労働基準法では、有給休暇を会社から付与されるためには下記2つを満たしていることが条件になります。

  1. 会社が労働者を雇い入れた日から6カ月が経過していること
  2. 全労働日の80%以上出勤していること

そして、勤続期間が長くなるほど付与される有給休暇の日数も増えていきます。

雇い入れの日から起算した勤続期間付与される休暇日数
6カ月10
1年6カ月11
2年6カ月12
3年6カ月14
4年6カ月16
5年6カ月18
6年6カ月20

※週所定労働日数が5日以上または週所定労働時間が30時間以上の労働者の場合
※労働基準法第39条より

有給休暇は正社員に限ったものではなく、アルバイトやパートにも付与されます。なお、2019年4月より有給休暇が与えられる労働者すべてにおいて、最低でも年5日の有給休暇取得が義務化されています。

基本的にいつでも自由に取得できる

有給休暇は基本的に「労働者が請求する時季に自由に取得できる」ものですが、繁忙期などで会社が「事業に支障を来す」「業務の円滑な遂行に支障がある」と判断した場合、時季変更権(労働者に有給取得時季の変更・調整を求めること)が認められます。

しかし、退職日が決まっている相手に対しては「時季変更権」を使うことはできません。

有給休暇には時効がある

消化できなかった有給休暇は次年度以降への繰り越しができますが、労働基準法では「付与日から2年たつと時効」とされ、有給休暇は消滅します。

有給休暇の残日数を給与明細や出勤簿に記載している会社もあるので、チェックしてみましょう。また、会社によっては入社時から有給休暇が付与されるなど、規定が異なる場合もありますので、就業規則と照らし合わせながら残日数を確認しておきましょう。

退職時に有給休暇を全部消化しても問題ない?

基本的に会社側は労働者の有給休暇申請を拒否することはできないため、有給休暇は退職が決まってからでもすべて取得することができます。まとめて消化することも問題ありません。ここでは、有給休暇を全部消化したい場合の注意点を解説します。

≫上司へ退職を伝える時に押さえておきたいポイント5つ

有給休暇取得の理由は言わなくてOK

有給休暇の取得理由を言う必要はありません。もし求められても「退職に伴う有給消化のため」という説明で構いません。

有給休暇申請は会社側と合意が取れてから

退職するからといって自分勝手な休み方をしてしまうのは良くありません。退職日と最終出勤日、引き継ぎのスケジュールを会社や上司と話し合い、合意が取れたうえで有給休暇の申請を行いましょう。

有給休暇は在籍期間中にしか取得できない

有給休暇は、会社に在籍している期間中でなければ取得できません。

退職日とは会社在籍最後の日であり、雇用契約が終了する日を指します。一方、最終出勤日は、退職予定者が出勤する最後の日のことを指します。ですから、退職日と最終出勤日は必ずしも一緒とは限りません。そのため、最終出勤日から退職日までの期間を有給消化に充てることができます。

最終出勤日後に有給休暇を取る場合

例えば有給休暇が20日ほどあり、退職日を3月末とした場合は、2月末を最終出勤日として約1カ月間を有給休暇とすることが可能です。

最終出勤日前に有給休暇を取る場合

最終出勤日より前に有給消化をするのであれば、休暇に入る前に引き継ぎを済ませるか、休暇明けにきちんと引き継ぎを行うことが分かるよう、引き継ぎスケジュールを共有します。周りの人が不安にならないように配慮しましょう。

なお、「自己都合退職」ではなく、会社都合退職(倒産・解雇などによる退職)の場合も同様に有給消化は可能です。

【転職経験者アンケート】退職時の有給消化は平均X日

転職経験のある20~39歳の113人にアンケート(※)を行い、「退職することを会社に伝えてから消化した有給休暇の日数」を聞いてみました。

Q1.会社に「退職する」と伝えてから、有給休暇を何日消化しましたか?

Q1.会社に「退職する」と伝えてから、有給休暇を何日消化しましたか?

一番多かった回答は、0~4日。退職の意志を伝える前に計画的に有給休暇を取得している人が多いのかもしれませんし、残っている有給休暇はあるけれど、諦めて退職する人もいるのかもしれません。

しかし、9~12日、17日以上と答えた人も多く、有給休暇の消化日数の平均を出してみると約8日となりました。

では、残っていた有給休暇はすべて消化できたのでしょうか?

Q2.退職する時、残っていた有給休暇はすべて消化しましたか?

Q2.退職する時、残っていた有給休暇はすべて消化しましたか?

「残っていた有給休暇をすべて消化できた」人は47.8%。「すべて消化できなかった」人は52.2%と、消化できなかった人のほうが若干多い結果となりました。

「消化できなかった」と答えた人に、なぜ消化できなかったのかという理由についても聞きました。

Q3. なぜ残っている有給休暇を全部消化できなかったのですか?(複数回答可)

Q3. なぜ残っている有給休暇を全部消化できなかったのですか?(複数回答可)

1位は「会社・職場に消化しづらい雰囲気があった」が57.6%。また「仕事が忙しくて取れなかった」という人も39.0%。職場の空気を読んで休みづらく感じたり、「有給消化したい」と言い出しづらいと思ったりする人が多いのかもしれません。

「その他」の回答の中には、「休みがもともと多い職場だったから」や、「有給休暇の買い取りをしてもらえたから」という声も見られました。

このアンケートでは一番少ない回答ですが、「全部消化できると知らなかった」人は5.1%。もし「消化できる」と知っていれば、せっかくの休みをムダにせずに済んだかもしれません。

次に、退職時の有給消化の方法について詳しく学んでおきましょう。

スムーズな有給消化に必要な3STEP

スムーズな有給消化に必要な3STEP

「有給休暇を全部消化したい」と言い出しづらいと思っている場合は、下記3つのステップを実行して、気持ちよく休暇に入れるように準備しましょう。

【STEP1】有給休暇の残日数を把握する

「転職活動の面接などで有給休暇を意外と使っていた!」など、思っていた残日数より少ないことが後から分かって、慌てることがないようにしましょう。

会社によっては「リフレッシュ休暇」などの特別休暇制度も使える場合があります。就業規則を確認し、退職時に消化できる休暇はあと何日残っているのか正しく把握しましょう。

【STEP2】退職までのスケジュールを共有する

退職日と最終出勤日を会社側と話し合って決定したうえで、退職するまでの業務の引き継ぎスケジュールと共に有給消化のスケジュールを組み、会社に共有しましょう。

「有給消化をしたい」という意志は、できるだけ早めに伝えておくのがベスト。できれば退職の意志を伝える際にあらかじめ伝えておき、退職日や最終出勤日が決まってから具体的な日程や期間を相談するのが良いでしょう。

ポイントは有給消化の希望を一方的に伝えるのではなく、退職するまでに十分な引き継ぎ期間が考慮されていることを、会社や上司が理解できるように説明すること。引き継ぎや有給消化のスケジュールが社内で共有できていれば、あなた自身も引き継ぎが進めやすいはずです。

【STEP3】業務の引き継ぎを行う

退職してから社内の人や取引先などに迷惑を掛けないようにするのが、社会人としてのマナーです。社内の人には引き継ぎマニュアルを作成しておく、取引先には後任者を紹介しておくなど、自分が辞めた後にトラブルが起きないように心掛けましょう。

また、デスク周りの荷物の片付けなど、身のまわりの整理も休暇に入る前に済ませましょう。社員証などの返却物や、取引先の名刺の扱いなど、いつ、どのタイミングで、どう整理すべきか、社内のルールを調べておくことも必要です。

有給消化を拒否された時のトラブル対処法

有給消化を申し出た際、「会社に拒否された」「上司が許可してくれない」「嫌な顔をされた」ということもあるようです。そんな時にあなたが曖昧な返事や態度を取ってしまうと、ますます有給休暇が取りづらい雰囲気になり、退職日自体が延びてしまう可能性もあるので注意が必要です。

会社の合意が得られているかを再確認する

まずはもう一度、会社の合意が得られるような「退職の意志」と「十分な引き継ぎ期間」があることを再確認します。

自分の都合だけで決めていないか、会社の合意を得られる内容であるかは大切です。退職日までに引き継ぎの期間が十分あり、会社や後任者に迷惑をかけないことを確認してください。そのうえで、「退職の意志」と「引き継ぎをきちんと行うこと」を会社や上司に伝え、再度説得しましょう。

「引き留め」「引き延ばし」には冷静に対応する

企業にとって人員が減ることは痛手ですので、「引き留め」や「引き延ばし」を打診されることもあるかもしれません。そのような場合でも冷静に対処しましょう。

例えば、「後任者が見つかるまで……」と言われても、すぐに見つかるとは限りません。後任者がまだいない場合でも後任者がスムーズに業務に入れるよう、引き継ぎマニュアルなどを作成して上司と共有したりします。

引き留められた場合でも、自分のキャリア実現における転職や退職の必要性をしっかりと伝えましょう。あなたが責任を感じて有給消化を諦めたり、退職日を延ばしたりする必要はありません。

解決しそうにない時は他部署や労働基準監督署に相談する

もし直属の上司が「有給休暇を拒否した」「いい顔をされず休暇を取りづらい」などといったことがあれば、更に上の上司や、人事・総務などの部署に相談してみましょう。

人事・総務に相談する時には、上司が納得しない状況や引き留め・引き延ばしにあっている現状を率直に話してください。上司が正確な労働基準法の知識を有していない可能性も考えられます。法的知識を有する専門部署から上司に適切な指示をしてくれるかもしれません。

それでも解決しない場合は、労働基準監督署に相談するのも一つの方法です。労働基準監督署に相談する時には、相談内容を明確にしておきましょう。自分が有給休暇を使用する権利があることを証明するものや、それを拒否されたメールや音声データなどの証拠も集めておきます。

「有給休暇の買い取り」ってしてもらえるの?

「有給休暇を消化できないなら、せめて買い取ってほしい……」と思う人も多いかもしれませんが、有給休暇は労働者を休ませるための制度なので「有給休暇の買い取り」は、労働基準法で原則禁止とされています。しかし、退職時に未消化になってしまう有給休暇の買い取りは例外的に認められています。

ただし、買い取りは義務ではないので、会社によって有給買い取りの対応はさまざま。買い取ってほしいと申し出ても必ずしも希望がかなうとは限りません。まずは就業規則を確かめたり、担当部署に確認したりしてみましょう。

有給消化中でもボーナス(賞与)は支払われる?

ボーナスは原則として、算定期間の勤務成績に応じて支給されるものです。算定期間に勤務実績があれば支給対象になります。つまり、有給消化中で出勤していなくても、会社に籍がある以上受け取る権利があります。

ただし、有給消化中であることを理由に減額されることもありますので、就業規則を確認したり、社内の担当部署に聞いたりするなど、退職願(届)を提出するまでに確認しておいたほうが良いでしょう。

有給消化中に転職活動しても問題ない?

有給消化中に転職活動をしても問題はありません。今の仕事が忙しく、転職活動に充てる時間を十分に確保できないなら、有給休暇を利用するのも一つの方法です。

しかし、転職先を決めずに退職してしまうデメリットは理解しておきましょう。転職活動では、自分が希望する企業になかなか巡り合えず、思っていたより時間がかかることもあります。すると生活費に困ってしまったり、焦りが出てしまいます。また、ブランク期間が長くなってしまうとマイナス印象を持つ採用担当者もいます。

在職中、退職後それぞれの転職活動のメリット・デメリットを理解したうえで、自分に合う方法を選んでください。

≫在職中の転職活動と、退職後の転職活動。どちらがいいの?

有給消化中に転職先で働き始めるのはダメ?

有給消化中はまだ現職(前の会社)の従業員であるため、他の企業で働くことは「二重就労」にあたります。二重就業自体が悪いわけではありませんが、現職または転職先の就業規則に反している可能性があります。

もし有給消化中に働き始めたいのであれば、退職する会社と入社する会社、双方の了承を得ておきましょう。

≫有給消化期間と転職先の試用期間が重なるのは問題?

まとめ

十分な引き継ぎ期間を設け、退職までのスケジュールを早めに共有しておくこと、そして引き継ぎをしっかりと行うことを心掛ければ、有給消化を後ろめたく思う必要はありません。不安に思う点はあらかじめ就業規則を確認するなどして、会社とあなた自身が双方合意のうえで気持ちよく有給消化できるよう準備しましょう。

(この記事の情報は2023年3月時点のものです)

※アンケート調査対象
全国20~39歳の公務員・会社員(パート・アルバイト除く)113人
調査方法/インターネットリサーチ
実施期間/2017年2月16日〜17日

マイナビ転職 編集部

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