シゴトサプリトピックス

仕事が大好きで休日が嫌！　そんな人らが集まる「金スマの会」って何!?

掲載日：2015.12.17

「仕事、好きですか？」

愚問ですよね。……え、私ですか？　当然、仕事は“生活の糧”です。それ以上でもそれ以下でもない。むしろ、仕事を好きな人のほうがレアなのでは？　なんて思っていたら、そんなレア人種ばかりが集まる会合を発見してしまいました。イベント名は、その名も「金スマの会」。

日曜の夕刻辺りに「サザエさん」を見た後、明日からの仕事を間近に控え憂うつとなる“サザエさん症候群”に陥る人は少なくありません。実は、この真逆で、仕事や職場が好きで、「金スマ」の放送時間帯（金曜21時）になると職場へ行かない土日を思い憂うつになってしまう人たちのことを、“金スマ症候群”と呼ぶそうです。

聞くところによると、月末の金曜夜に開催される「金スマの会」には“金スマ症候群”の人たちが集い、語らいながら互いを刺激し合っているとのこと。そこでこの会へ潜入し、“金スマ症候群”のマインドを探ってきました！

まずお話を伺ったのは、「金スマの会」を主催する寺井広樹さんと尾崎恵美さん。どうやら、このイベントには厳然たるルールがあるようです。

「イベント中、会社の愚痴は厳禁です。職場の悪口を言う人は、ご退場いただきます」（寺井さん）

「普通の飲み会は、仕事が原因で遅れると『ごめんね、遅れちゃって』と謝りますけど、ここではそれはなしです。むしろ、仕事が理由で遅れることは誇りですから（笑）」（尾崎さん）

それにしても、なぜこのような会を開こうと思ったのでしょうか？

「仕事を頑張っている人のことが好きで、そんな人をこの会では紹介したいんです。私自身も、休みの日は何をしていいか分かりません。仕事をどう良くしていくか、どう面白くしていくかばかり考えています」（尾崎さん）

さあ、そろそろこの日の会場である「cafe Kyogo」（東京都渋谷区代官山）へ参加者が集まり始めました。

今回の参加者は、15名。さまざまな業界から集結しており、もちろん全員が“金スマ症候群”をこじらせています。

こちらは、ウェブ制作の職に就く同僚2人組。この日は連れ立って、会に参加しました。まずは、右の女性にお話を伺いましょう。そんなに、会社がお好きなんですか？

「はい。もう、多少具合悪くても出勤してます！　体調よりも納期が優先みたいな。今年の8月は夜中3時まで仕事をして、帰宅してお風呂に入り、また出勤みたいな生活を続けていました。ずっと椅子に座る体勢だったので、夏休みにジェットスキーに乗ったらぎっくり腰になっちゃいました。せっかくの夏休みは病院に行きまくりでしたが、それでも仕事は休まず行ってました（笑）」

すごい！　しかも、話す表情は喜々としています。

「やっぱり、ちゃんとしたものを仕上げたいですから。中途半端なものを作りたくないし、極めたいんですよね。出来上がりが良いと、辛かった思い出が喜びに変わります」

仕事でイヤなことがあっても、グチったりしないんですか……？

「『仕事がイヤ』って言ってるより『どうやったら仕事がうまくいくか』を考えるようにしないと！」

左の女性にも、お話を伺いましょう。やっぱり仕事がお好きで、土日がお嫌いなんですか？

「24時間対応するという意味で、取引先には『コンビニって呼んでください』って言ってます。いつでも電話ください、みたいな（笑）。そこまで自分を仕事ができる人間だとは思ってないので、やる気とか意識の高さとかで対抗したい」

「コンビニ」を自称するとは、筆者にとっては異次元の話ですよ！　私には、到底ムリです。でも、どうしてそんなにモチベーションが高いのでしょう!?

「仕事にアグレッシブで、プライドを持ってる人に出会うことが多かったんです。そういう人にあこがれてるし、自分もそういう人たちみたいになりたくて。『もっと近付きたい！』っていう感じです（笑）」

こちらの男性は、今年の7月に仲間と共に会社を立ち上げたばかり。美容・健康系商品の開発・販売に携わる業務に就いています。

「今はまったく休みがありませんが、それも覚悟のうえです。前職でも、そこまで休みを欲していたわけではありません（笑）。仕事って人生の半分を占めていますから、それを面白くないと感じているのはもったいないですよ！」

続いてご紹介したいのは、写真奥に座るこの男性。なんと、今回のイベント前日にアプリ開発の会社を興したばかりです！

「元々は広告代理店にいたんですが、本当に自分のやりたいことをやるため会社を作りました。今が一番、燃えてる時です。休みはいらないですね。仕事が楽しいです！」

今回の「金スマの会」には、なんと弁護士さんも参加しています。

「弁護士って、決して楽しいばかりの仕事じゃないですよね。だけど人権事件など社会的に恵まれない人を助ける案件は、すごく達成感があります。ただ、その手の仕事はあまりお金が入らないので、まさに手弁当、ボランティアみたいな感じなんですよ」

案件によって実入りが上下するのは事実。でも、それでモチベーションは左右されない。高いところでキープし続けます。

「当事者にしてみれば、一生に一度あるかないかの一大事なわけです。それをお手伝いするのは、どんな案件でもやりがいのある仕事です」

こちらの女性は、製薬会社の事務さん。新卒で今の会社に就職し、転職することなく15年が経過しました。

「とにかく、今の会社は居心地がいいんですよね。もちろん辛いことや悲しいことはありますが、それでもドンドン新しい仕事がやってくるから『次、これをやらないと！』って自分に言い聞かせます。それで消化しきれなかったら、仕事の後のお酒で（笑）」

へぇ～、よくそんなに切り替えられますね！

「もちろん大きなミスをして上司に怒られたりもしますけど、それは『改善してほしい』という思いがあるからですよね。怒られるのも必要なんだなと考え、次からは同じミスをしないように心掛けます」

ウェブマンガ編集の仕事に就く女性2人組も、今回は参加していました。

今いる職場は、立ち上がってまだ1年ほどだそう。もちろん「マンガが好き」というモチベーションがあるからこそ、現職の会社へ入社しました。まずは、「金スマの会」への参加が今日で2度目だという右の女性にお話を伺いました。

「前職では編集とはまったく関係のない仕事に就いていたのですが、実はその時の自分は腐ってたんです。『なんでこんなことしなきゃいけないの！』みたいな。でも今は、激務だし、残業も多いし、やることもたくさんあるんですけど、好きだからできます（笑）。会社は土日祝日休みですが、漫画家さんは土日関係なく仕事をしているので、私も土日関係なく仕事はするようにしています！」

えーっ！　じゃあ、お休みはなしですか？

「そうですね。365日24時間、仕事モードです！　サービス自体がフル稼働の毎日更新なので、それに合わせます。前に務めていた会社では自分が担当した仕事の結果が何も見えず、すごく苦痛でした。でも今は、自分が携わったものが世に出て、即座に面白いかどうか評価される。自分の仕事が実感できるんです」

左の女性は、前職も編集さん。雑誌記事などを担当していましたが、ウェブ・アプリに将来性を感じて今の会社へ転職しました。

「休みは、ほとんどありません。あまり私はオンとオフの境目を気にしていないので、面白いものとか新しいものを見ると『おっ!?』と思い、すぐに作家さんへLINEを送ります。『これ、仕事に使えるんじゃないか』って、毎日が取材です（笑）」

へぇ～、仕事を楽しんでいらっしゃいますね！

「はい、趣味の延長みたいな感じですね（笑）」

およそ2時間強、盛り上がりっぱなしだった今回の「金スマの会」。どうやら皆さん、お互いのモチベーションに刺激を受け合ったようです。

「仕事を頑張ってる人がいると、自分の励みになります。そういう人しかいない場は愚痴を聞く必要もないですし、来やすいなって思いました」（ウェブ制作／女性／35歳）

「ネガティブなことばかり聞いているとこっちも嫌な気持ちになるけど、今日はいいことばかりを聞けてポジティブな気持ちになりました。愚痴ばかりだと自己嫌悪に陥るし、マイナスにしかならないですもんね」（ウェブ制作／女性／38歳）

「自分と違う仕事をしている人の話を聞けて良かったです。仕事が好きなんだなという気持ちが皆さんから伝わってきて、とても有意義でした」（アプリ開発／男性／24歳）

「いろんな場で活躍されている方々の生の声が聞けて、自分のモチベーションになりました」（ウェブマンガ編集／女性／32歳）

「自分の職種以外の人と会えて、すごく面白かったです。異業種交流会だとお酒が入るけど、今回はこういうカフェだったので、しっかり皆さんとお話ができて良かったです」（製薬会社／女性／34歳）

“働きすぎ”と言うとネガティブなイメージですが、金スマ症候群のみなさんは「曜日関係なく好きな仕事に没頭していたい！」という様子でした。なんだかんだいって人生の大部分の時間を占める仕事。単なる生活の糧としてだけでなく、仕事自体を好きと感じて取り組めれば、また違った生活が送れるのかも……　と、わが身を振り返った金曜の夜でしたね。

（寺西ジャジューカ＋ノオト）

取材協力／金スマの会

「職場が大好きで、仕事が楽しい。休みの日になるとやることが無く、金スマの放送時間帯辺りで憂うつな気分になる」という症状を、「金スマ症候群」と命名。このような人たちばかりで集まり、食事をしながら刺激を与え合い、モチベーションを高め合うことを目的とし、月末の金曜夜に開催されている。