

ワーキングマザーの職場の働きやすさは平均69.6点。評価に「上司、同僚との人間関係」が影響
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子育てをしながら正社員として働き続けたいと考えるワーキングマザーが多いなか、依然として仕事と家庭の両立が難しく、キャリアを諦めざるを得なかったという声も聞く現状。貴重な人材を失う企業にとっても、ワーキングマザーが働き続けられる環境を作ることは今後ますます重要になりそうです。
そこで、マイナビ転職では、小さなお子さんを持つ女性会社員・公務員<※以下、本文ではワーキングマザーと定義>800名を対象に、企業の子育て支援制度の導入および利用状況、理想とのギャップ、働きやすい環境を実現するために大事な意識・行動など、気になる実態を調べました。
※調査対象は、小学生未満の子供を持つ20代から40代の女性会社員(正社員)・公務員800人。WEB調査で2021年3月18日(木)~3月22日(月)までに行ったアンケート調査結果を基にしています。
今の会社の働きやすさを点数で表すと?
初めに、今の職場の働きやすさを100点満点の点数で表すと何点くらいになるのかを聞いてみたところ、平均点は69.6点。点数としては高めとなっています。企業規模別に見ると、中小企業(65.6点)より大手企業(73.6点)のほうがやや高い結果になりました。
[ 会社の働きやすさの点数 ]

会社の子育て支援制度の理想と現実
次に、ワーキングマザーを取り巻く現状を知るため、時短勤務や育児休暇の取得など「職場の子育て支援制度」について聞きました。勤め先に制度として存在するものと、あったらうれしい理想の制度を比べてみると、「育児に関する費用援助制度の利用」については理想と現実の間に大きなギャップが(中小企業:制度あり10.5%/理想45.0%)(大手企業:制度あり26.5%/理想55.0%)。
中小企業は、ほかにも「子供の看護休暇」(制度あり29.5%/理想の制度52.5%)や「時差勤務・フレックスタイム制」(制度あり26.8%/理想の制度51.0%)などでギャップが見られ、制度が整っていないことによる働きづらさを感じている人が一定数いることが分かります。
大手企業は中小企業と比較すると制度は充実していますが、「事業所内保育施設の利用」(制度あり10.8%/理想の制度42.3%)、「在宅勤務の利用」(制度あり43.5%/理想の制度65.5%)など、理想にはまだ遠い制度もあるようです。
[ 子育て支援制度の理想と現実 ]


実際に利用している制度・利用できない制度は?
実際に利用している制度は、「時短勤務」(中小企業35.7%/大手企業42.6%)、「在宅勤務」(中小企業16.1%/大手企業27.5%)、「育児休暇」(中小企業15.5%/大手企業27.8%)、「子供の看護休暇」(中小企業14.9%/大手企業26.7%)が多い結果となっています。大手企業と比較すると中小企業の利用がいずれも低い傾向に。
利用したいと思っているのに利用できていない制度は、「時差勤務・フレックスタイム制」 (中小企業8.4%/大手企業9.3%)や「時短勤務」(中小企業6.8%/大手企業8.2%)が上位となっていますが、割合としてはいずれも1割未満にとどまっています。かつ、当てはまるものはないと回答した人が全体の約70%を占めていることから、制度があるけど使えないという人はさほど多くはないのかもしれません。
[ 利用している制度・利用できない制度 ]


制度を利用できない理由は「収入減」「雰囲気」「人手不足」?
割合としては高くないものの、「制度があるのに利用できていない」という状況は、ワーキングマザーの働きづらさに大いに関係がありそうです。そこで、利用できない理由をフリーアンサーで聞いたところ、「時差勤務・フレックスタイム制」は、業務内容上利用が難しい場合や、ほかの制度との併用ができないなどの制度上の問題が主な要因となっていることがうかがえます。対して「時短勤務」は、上司や周りの理解が得られない、人手不足など、職場環境が大きく影響している様子。また、給与が減るという賃金に直結することがハードルとなっている面もうかがえました。
【時差勤務・フレックスタイム制】
- 時短とフレックスの併用が認められていないので
- 業務の内容上、フレックスが難しいから
- 事務職のため、そういった働き方をしている人がいない
- 会社全体にあまりなじみなく、なんとなく利用しにくい
【時短勤務】
- 利用する事によって給与が少なくなってしまうため
- 給料とボーナスが減る。査定に響く
- 上司の理解が得られない
- 職場が回らなくなるため
働きやすさは「上司・同僚との人間関係」次第!?
職場環境が制度を利用できるかに影響することを受け、続いて現在の勤め先の職場環境について聞いてみました。すると、働きやすさの点数が高かった人の特徴として「上司や同僚との人間関係が良好」、「上司に相談しやすい環境である」と感じている傾向が。働きやすさの点数が低かった人に限っては、上司との人間関係に関する回答がいずれも5%を切る極めて低い結果になったのも驚きです。
ワーキングマザーは特に、子供の病気で急に帰宅しなければならないなど、上司に報告が必要なシーンが多く発生しがち。そのため、上司との関係性によるストレスを感じやすいのかもしれません。
[ 働きやすさの点数と職場環境 ]

また、全体に理想の職場環境も聞いたところ、「育児中であることを配慮した職種・配属先である」が54.0%と最多。次いで、「同僚との人間関係が良好」(46.9%)、「上司との人間関係が良好」(46.6%)、「上司に相談しやすい環境である」(43.8%)と、ここでも人間関係に関する項目に回答が集まっています。
ほか、「急な休みの時に周りに仕事を任せられる」(46.6%)も高い結果になりました。子供の体調不良など、急な休みを取らざるを得ないのはワーキングマザーによくあること。そのような時に、自分がいないとどうにもならない仕事を抱えている状態だと、負担に思う人が多いということでしょう。

具体的には、以下のようなフリーアンサーが見られました。
急な休みの時 | 子供の体調不良などの時に休めないと困る |
---|---|
誰でも急に休まなければいけないことがあるわけで、流動的に仕事を分散させられる環境であるべき | |
人間関係が良好 | 何かあった時に相談しやすい |
人間関係が良くないと制度があっても利用しづらい | |
自身の業務量が適切であること | 保育園の送迎で残業ができないのに、もとからキャパオーバーだと周りのフルタイムで働く社員に皺寄せがいってしまうため |
負担の分散 | 特定の人に自分のフォローが偏ってしまうと、その人が負担になるから |
誰かに負担が偏ると空気が悪くなる |
働きやすいと感じる上司の接し方は?
ここまで、ワーキングマザーの働きやすさには「上司に相談しやすい関係を築けているか」が、大きく影響すること分かりました。そこで、実際に上司や同僚の振る舞いで、「働きやすくなる」と感じるものを尋ねてみたところ、以下のような答えが得られました。
【子供関連のキーワード】
- 子供を優先するよう一言があれば働きやすい
- 仕事の事は気にしなくていいから子供の面倒を見てねと言ってくれた
- 子供がいても、他の同僚と平等にみてくれること
【休まざるを得ないことに関連したキーワード】
- 急な休みの時に嫌そうな顔をしない
- 仕事を休むなど迷惑を掛けた時に「お互いさま」という意識がある
- 「カバーできるから安心して休んで」などの声掛け
また、気遣いだけではなく、「上司が積極的に休みを取る、定時退社する、子供の有無に関係なく全員に有給を取るように指示する」など、ワーキングマザーだけを特別に配慮するのではなく、ほかのメンバーも休みやすい、早く帰りやすい状態にするようなマネジメントが行われていると、負い目を感じずに働けるという意見もありました。
<マネジメント例>
- メンバー全員に一律で年次休暇を取るように指示してくれるとありがたい
- 上司が積極的に有給を使って休むので、こちらも休みやすい
- 職場全体で、自分の仕事が終わったら帰りやすい雰囲気になっている
- すべての人に対して扱いが平等
- すべての業務の担当者を複数名にする
- 上司がラフに話してくれて、積極的に育休や有給を取る、定時で帰る
- 急な休みや早退の時も、気兼ねなく承認してくれる
ここまでで見えてきた「働きやすい職場」の条件は、上司や同僚とコミュニケーションが円滑であることと、休みやすい環境であること。とはいえ、上司との人間関係は、新入社員や中途社員の定着のためにも重要性が指摘されるところです。また、急に休みを取る可能性があるのはワーキングマザーに限ったことではありません。自身の体調不良や怪我、家族の介護など、急に会社に来られなくなってしまう事態は、誰にでも起こり得ることです。
ワーキングマザーに働きやすい環境を整えることは、すべての社員にとって働きやすい職場を目指すことにもつながるのではないでしょうか。
ワーキングマザーが働きやすい職場であるために
今回の調査で、併せてワーキングマザー自身に「働き続けるうえでどのような意識が必要と思うか」を聞いたところ、「限られた時間のなかで、ほかのメンバーと同等の成果を上げる」など高い意欲を感じる回答も見られました。人材獲得競争が厳しさを増すなかで、企業にとっては、ワーキングマザーの離職を防ぎ、高いパフォーマンスを発揮できる環境を整えることは不可欠と言えるでしょう。
調査では「働きやすさ」に「上司に相談できる関係性を築けているか」が大きく関わることも分かりましたが、ワーキングマザーが直面する課題は、マネジメント側も経験がないケースが多いのも特徴。「ワーキングマザーがどんな悩みを抱えているか」や、サポートメンバーの負荷を分散する方法など、会社としてマネジメント側への研修を用意するのも一つの方法かもしれません。
子育て支援制度の整備が進み、「次のフェーズ」が求められている企業においては、ワーキングマザーを含む、すべての社員が生き生きと働けるような職場作りが今後ますます重要になるでしょう。
マイナビ転職 編集部
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【調査概要】マイナビ転職『ワーキングマザーに関する意識調査』
調査期間:2021年3月18日(木)~3月22日(月)
調査方法:小学生未満の子供を持つ20代から40代の女性会社員(正社員)・公務員を対象にWEB調査を実施
有効回答数:800名(内訳:中小企業<勤務先従業員規模1,000人未満>、大企業<勤務先従業員規模999人以下>で各400名)
※グラフの内訳は端数四捨五入の関係で合計数値と合わない場合があります
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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社マイナビ
転職情報事業本部 サイト戦略広報部 ブランド推進課
Email:mt-brand@mynavi.jp
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