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転職で年収アップした人は4割。30代の約5人に1人は100万円以上の年収アップに成功

掲載日:

近年、働き方の多様化やライフスタイルの変化に伴い、多くの人々が転職で理想の働き方やワーク・ライフバランスを実現しています。そんななか、年収アップの手段として転職する人も少なくありませんが、実際に転職した人の給与にはどのような変化があったのでしょうか。

そこで、マイナビ転職では、転職者に転職前後の給与額や、理想の給与と実際の給与のギャップ、年収アップのための転職に伴う満足度など、お金に関する気になる実態を調べました。

※調査対象は直近2年以内に転職した20〜50代会社員。WEB調査で2024年7月30日(火)〜8月5日(月)までに行ったアンケート調査結果を基にしています。

現在の年収、平均は507万円。管理職と一般階層では200万円以上の差

はじめに、現在の年収を見てみましょう。平均は507万円で、20代の372万円から、30代、40代とあがる傾向です。なお、階層別に見てみると、一般社員の20〜30代がおよそ420万円、40〜50代が480万円。管理職では20〜30代が660万円、40〜50代が770万円と、同じ年代でも役職によって大きな差が生じていることが明らかです。

現在の年収 現在の年収

転職で年収アップした人は4割。30代が平均約47万円アップ

続いて、転職前後の年収変化について。全体では「年収アップ成功」が40.2%で、次いで「年収維持」(34.9%)、「年収ダウン」(25.0%)と続く結果に。転職理由別に見ると、給与アップを目的として転職をした人は平均30万円以上のアップとなっています。

年代別に見ると、20代では年収アップが4割半ばと、年代間で最も高い結果に。ただし、年代が上がるほど年収が増加する割合は低くなるものの、増減額を見ると30代が平均プラス47万円で最も高く、100万円以上の年収アップになった人も2割近くに上るようです。

30代はすでに一定のスキルや経験を持っていること、給与アップを目的に転職する人が多いことも要因かもしれません。一方、50代の増減額では平均マイナス約60万円と低くなっており、3割強が「50万円以上減少」しています。給与面が転職理由に含まれていない可能性、役職定年などの影響もうかがえます。

転職前後の年収変化 転職前後の年収変化

「年収アップに成功したものの、理想の年収には届かない」6割弱

このように、転職経験者のなかで年収アップに成功している人が一定数いることが分かります。しかし、転職して理想の年収が叶ったのかという観点で見ると、「理想の年収額より転職後の年収は低い」人が半数以上という結果に。年代別に見ると、30代では「理想の年収額より転職後の年収が高い」が2割強と、全体よりもやや高いようです。

理想年収と実際の年収の差

転職で年収アップに成功。でも依然として、理想の年収とのギャップは100万円以上

では理想と現実のギャップの額は実際に、いくらくらいなのか。調べてみると、20代から30代、30代から40代と少しずつ開き、40代になると約320万円にも達します。40代は一般的にキャリアのピークを迎える年代ですが、給与への期待と報酬額にギャップが生じていると推察されます。

理想の年収と実際の年収のギャップ

年代別に現在の年収と理想額を比較すると下記のような傾向が見られました。

【20代】
現在の年収の平均値はおよそ370万円で、理想の年収額の平均値の410万円との差は約30万円。20代は一般的にキャリアの初期段階にあたるため、理想と現実の年収差が他の年代に比べて小さい傾向にあります。

【30代】
現在の年収の平均値は510万円で、理想の年収額の平均値の580万円との差は約70万円。20代よりもギャップが大きくなる理由としては、30代は昇進やスキル・経験に伴う業務幅の拡大に伴って同年代の間で年収の差が開いてくるという点が一つ。

加えて、結婚や子育てなどのライフステージの変化により生計維持に必要な額が上がり、年収アップに向けて精力的にアクションする人も見られることが影響していると考えられます。

【40代】
現在の年収の平均値は580万円で、理想の年収額の平均値である890万円との差は約320万円と、年代間で最も大きなギャップが見られました。40代はキャリアのピークを迎える年代とも言われる一方で、現実の年収は理想から大きく離れている様子です。

【50代】
現在の年収の平均値は約570万円で、理想の年収額の平均値である630万円との差は約60万円でした。30〜40代と比べるとギャップは小さいものの、やはり理想の年収額には届いていないようです。とはいえ、役職定年や定年も見えてくる年齢のため、転職時の給与アップ意識は30〜40代ほど強くはない可能性もあります。

転職した人の7割が「給与面が転職理由に含まれる」

このように給与の理想と現実のギャップが顕著になっていますが、転職の目的は給与以外にも、ワーク・ライフバランスの実現ややりたい仕事への挑戦など、さまざまな理由があるものです。

そこで転職における給与の重視度合いについて聞いてみると、転職した人全体の7割が「給与面が転職理由に含まれる」と回答。「給与の増加を目的として転職した」と答えた人は4割弱でした。また、実際に年収アップを成功させている人の半数は、「給与の増加を目的として転職した」と、明確な目的意識を持っていたという結果に。

年代別に見ると、20代から30代の若年層では、「給与アップを目的として転職した」は約半数と高い割合を占めています。一方で、50代の4割が給与面を転職理由に含まないと回答しており、他の年代と比べて高い結果です。50代以降は役職定年や定年後を見据えて転職に踏み切る人も少なくないため、給与面よりも「やりたいこと」や働き方など、より自分らしいキャリアを選択したい人が多いことも考えられます。

転職理由に給与面が含まれていたか

階層別に見ると、管理職の人は「給与面に転職理由が含まれる人がやや高い傾向。対して、一般階層の人はやや低い傾向です。管理職になる・なりたい、と明確な意識を持つ人は、給与に対しても高い意識を持っているようです。

職業・役職

職種別に年収アップ成功者の割合を見ると、年収アップした割合が年収維持・ダウン層以上の職業は、「営業」「販売・フード・サービス」など。営業や一部の販売などインセンティブ制度がある職種は、自身のスキルを年収アップに結びつけやすい一面があります。

また、販売・フード・サービスなど人手不足の業界は、人手を確保するために採用時の給与水準をアップさせている企業もあり、業界の追い風を受けて年収アップした人、転職に踏み切った人もいるかもしれません。一方、「製造・生産」の業界では、年収ダウン層が年収アップ層を5pt以上上回り、やや高めです。

職種

「給与が低いため応募を見送った会社があった」約半数。「お見送りライン」は20代は340万円、30代は470万円

転職で年収アップを叶えるためには、年収額の希望を満たす求人を見つけ、応募することが必要です。しかし、実際に転職活動を進めるうえでよく難点としてあがるのは「希望に合う求人がない」というところ。

今回の調査でも「いい求人を見つけたものの給与が低いために応募を見送った/辞退した」求人があったか尋ねると、見送った求人があったという回答が約半数でした。

給与が低いために見送った会社の有無

では、具体的に年収いくらを割ると「お見送り」になるのか。全体平均は470万円、次いで20代の希望最低額は337万円、30代が465万円、40代が545万円、50代が533万円と続きます。昨今は人手不足により、賃金アップによって人手確保をする動きも少なくありません。求人の訴求度を高めるには、上記の金額が一定ラインになるという見方もできるでしょう。

希望年収の最低額

あといくらもらえていたら、転職しなかった? 転職を踏みとどまる年収は平均580万円

ちなみに、このように年収額によって「お見送り」される会社があるとすると、年収額によっては「そもそも前職を辞めなかった」というケースもあるのでしょうか。「あといくらもらえていたら転職しなかったか」を聞いてみると、「年収がいくらであっても転職した」という回答は全体の4割。逆に言うと、6割の人が「年収が高ければ転職を踏みとどまった」と考えているのです。

では、実際に踏みとどまる額はいくらか。全体の平均値は581万円で、年代別に見ると、20代は平均410万円、30代は624万円、40代は646万円、50代は661万円。前職での実際年収との差額平均値は、20代で76.8万円、30代で146.0万円、40代で123.5万円、50代で131.4万円でした。

特に30代で最も大きな差が見られますが、これはある程度スキルや経験が充実しているにもかかわらず、前職での評価や報酬が自身の市場価値や期待に達していないと感じたことが、転職の要因になっていると考えられます。

前職の年収がいくらであれば転職しなかったか 前職の年収がいくらであれば転職しなかったか

退職前の直近1年間では半数以上が昇給無し

ちなみに、給与が転職検討の要因になっている場合、現在の給与に加えて将来の期待感につながる「昇給の有無」も見逃せません。退職に至った前職の昇給の有無を聞いてみると、全体では、「昇給なし」の人が半数以上でした。ただし、昇給した人の中では「50万円以上」が最も高い割合で、昇給額にばらつきがあるようです。

給与アップを目的とし転職した人のなかで、前職で「昇給なし」だった人は4割に留まり、全体よりもやや低い結果となりました。なお、前職で給与が上がっていた人の方が、さらなる給与アップを目指して転職する割合が高いという一面も見えます。優秀な人ほど、社内・社外問わず理想の待遇・キャリアを実現できる場所を求めて、積極的にアクションする傾向があるのかもしれません。

退職前の直近1年間の昇給額

今の会社に勤務し続けた場合、5年後は現在の年収より平均127万円昇給すると予想

併せて、今の会社の年収アップの期待感として、5年後の年収見込みも聞いてみました。全体では、5年後の年収見込みは平均で、現在の年収+約127万円という結果に。

昇給すると予想している人は7割弱で、勤務し続けることで給与の上昇が見込めると考えている人が多数であることがうかがえます。このような年収への期待感を抱ける転職先が見つかったことも、転職の後押しとなったのでしょう。

現職5年継続勤務と現在の年収の差

年収交渉を行った人は約半数。交渉した人の8割半ばは給与アップに成功

転職で年収アップを実現するうえでは、年収交渉も一つの重要な手段となります。とはいえ、年収を交渉するのは気まずいと考える方もいるでしょう。今回の調査では、転職時に年収交渉を行った人は半数以上。交渉した人のうち8割以上が、給与額を上げることに成功している結果になりました。

一方で、給与アップを目的として転職した人でも年収交渉を行った人は77.4%に留まり、2割強は年収交渉を行っていないという結果に。年代別に見ると、40代では6割半ばが年収交渉を行っており、年代間で最も高い割合です。50代は年収交渉を行った人が半数以下と、他年代と比べて給与交渉に消極的に見えますが、50代は転職理由を見ても年収の重視度合いが低いので、妥当な結果と言えるでしょう。

転職時に年収交渉をしたか 転職時に年収交渉をしたか

年収交渉で提示した希望額は平均610万円

では、年収交渉で実際にいくらの希望額を伝えたのか。全体では、希望年収額の平均値は612万円でした。年代別では20代がおよそ447万円、30代が597万円、40代が682万円、50代が718万円と続きます。

年収交渉で呈示した希望額

年収交渉をしたタイミングは「一次面接」の割合が最も高い

これらの希望額は、どのようなタイミングで応募企業に伝えているのでしょうか。確認したところ、「一次面接」が36.5%で最も高い割合でした。給与アップを目的として転職した人は「書類選考」(36.3%)と「一次面接」(38.6%)がほぼ同率で高く、早い段階で希望を伝えていることが分かります。

年収交渉のタイミング

「書類選考」のタイミングでの年収交渉方法としては、フリーアンサーを見ると、「給料を提示した状態で紹介してもらった」「転職サイトに登録時のプロフィール欄に記載」など、間接的に意思表示できる手段を活用していることが分かりました。

また、最も回答の多かった一次面接の段階での伝え方としては、「転職先から給与の話が出たとき」「面接時の逆質問」など。希望額の根拠としては、「現職(前職)の金額を基準として交渉した」「過去の実績を踏まえて交渉した」といった回答が多く見られました。なお、自分で直接言わずに、転職エージェントを経由して伝えている人も一定数いるようです。

提示した希望額通りになった
(n=233)
・転職先から現在の年収を聞かれ、答えたところ相手方から年収の提示があった。(男性30代/一次面接)
・エージェント経由。自分の実力を非常に評価してもらえたので、だとすれば今までの会社より高い評価額で仕事をしたいと言った。(男性40代/最終面接)
・所有資格一覧を記載した職務経歴書と前職の給与明細を提示し、これ以上の給与アップを望んでいる事を伝えた。 (男性40代/最終面接)
・給料を提示した状態で紹介してもらった。(男性30代/書類選考)
・転職サイトにアップロードするプロフィール欄に記載。(男性30代/書類選考)
提示した希望額ほどではないが、交渉で給与額を上げることに成功した
(n=148)
・現状の内容と相手側の欲する仕事内容に対して目の前で少し一考。現状と変わらないのであれば少しこちらも考えさせてほしい旨をはっきりと伝えた。(男性40代/一次面接)
・入社意志の確認の際に、給与額を提示してもらいその時に、この額だと前職を下回ることを伝えてその場で金額を変えてもらった。(女性20代/二次面接以降(最終面接を除く))
・内定獲得後、現職の直近支給額との差分を伝え、二度ほど提示額の引き上げを交渉した。(男性20代/内定~入社)
交渉で給与額を上昇させることはできなかった
(n=66)
・エージェントに任せて、希望を伝えた。過去の実績を踏まえ、上げることを提案したが、受け入れてもらえなかった。(男性40代/内定~入社)
・交渉したが決まっているので無理と言われた。(男性50代/書類選考、一次面接)
・内定が出た後メールで行った。(女性20代/最終面接)

年収交渉しなかった理由は印象ダウンや交渉することへの懸念など。20代は「方法が分からない」も高い

ちなみに、年収交渉をすれば年収アップの可能性があるものの、年収交渉をしなかった人に理由を聞いたところ、「交渉することで印象が悪くなることを懸念したため」という理由が24.1%で1位でした。3位には「交渉すること自体に抵抗があったため」(22.9%)が続き、年収交渉がネガティブに作用することを懸念している人が少なくないと分かります。

また、20代では「交渉の方法が分からなかったため」が27.7%と、全体より10pt以上高い結果になりました。20代は社会人経験が比較的短く、交渉に慣れていないこと、転職未経験者が多いことも理由の一つと考えられます。

年収交渉をしなかった理由

転職後、給与面で想定とギャップがあったと感じている人は半数以上

転職時の年収の変化では「上がると思っていたが、思ったほど上がらなかった」「予想外に下がってしまった」というケースも耳にします。そのような「求人応募時に認識していた年収」と「実際の年収」のギャップについて、実際にあったのか聞いてみると、全体の半数以上がギャップを感じているようです。

「認識よりも高かった」というポジティブなギャップであればいいのですが、「認識よりも低かった」とネガティブなギャップを感じている人が4人に1人。思っていたより給料が低いというのは、場合によっては生活に響くので見逃せない点です。そのギャップにつながった項目は「基本給」が29.6%で最も高く、次いで「賞与の額」「賞与の回数」の順に、いずれも1割台となっています。

応募時と現在の年収のギャップ 入社後、給与面で想定とギャップがあったもの

年収アップ成功者は「基本給」に加え、「賞与の回数」「賞与の額」「昇給制度」など幅広い項目をチェック

各項目のギャップは、どうして生じるのでしょうか。転職時の求人情報のなかで、どの項目を見るかの問いには、「基本給」が73.1%と最も多くの人が確認しています。つまり、基本給については「きちんと確認したつもりなのにギャップが生じた」という人が、一定数いると言えるでしょう。

ギャップの原因をフリーアンサーで聞いたところ、「手当込みの金額を基本給と誤認していた」「福利厚生がしっかりしている分引かれる金額が多く、月収で考えた時に手取りが少なかった」など。内訳の確認不足や手取り額(差引額)の見込みの甘さが、思わぬギャップにつながるケースもあるようです。

次いで続く「賞与の回数」「賞与の額」などは、チェックしたという人が3割台までダウン。応募前に条件をチェックする際、盲点になってしまっているのかもしれません。しかし、賞与は企業によってまちまちなので、「今の企業にあるから次の企業にも当然ある」と思い込んで転職してしまうと思わぬ年収ダウンにつながる可能性がある、要注意ポイントとも言えます。

また、フリーアンサーでも、「会社の業績で賞与が変動したため」「思ったほど成果が上げられず、賞与額が伸びない」という回答が多く見られました。賞与はある程度変動するものとして、考えておくことが大切なのかもしれません。

転職時のチェック項目
応募時に認識していたよりも、入社後の年収は低かった
(n=187)
・福利厚生がしっかりしている分、引かれる金額が多く、月収で考えた時に手取りが少なかった。前職は残業が多すぎて、残業のない会社を選んだのは良かったが、残業代がゼロなので手取りが低すぎる。(女性20代/経理・事務・企画)
・現職の会社は理論年収という曖昧な値のみを提示し、何も説明がなかった。実際は、あくまであれは理論だから、として賞与が支払われなかった。(男性40代/研究・開発)
・フルリモートだったのに出社が週3日になり、リモート手当が廃止、交通費は全額支給ではないので。(男性50代/総務・法務・人事・広報)
・入社後、会社の方針が変更になり、社員全員の給料見直しや、手当の廃止が行われた。(女性50代/経理・事務・企画)
・四半期ごとに業績評価されるが、評価基準が厳しく、満額もらえない。(男性50代/ITエンジニア)
・業務内容、研修が想定と違い、パフォーマンスが出せない環境。(男性40代/販売・フード・サービス)
・提示されていた額が、基本給だけでなく手当込みだった。(女性20代/総務・法務・人事・広報)
・基本給が低く、手当等で調整されていた。(男性40代/経理・事務・企画)
応募時に認識していたよりも、入社後の年収は高かった
(n=236)
・入社して3カ月で役職が変わり、昇給した。賞与の会社的見直しがされた事で、役職に応じた額が支払われた。(女性50代/経理・事務・企画)
・毎月の手取り額は思ったより高かったが、残業時間が思っていたよりもかなり多かった。(男性30代/物流・配送・ドライバー)
・業績連動型の賞与が上振れたので想定する金額より大きく上回った。(男性20代/営業)
・みなし残業代の計算方法。従前の会社と違ってギャップがあったが、プラスの方。(男性30代/総務・法務・人事・広報)
・夜勤が多く、残業は確実に手当を貰えている。(女性50代/医療・福祉)

逆に、認識していたよりも高かった層においては、「すぐに昇給した」「賞与が想定より高かった」など会社の評価報酬制度による部分だけではなく、「予想よりも残業が多い」「夜勤が多い」など、長時間労働や意図せぬ勤務体制に関する、人によっては望ましくないと感じていそうなケースも多々見られました。

なお、年収アップに成功した人を見ると、8割の人が「基本給」をチェックしていることに加え、「賞与の回数」「賞与の額」「昇給制度」なども確認している割合が高い傾向に。特に昇給は、長く働くことを考えると重要なポイントです。今の仕事からは一時的に年収が下がるものの、昇給制度の違いによって5年後は逆転するというケースもあるため、年収アップを求めて転職するならば、ぜひ見ておきたい項目です。これらをくまなくチェックすることで、年収アップにつながる転職かどうかを着実に見極めて転職活動を進めている様子がうかがえます。

転職で年収が上がった理由は「スキルや実績、経験が評価されたから」が最も高い

ここまで転職活動の年収アップダウンにかかわる要素を見てきました。これらを総じて、ずばり年収が上がった理由を聞いたところ、「スキルや実績、経験が評価されたから」が21.5%で最も高い結果に。

年収アップを狙うならば自身の経験や能力を生かせる仕事を見つけること、例え未経験の仕事への転職でも、前職の経験で生かせる部分や企業や職種を問わずに生かせる仕事の進め方やコミュニケーションの取り方など、ポータブルスキルと言われる部分をしっかりとアピールしていくことが重要なようです。

次いで上位に入ったのは「年収が上がる仕事にしか転職しない」(18.4%)、「規模が大きい企業への転職だから」(17.4%)。30代は「年収が高い業種・職種への転職だから」(26.7%)にも回答が集まっています。年収アップには自身の努力だけでなく、「どこに属するか」も重要な視点と言えそうです。

転職で年収が上がった理由

転職で年収が下がった理由は「他の条件を優先させたから」「未経験の仕事だったから」など、年収以外の面を重視している傾向

逆に、年収が下がった理由にはどのようなものがあるのでしょうか。全体では、「他の条件を優先させたから」が25.0%で最多。次いで、「規模が小さい企業への転職だから」「未経験の仕事だったから」「稼働時間が減ったから」も上位になっています。

このことから、年収が上がった理由と併せて「経験を生かせるか」「どこに属するか」が年収のアップダウンに影響しているのがうかがえます。また、ここでも残業時間の多寡が年収にかかわってくる様子。給与と労働時間がある程度比例する仕事や労働形態を選ぶ場合は、長く働いて給与を上げるか、プライベートの時間を優先して給与はそこそこで妥協するか、自身のベストバランスを見極め、それが実現できるかを確認することが重要かもしれません。

転職で年収が下がった理由

転職で年収を上げるためには、”自身の市場価値を上げる”、”積極的な交渉”、”企業選びの時点で年収アップを意識する”などが重要

転職で年収を上げるためにはどのような行動が成功につながるかをフリーアンサーで聞いたところ、大きく分けて
・「資格を取る」、「スキルを磨く」など、自分の市場価値を上げる行動
・「給与面の希望を具体的金額で伝える」などの積極的な交渉
・「専門分野を生かせる企業を探す」、「外資系に絞る」など、企業選びの時点から年収を上げることを意識する
などの行動が多く挙げられました。

年収アップ
成功
(n=321)
・自分の専門分野を生かせる企業を探す。紹介してもらうこと。昇給制度がどうなっているか説明できる会社を探すこと。あいまいにしている会社は説明できないことが多く、その後の年収も上がりづらいと考えられる。(男性30代/総務・法務・人事・広報)
・業界の平均が高い業種を選べるようにスキルや経験を積み、交渉をすること。交渉する際には、他社からオファーをもらっている状態であること。(男性50代/その他)
・希望の年収額・待遇をしっかり伝える。複数社の面接を受けて自分の市場価値を把握する。(男性40代/その他)
・資格を持っていたとしても、その近隣の業務まで幅広くこなせるようにした方がいい。(男性50代/ITエンジニア)
・自分のやりたい仕事にチャレンジする意思を伝えること、資格取得に意欲を見せる。(男性40代/総務・法務・人事・広報)
・しっかり雇用内容について確認する。疑問を残さない。(女性40代/営業)
・年収が低ければ転職しないと明確に伝えること。(男性30代/営業)
年収ダウン
(n=200)
・年収は業界によっても左右されるので、単純に年収アップを狙うのであれば外資系、それも製薬、医療機器、金融サービスの会社に絞るのが一つの案だと思います。ただそれが本人にとって幸せに繋がるかは全くの別問題だと思います。(男性50代/総務・法務・人事・広報)
・職種の希望条件を緩和する。事務職を希望していたが、なかなか事務職全般的に年収の低い仕事であるため、そもそもの職種選びを見直す。(女性20代/総務・法務・人事・広報)
・選考過程で昇給を勝ち取ることは難しいと思う。むしろ「これができたら上げてください」の方が結果的にはよくなるのではないか。(男性50代/研究・開発)
・年収交渉をしっかりと行うこと。賞与実績などの実績があるかを詰めて聞いておくこと。(女性20代/経理・事務・企画)
・年収の交渉がうまいエージェントに相談する。(男性30代/ITエンジニア)
年収維持
(n=279)
・自身の市場価値を把握し出来るだけ多くの企業の給与・労働条件を吟味した上で希望に合致する先を探すこと。(男性30代/製造・生産)
・入職時の年収を上げることだけを考えず、入職後の人事評価等でどれだけ上がるかを意識したほうがよい。(男性40代/その他)
・業界に依存するため、やりたいこと・スキルがどの分野にも通ずるものであるとアピールする。(男性20代/営業)
・面接で給与面の希望を具体的金額で伝えること。もちろんその理由も含めて。(女性40代/総務・法務・人事・広報)

給与アップを目的として転職した人のおよそ8割が現在の給与に満足している

ここまで、年収アップを実現する方法について見てきました。最後に、年収アップの結果がキャリアにどのような影響を与えているのか確認したところ、給与満足度については「満足・計」が7割強、約3割が「不満・計」という結果に。

転職理由別に見ると、給与アップを目的として転職した人のおよそ8割が満足しているようですが、やはり、満足には至らない人も一定数います。年収別に見ると、200万円以上400万円未満の層では、満足が約6割であるのに対し、400万円以上600万円未満の層では8割近くに上昇。

また不満は、200万円以上400万円未満の層では、約4割であるのに対し、400万円以上600万円未満の層では約2割にまで減少しています。このことから、年収の不満や不安を解消していきたいと思うのであれば、まずは400万円を超えることで、ある程度軽減されていくと見ることもできそうです。

現在の給与満足度 現在の給与満足度

給与アップ目的転職者は、4割半ばが定年まで勤めるつもり

また、年収アップの成功は、キャリアの安定にも寄与する様子。全体では「定年まで勤めるつもりである」と回答した人は38.5%に留まりましたが、給与アップを目的として転職した人は「今の会社に定年まで勤めるつもりである」が46.7%と、全体を5pt以上上回りました。

今後の転職活動について 今後の転職活動について

年収年代別に見ても、比較的年収が高いほうが「定年まで勤めるつもりである」の割合は高く、年収の高さが企業への定着へと影響する部分は少なからずあると考えられそうです。

ただし、全体的に年収800万円以上の層では「定年まで勤めるつもりである」の割合が少し下がる傾向にあり、「今の会社で満足しているが、よりよい条件であれば転職を考えるかもしれない」の回答が上がる傾向に。

これは、高年収の優秀人材は現状にある程度満足しつつも、さらに良い条件やキャリアの可能性を求め、アクションをいとわない姿勢を示していると考えられます。

転職してでも給与を上げたい人が6割強。管理職や長時間労働を許容する人は?

ちなみに、これまでの分析で見てきたとおり、長時間労働や管理職といった負荷の高い仕事を担うと年収アップにつながる傾向があります。しかし、「昨今は負荷の高い仕事をするくらいなら年収は低くてもいい」「管理職にはなりたくない」と考える人も少なくありません。

今回の調査回答者は年収と労働の負荷、選択肢についてどのように考えていたのか、調査をしてみると、以下のような結果になりました。まず、「転職してでも給与を上げたい」が61.8%で多数派。

転職してでも給与を上げたいか

続いて、責任の重い仕事については、「責任の重い仕事をしてまで給与を上げたいとは思わない」派が54.6%で多数派であるものの、反対派と大差なし。年収アップの手段としては、責任の重い仕事(管理職など)を引き受けるよりも転職の方が手軽に受け止められているようです。

職種別に見ると、物流・配送・ドライバー、医療・福祉、販売・フード・サービスでは「責任の重い仕事をしてまで給与を上げたいとは思わない」の合計が全体を10pt以上上回りました。これらの仕事はシフト制の管理職(店長など)になった場合、欠員の穴埋めやクレーム対応など、負担の大きい業務が求められることも理由の一つと推察されます。

責任の重い仕事(管理職など)をしてでも給与を上げたいか

「長時間労働をしてまで給与を上げたいとは思わない」が6割弱

続いて、労働の長時間化については、「長時間労働をしてまで給与を上げたいとは思わない」が58.8%で多数派。給与を上げるよりも、自分なりのワーク・ライフバランスを維持するほうが重要と考える人が多いようです。

長時間労働をしてでも給料を上げたいか

年収アップのために許容できるものは「転職」が最も高い

ほかにも、年収アップのために許容できるものを確認したところ、「転職」が61.8%で最も高く、次いで「リスキリング」(55.9%)、「副業」(52.6%)など、自分自身のスキルや経験を増やすことに直結する選択肢が上位でした。

以下、「現場や店舗業務」「管理職」と続き、「土日出勤」「長時間労働」「夜勤あり」など自身の生活リズムやプライベートにかかわるものは下位に入ります。年代別に見ると、若年層ほど「副業をしてでも年収を上げたい」という意識が高く、転職に限らず副業に関しても同様に、若い人たちは多様な働き方を受け入れやすい傾向があるようです。

年収アップのために許容できるもの

以上、転職経験者がどのように年収アップを叶えてきたのかを見てきました。年収アップには自身のスキルや経験を生かせる仕事を見つけること、求められるだけのスキルを身に付けること、業種や職種、企業規模など「どこに属するか」が大事な一面があるようです。

年収が高い仕事にはどのようなものがあるのか、具体的な例はマイナビ転職の給与アップ応援宣言の特設サイトをぜひ、ご覧ください。マイナビ転職はすべての働く人が安心して働ける職場を選択できるよう、応援しています。

マイナビ転職 編集部

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【調査概要】マイナビ転職『転職経験者の給与に関する調査』
調査期間:2024年7月30日(火)~8月5日(月)
調査方法:直近2年以内に転職した20~50代会社員を対象にWEB調査を実施
有効回答数:800名(内訳:20~50代の各年代200名ずつ)
※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計数値と合わない場合があります
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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社マイナビ
転職情報事業本部 ブランド推進課
Email:mt-brand@mynavi.jp

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