裁量労働制は、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定められた「みなし労働時間」に基づいて賃金が支払われる制度です。労働者が自ら仕事の進め方や時間配分を決められる点が特徴で、専門業務型と企画業務型の2種類があります。
スーパーフレックスタイム制は、始業・終業時刻を自由に決められ、実労働時間を基に賃金が支払われます。裁量労働制が「成果」や「みなし時間」に基づく制度であるのに対し、スーパーフレックスタイム制は「実労働時間」を重視した柔軟な勤務制度といえます。
更新日:2025年11月28日
記事まとめ(要約)
「フレックスタイム制とは何か」「会社にいなければいけない時間(コアタイム)の実態」や、フレックス勤務可能な求人が多い業種・職種について解説しています。また、実際にフレックスタイム制で働いている人が感じるメリットとデメリットの実態調査についてもまとめています。
フレックスタイム制の企業で働くことができれば、電車の混雑時間帯を避けることができ、通勤のストレスを軽減できるだけでなく、仕事とプライベートの両立もうまくいくかもしれません。フレックスタイム制が多い業種や職種をご紹介しますので、参考にしてください。
フレックスタイム制とは、就業規則や労使協定で定められた総労働時間の枠内で、労働者自身が出退勤時間や労働時間を決められる制度のことです。仕事とプライベートの調和を図りながら、効率的に働くことができます。
フレックスタイム制を導入している会社でも、制度が適用される範囲は「全従業員」「部署ごと」「特定の条件を満たしている人のみ」など、会社ごとの労使協定によってさまざまです。そのため、条件によっては自分がフレックスタイム制の対象とならない可能性がある点を理解しておく必要があります。
「フレックスタイム制」であっても、24時間いつでも自由に出退勤できるとは限りません。フレックスタイム制では、1日の労働時間帯がコアタイムとフレキシブルタイムに分けられていることが一般的です。
コアタイムとは必ず勤務をしなければならない時間帯、フレキシブルタイムとはその時間帯の中であればいつでも出退勤して良い時間帯です。
Q.コアタイムの開始・終了時刻で最も近い時刻はどれですか?
| 8:00 | 8.0% |
|---|---|
| 9:00 | 17.2% |
| 10:00 | 50.6% |
| 11:00 | 11.5% |
| 12:00 | 5.7% |
| 14:00 | 8.0% |
|---|---|
| 15:00 | 51.7% |
| 16:00 | 8.0% |
| 17:00 | 8.0% |
| 18:00 | 6.9% |
マイナビ転職では、フレックスタイム制の利用実態について、24歳~66歳の社会人1,314人(※)にアンケート調査を実施しました。
そのうち「勤め先にフレックスタイムがある」300人にコアタイムの有無を聞いてみたところ、6割以上が「コアタイムがある」と回答。また、コアタイムの開始時刻は10:00、終了時刻は15:00が最も多いようです。
フレキシブルタイムとは、フレックスタイム制におけるいつでも出退勤しても良い時間帯のことです。先述のとおり、フレックスタイム制では1日の労働時間帯がコアタイムとフレキシブルタイムに分けられています。
一方で、コアタイムがない「スーパーフレックスタイム制」(フルフレックス)という勤務形態もあります。スーパーフレックスタイム制では、清算期間における総労働時間を満たすことを前提に、労働者自身が始業・終業時間のほか、一般的に出勤日数を決めて働くことが可能です。
清算期間とは、フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間を定める期間のことで、最長3カ月と法律で定められています。
谷所 健一郎(キャリアアドバイザー)
裁量労働制は、実際の労働時間にかかわらず、あらかじめ定められた「みなし労働時間」に基づいて賃金が支払われる制度です。労働者が自ら仕事の進め方や時間配分を決められる点が特徴で、専門業務型と企画業務型の2種類があります。
スーパーフレックスタイム制は、始業・終業時刻を自由に決められ、実労働時間を基に賃金が支払われます。裁量労働制が「成果」や「みなし時間」に基づく制度であるのに対し、スーパーフレックスタイム制は「実労働時間」を重視した柔軟な勤務制度といえます。
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フレックスタイム制でも、清算期間(フレックスタイム制で、労働者が労働すべき時間を定める期間のこと)における実労働時間が労使協定で定められた総労働時間を超過した場合、残業代は出ます。
日々の労働時間ではなく、清算期間全体の労働時間で残業を判断するため、自身の働き方を柔軟に調整しながらも、最終的に法定労働時間の総枠を超えれば、適切に(割増賃金を含めた)残業代が支払われる仕組みになっています。
法定労働時間の総枠は「週40時間×清算期間の暦日数÷7日」で算出されます。清算期間が1カ月を超える場合(最長3カ月)は、清算期間全体の法定労働時間の総枠を超過した分に加え、各月の週平均が50時間を超える労働も時間外労働(残業)として扱われます。この場合、その月の給与支払日に割増賃金が支払われます。
深夜(22時~翌5時)や法定休日の労働は、清算期間の総労働時間とは別に割増賃金が発生します。
フレックスタイム制の企業で働くことでどのようなメリットがあるのでしょうか。先述のマイナビ転職が実施したアンケート調査を基に、リアルな声を見ていきましょう。
Q.フレックスタイムのメリットとは?(複数回答可)
通勤が楽
定時勤務では行きづらいところに行ける
プライベートの時間をたくさん取れる
残業が少なくて済む
社内のコミュニケーションが取りやすい
取引先とのコミュニケーションが取りやすい
メリットは感じていない
その他
フレックスタイムで働いている人にメリットを聞いたところ、「通勤が楽」と回答した人が59.0%と過半数を占めていることが明らかになりました。次いで、「定時勤務では行きづらいところに行ける」が44.0%、「プライベートの時間をたくさん取れる」が30.6%と続きます。
更に、4番目に多い回答として「残業が少なくて済む」が挙げられていることから、フレックスタイムの導入によって、プライベートの時間がしっかり取れている点に喜びを感じている人が多いと考えられるでしょう。
「フレックスタイムで働いている」と答えた人にメリットを聞いたところ、最も多かった回答は、やはり「通勤が楽」なことでした。決められた始業時間に合わせて出勤する必要がないため、通勤ラッシュや満員電車を避けることができ、通勤のストレスが軽減されるようです。
より具体的には、以下のような声がありました。
「プライベートの時間をたくさん取れる」「定時勤務では行きづらいところに行ける」などもフレックスタイムならではのメリットでしょう。
例えば、出勤時間を自分の都合に合わせて調整することで、子供の見送りをしたり、役所や銀行、病院などに行ったりと柔軟に対応できるようになります。
より具体的には、以下のような声がありました。
時間に縛られなくなることで、生産性が上がるというメリットもあります。
自分で働く時間を調整できるため、より効率的な時間配分が可能になるでしょう。仕事量は、時期によって変動する傾向にあるので、忙しい時は集中的に取り組み、仕事量が少ない時には早く帰宅するというメリハリのある生活を送れます。
また、自分自身で労働時間を管理することで、タイムマネジメント能力も身に付き、効率的に業務を進められるようになるでしょう。
より具体的には、以下のような声がありました。
フレックスタイム制には、メリットばかりではなくデメリットもあります。ここでは、実態調査の結果と共に、フレックスタイム制のデメリットについてまとめました。
Q.フレックスタイムのデメリットとは?(複数回答可)
デメリットは感じていない
社内のコミュニケーションが取りにくい
出退勤の勤務記録提出や自己管理が大変
勤務時間外でも仕事の連絡が来る
実質、希望の時間に出退勤はできていない
取引先とのコミュニケーションが取りにくい
残業が多い
その他
「デメリットは感じていない」が38.1%と、約4割の人がフレックスタイムに不満はないという結果になりました。
一方、デメリットを感じる人の理由としては、「社内のコミュニケーションが取りにくい」「勤務時間外でも仕事の連絡が来る」など、ほかの社員とは勤務時間帯が異なるというフレックスタイムの特性上、連絡を取り合う時間などを合わせづらいといった回答が目立ちました。
「出退勤の勤務記録提出や自己管理が大変」と回答した人の割合は、22.4%となっています。
自己管理や時間マネジメント能力が身に付いていなければ、仕事がたまったり、帰宅時間が遅くなったりして業務効率が下がる可能性もあります。
より具体的には、以下のような声がありました。
「社内のコミュニケーションが取りにくい」と回答した人が23.1%と多くを占めていることが明らかになりました。
また「取引先とのコミュニケーションが取りにくい」と回答した人も11.9%という結果が出ており、コミュニケーション不足に陥りやすいことは大きなデメリットといえるでしょう。
より具体的には、以下のような声がありました。
取引先や顧客はフレックスタイムで働いていないことのほうが多いため、勤務時間外に仕事のやりとりが発生する恐れがある点もデメリットだといえます。
また、周囲の人に遠慮して希望の時間に出退勤はできていない人もおり、自分が希望する時間に出退勤を調整するのは難しいという一面もあるようです。
そこで、実際に、出退勤時間を思うように決められないことがどのくらいあるのか聞いたところ、23.9%が「毎日」と回答。
Q.出退勤の時間を思うように決められないことは、どれくらいの頻度でありますか?
フレックスタイムができる環境であったとしても、勤務時間帯を自分の思うように調整できないとなると、「通勤ラッシュや満員電車を避けられる」「定時勤務では行きづらいところに行ける」などといったメリットも感じにくくなるでしょう。
より具体的には、以下のような声がありました。
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厚生労働省の「令和6年就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制がある企業の割合はわずか7.2%でした。
企業規模別に見ると「1,000人以上」が34.9%、「300~999人」が19.6%、「100~299人」が9.2%、「30~99人」が4.4%で、企業規模が大きいほうがフレックスタイム制の導入率が高いといえます。
フレックスタイム制の導入率(企業規模別)
| 企業規模 | 導入率 |
|---|---|
| 1,000人以上 | 34.9% |
| 300~999人 | 19.6% |
| 100~299人 | 9.2% |
| 30~99人 | 4.4% |
出典:令和6年就労条件総合調査|厚生労働省
フレックス勤務可能な求人が多い業種や職種を、転職情報サイト「マイナビ転職」に掲載されている求人の割合からランキングで紹介します。(2025年6月5日時点)
| 1位 | IT・通信・インターネット | 24.19% |
|---|---|---|
| 2位 | マスコミ・広告・デザイン | 19.43% |
| 3位 | コンサルティング | 17.83% |
| 4位 | 金融・保険 | 10.71% |
| 5位 | サービス・レジャー | 10.50% |
フレックス勤務可能な求人が最も多い業種は「IT・通信・インターネット」で24.19%。続いて「マスコミ・広告・デザイン」の19.43%、「コンサルティング」の17.83%でした。
次に、職種ではどのような結果になるかを見ていきましょう。
| 1位 | ITエンジニア | 26.45% |
|---|---|---|
| 2位 | WEB・インターネット・ゲーム | 23.54% |
| 3位 | 企画・経営 | 19.01% |
| 4位 | クリエイティブ | 15.63% |
| コンサルタント・金融・不動産専門職 | 15.63% |
フレックス勤務可能な求人が最も多い職種は「ITエンジニア」で26.45%。続いて「WEB・インターネット・ゲーム」の23.54%、「企画・経営」の19.01%となりました。
フレックスタイム制の仕事に転職する際には、下記の3つに注意をしましょう。
フレックスタイム制で働ける仕事に転職したいと思ったら、コアタイムの有無や勤務時間の実態を確認しておくことが重要です。
コアタイムとは、1日のうちに「労働者の就業が必須な時間」のことを指します。例えば、コアタイムが9時~13時に設定されていれば、9時までに出勤していなければなりません。
フレックスタイム制が導入されている企業に応募する際は、企業のホームページやブログを活用して、勤務時間の実態について調べてみましょう。
今回のアンケートからも分かるとおり、「フレックスタイム制がある=自分の希望どおりの時間帯に勤務できる」とは限りません。
求人情報やコーポレートサイトの採用ページに「フレックスタイム制」と記載されていたとしても、適用される人が限定されていたり、制度が適用されていても社員がみな同じ時間に出勤しており、自分が思うように決めづらかったりすることも考えられるからです。
自分が希望する職種や配属予定の部署ではどのようにフレックスタイム制が導入されているのか、1日のタイムスケジュールなどを面接の場で聞いてみると良いでしょう。
ただしその際、「フレックスタイムで出退勤時間を自由に決められますか?」などストレートに質問をしてしまうと「制度が目的でこの会社に入りたいのか?」「仕事への意欲が感じられない」と面接官にネガティブな印象を与えてしまうかもしれません。
例えば以下のような、努力を前提にし、業務スケジュールを確認するための質問にすると、印象を損ねずに制度の確認がしやすくなります。
仕事内容に関して詳しく教えてくださいまして、ありがとうございました。ご期待以上の成果が上げられるように全力で努力してまいります。恐れ入りますが、勤務時間について確認させていただいてもよろしいでしょうか?
求人情報にフレックスタイム制と書かれていたのですが、平均的に皆さま何時くらいに出社・退社されているのでしょうか? コアタイムは何時でしょうか?
通勤ラッシュや満員電車を避けストレスなく通勤できる、出退勤時間を調整し仕事とプライベートを両立しやすくなる可能性があるなど、フレックスタイム制を活用するメリットは大きいようです。
一方で、会社によって制度の使われ方は異なり、仕組みや実態を理解していないと、思うような働き方ができないかもしれません。応募企業のフレックスタイム制の実態を把握するためには、事前に勤務時間の実態を調べてみると良いでしょう。
監修者
谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
マイナビ転職 編集部
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