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少女漫画雑誌『ちゃお』の人気も部数も左右する「付録」その創作の現場を見る/稲垣 奈穂子さん
日ごろの自由な会話からアイデアは生まれる イメージ画像

付録会議のために買い集めたグッズを保管するサンプル棚。後の付録作りのヒントとしても生かされる

小学生向け少女漫画雑誌で何年も発行部数トップを走る月刊誌『ちゃお』。その人気を支える要因の一つが付録の存在だ。例えば暗証番号を入力して開く「タッチ認証! ATM型貯金箱」、机の上を掃除する「プリちぃおそうじロボCHI-01」など豪華な付録が毎回付く。

「うちの雑誌にとって付録は本当に大切なもの。あの号はこの付録だったから何万部売れたとか、あの付録だったのに部数が意外に伸びなかったとか、売り上げと付録は常に連動して語られます。ですから担当者にとって、やりがいと共にプレッシャーも大きいです」と付録作りにメインで携わる稲垣さん。

自身も子供のころ、小学館の学習雑誌の付録にワクワクする少女だった。やがて文章を書くことや物語を紡ぐことを仕事にしたいと思うようになり、小学館へ入社。女性週刊誌から少女漫画雑誌の編集に異動し、幾つかの雑誌を経て2013年から『ちゃお』の担当となる。「漫画雑誌の編集に来て驚いたのは、上司と距離が近く、仕事中に自由におしゃべりして笑いが絶えないこと。そんなところからアイデアって生まれるんだなと思いました」

19年現在、付録の仕事は漫画の編集と並行して担っている。常にヒントを探し、反射的に雑貨店に入っては気になるものを購入しているという。「今の小学生は物があふれる時代に育っています。それに百均に行くと、『100円でこんなものまで!』という商品もたくさん並んでいる。だから、ちゃおならではの付加価値って何だろうと常に考えていますね」

付録の案は、作製を請け負う百貨店や印刷会社からのプレゼンと、編集部や外部スタッフが参加する付録会議によって練られる。会議では各人が集めた大量のグッズを前にワイワイと話し合うそうだ。「すぐに採用できるものは少ないけれど、今のはやりをイチ早く知るなど勉強の場でもあります。実現が難しそうなものでも、意見を出し合い、発想を転換することで可能性が出てきたりするんですよ」

読者層の傾向からつかんだ付録作りのポイントは、親に買ってもらえないものや子供がなかなか使わせてもらえないものだ。「そこにちゃおらしさを加味します。編集者たちにも、担当する連載漫画のイラストを付録に使ってキャラクターを育てたいという希望があったりしますね」

採用されなかった大量の参考グッズはサンプル棚に大切に保管。「ネタ決めに困った時など何度も見返しています」

忙しさを理由にせず何にも誠実に向き合う イメージ画像

反響が大きかった付録。中央から左、上と時計回りで、漫画が描けるライトボックス、デスク用ロボット掃除機、ATM型貯金箱ほか

少女漫画の月刊誌『ちゃお』の編集者で、付録作りの担当でもある稲垣さん。「付録の製作は、何か問題が起きて雑誌の発売に間に合わないということがないよう、早めに進行しています。5カ月先までラインアップは決まっていて、発売2カ月前には完成させ、次回の予告用の撮影ができるように動くんです」

次の付録は会議でのアイデアや、本誌のプレゼント企画で人気だった賞品、外部からのプレゼンなどにヒントを得て、稲垣さんと編集長の間で決定する。そして本当に実現可能かどうかや、「子供の健康を害さないか」といった社内規定、大きさ、液体が不可など制限をチェック。業者に見本を作ってもらい、コストや機能面などを何度も見直して完成品に至る。

「外部との打ち合わせで大切にしているのは、自分たちはこういうものを作りたいというポイントを明確に伝えること。そうしないと進行中にブレていってしまいますから」

通常は構想から数カ月の工程だが、物によっては数年かかることもあるという。それに入荷の遅延や、思っていた色、テイストの違いなどさまざまなピンチも襲う。「私たちは付録を本当に大事に思っているので、編集長は色一つでも簡単にはOKを出しません。妥協せず、いつもギリギリまで粘るのが付録作り、ですね」

ちゃおには毎月2万通以上のアンケートはがきが届くという。それと合わせ、読者を招いたモニター会議やイベントを通して、読者の実像や希望をつかんでいく。また、近年のライバルはユーチューブなど範囲が広く、リサーチは山のようにある。連載漫画の編集を数本抱えてはいても、付録作りの仕事は難題に直面することもあるので手が抜けない。「正直胃が痛くなることもありますが、私にとって仕事が多いのはうれしいし、楽しくもあるんです」

雑誌には厳しい時代ではあるけれど、付録の付く紙媒体だからこそできることはあると語る。19年12月号の付録は、ブレスレットのようにかわいいアナログ時計。ネックだった予算の問題を今回クリアできて実現したという。

「一見無理と思えても、アプローチを変えたり、見積もりだけでも取ってみるなど簡単にはあきらめません。気を付けたいのは忙しいことを理由に楽をしないこと。どんな時も人やその場の状況に誠実に向き合っていきたいです」。先輩たちから受け継いだ、少女漫画雑誌発行部数首位を守りつつ、「いつか前例のない、後々伝説となるような付録を作ってみたい」と意気込む。

私の情熱を支えてくれるモノ

デスクに並ぶ、ゆるキャラグッズ

ゆるキャラが大好きなんです。デスクで忙しく作業している時、フッとパソコンから視線を外してこの子たちに目が向くと癒やされますね。それに、この子たちの配置が乱れていたりすると、気持ちに余裕がないんだという心のバロメーターにもなっている気がします。また、時々ボ~ッとしたくなって遠方までただただ電車に乗り、窓から景色を眺めたりしてリフレッシュしています。そういう時間が私には必要みたいです。

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5月9日(金)更新

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