労働条件通知書とは?内定承諾前に確認すべき項目
更新日:2026年06月03日
記事まとめ(要約)
- 労働条件通知書は企業が交付義務を負う書類
- 雇用契約書の交付は任意だが、労働条件通知書を兼ねる場合もある
- 入社前に勤務条件・給与・休日などが確認できる
- 労働条件通知書をもらっていない場合は、交付を依頼しトラブルを防ぐ
内定連絡を受けたら、承諾前に労働条件の不明点やあいまいな部分について説明を確認することが重要です。入社前に「聞いておけば良かった」と後悔しないためにも、このタイミングでしっかり確認しましょう。
ここでは、その際に役立つ「労働条件通知書」について解説します。
労働条件通知書とは?
労働条件通知書とは、企業(雇用主)が労働者に対して労働条件を明示するための書面です。
この書面には、雇用契約の期間、勤務時間、休日、賃金など、法律で定められた必須項目が記載されます。目的は「通知」であるため、署名や押印・返送は不要です。
労働条件通知書を受け取ることで、労働者は入社前に条件を確認し、後々のトラブルを防ぐことができます。
労働条件通知書がもらえないのは違法
入社にあたって、企業が労働者に労働条件を明示することは労働基準法で定められた義務です。
もし企業から条件を記した書面が一切もらえない場合は、法律違反となります。
通常は「労働条件通知書」という書類が交付されますが、法的に必要な項目、例えば給与、勤務時間、契約期間などがすべて記載されていれば、内定通知書や採用通知書、雇用契約書で兼ねることも可能です。
入社後のミスマッチを防ぐためにも、記載内容に不明点や口頭説明との相違がないかも確認しておきましょう。
労働条件通知書をもらうタイミング
法律では労働契約の締結時に労働条件通知書の交付が義務付けられていますが、労働条件通知書は内定を承諾する前までにもらうのが理想的です。
入社当日になって、はじめて給与や勤務時間などの労働条件の詳細を知らされると、事前の話と相違があっても確認や調整がしづらい状況になりかねません。そのため、内定通知が届いた段階で、労働条件の詳細を記した書類の提示を求めるのが賢明です。
最近では、PDFなどの電子データで早期に送付する企業も増えており、もらえない場合にも「住宅ローンの手続きで必要」「雇用保険の確認」といった理由を添えれば、角を立てずに催促できます。
お互いの認識を合わせたうえで契約を結ぶためにも必ず書類を確認しましょう。受け取った書類は退職時まで大切に保管しておきましょう。
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労働条件通知書と雇用契約書の違い
労働条件通知書と雇用契約書は、どちらも労働条件を記載する書類ですが、法的な位置付けに大きな違いがあります。
- 労働条件通知書:企業が労働者に交付することが法律で義務付けられています
- 雇用契約書:法的な作成義務はありません
また、雇用契約書は労働条件通知書を兼ねることが可能です。書式に法的な定めはないため、「雇用契約書 兼 労働条件通知書」として一つの書類にまとめるケースもあります。
このように、労働条件通知書は必須、雇用契約書は任意という点が両者の最大の違いです。
■労働条件通知書と雇用契約書の違い
| 労働条件通知書 | 雇用契約書 | |
|---|---|---|
| 記載内容 | 労働条件 | |
| 役割 | 企業(雇用主)側から労働者(被雇用者)側へ、記載内容について通知する | 企業(雇用主)側と労働者(被雇用者)側で、記載内容について合意がなされたことを証明する |
| 法的義務 | 法的に交付が義務付けられている | 法的な作成義務はなし |
| 記載事項の決まり | 定められている | 定められていない |
| 締結・交付方法 | 企業(雇用主)側から労働者(被雇用者)側へ、一方的に交付 | 企業(雇用主)側と労働者(被雇用者)側の双方にて、署名・捺印をして契約を締結 |
| もらうタイミング | 法律で「雇用契約を結ぶ時」。 一般的には内定日(=雇用契約が確定した日)、または入社日 |
一般的には内定日や入社日 |
詳しくは、雇用契約書とは? 記載事項や労働条件通知書との違い、もらえない時の対処法
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労働条件通知書をもらっていない場合の対処法
労働条件通知書の交付は法律で義務付けられていますが、事前に渡されないこともあります。
そのまま内定を承諾してしまうと、勤務時間や給与などで認識のズレが生じ、後々トラブルになることも。そこで、企業への問い合わせ方や、確認のタイミングを押さえておくことが重要です。
企業への問い合わせ方(例文)・タイミング
企業によっては、内定通知と一緒に労働条件通知書や雇用契約書、就業規則などが郵送される場合もあります。しかし、電話やメールで内定を受けた際には、こちらから確認することが大切です。具体的には次のように尋ねてみましょう。
- 正式な内定承諾のお返事前に、労働条件を確認させていただきたく、労働条件通知書を書面でいただくことは可能でしょうか?
- 労働条件通知書や雇用契約書など、入社手続きの書類を事前に送っていただけますでしょうか?
もし書面での交付が難しい場合は、メールなどで労働条件を提示してもらえるよう依頼しましょう。
事前にトラブルを防ぐ方法
おすすめしたいのは、最終面接後に労働条件をメモしておき、内定連絡時に不明点を確認することです。更に、内定を承諾する前に労働条件通知書を交付してもらえるよう依頼しましょう。
あらかじめ条件を整理しておけば、確認もスムーズになり、認識のズレによるトラブルを防げます。
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内定承諾前に労働条件通知書で確認すべき項目
内定承諾前に、労働条件通知書で何を確認できるかを知っておきましょう。
法律で必ず書面に明示すべき項目と、企業の規定で追加される条件があります。ここでは、その内容を2つのカテゴリーに分けて紹介します。
絶対的明示事項
労働条件通知書において、明示すべき項目です。
労働契約の期間
契約期間の有無。有期雇用契約の場合は契約終了年月日や契約更新の有無、更新回数や通算契約期間の上限も明記。また、無期転換申込ができること・無期転換後の労働条件など。
働く場所・仕事内容
事業所や部署など配属場所、また職種と従事する仕事内容、および変更の範囲(異動の可能性やその範囲など)
始業・終業時刻
所定の勤務時間、勤務交替時間、休憩時間、所定労働時間を超える勤務の有無
休日・休暇
週休日数や曜日、有給休暇日数、夏季休暇や年末年始休暇
賃金
給与や報酬のしくみ、具体的な金額、締め日・支払日、支払い方法、法律で定められている住民税や社会保険料のほかに控除されるものがないかなど
退職
退職に関する事項(解雇の事由を含む)、定年制の有無や内容、任意退職に関する扱い
※短時間労働者の場合は、昇給・退職手当・賞与の有無・相談窓口も明記
相対的明示事項
割増賃金
特別の割増率を定めている場合は、その率および締め日、支払い日
通勤交通費
全額支給なのか、上限があるのかなど
就業にかかる諸経費
制服代や営業交通費などの負担があるかなど
手当・昇給・賞与・退職金
退職手当、残業手当、その他の手当。賞与、昇給、最低賃金も
研修期間・試用期間
期間や内容、その間の待遇などについて
社会保険の適用
どんな保険の適用が受けられるか
表彰、制裁
各種の表彰や、業務規律に違反した場合の制裁の種類と方法など
休職について
傷病、出産、育児、介護などを理由とする休職に関する取り決め
契約更新の条件
契約社員など有期労働契約の更新がある場合、更新するかしないかの判断基準や更新回数など
転勤や異動・転籍や出向
業務の都合による転勤・異動の有無や転籍・出向の可能性など
出典:令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます|厚生労働省
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POINT労働条件通知書で見落としやすいポイント
労働条件通知書には法律で定められた基本項目が記載されていますが、実際には重要な条件があいまいなままの場合もあります。ここでは、特に見落としやすいポイントを確認しましょう。
就業時間・休日・給与の詳細
勤務時間や休日、給与は、企業と労働者の間で認識のズレが起きやすい項目です。
確認ポイント
- 就業時間:始業・終業時刻だけでなく、残業の有無や残業代の計算方法、支給タイミングも確認
- 休日:週休の曜日、有給休暇の付与日数、夏季休暇や年末年始休暇の有無も要チェック
- 給与:基本給だけでなく、手当や支給タイミング、支払い方法まで明記されているか
昇給・賞与・試用期間のあいまいさ
昇給や賞与は「あり」と記載されていても、支給条件や時期が不明確な場合があります。また、試用期間についても、期間の長さや待遇が本採用後と異なる場合は要注意です。
確認ポイント
- 昇給・賞与の有無だけでなく、評価基準や支給時期
- 試用期間中の給与や待遇、延長の可能性
契約更新・転勤・異動の条件
契約社員の場合、契約更新の判断基準や更新回数が記載されているか確認しましょう。更に、転勤や異動、出向の可能性も見落としがちな項目です。
確認ポイント
- 契約更新の条件(更新回数・判断基準)
- 転勤・異動の有無、範囲、頻度
- 出向の可能性と事前承諾の有無
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労働条件通知書の内容に疑問がある場合の対処法
労働条件通知書に疑問を感じた場合は、そのままにせず、早めに確認・相談することが大切です。
ここでは、具体的な確認先や対処法を紹介します。
人事・労務担当者に確認する
もし労働条件通知書の内容が、事前の説明や求人票と異なっていたり、不明な点がある場合は、まず企業の人事・労務担当者へ確認するのが一般的です。
確認の際は「給与が違う」といった漠然とした言い方ではなく、「基本給の内訳は?」「固定残業代は何時間分か?」など、具体的な項目を挙げて質問すると回答がスムーズに得られます。
疑問を解消したうえで契約に合意することが、入社後の安心につながります。
条件に違和感が残る場合は、入社判断を立ち止まって考える
内定後の説明や確認事項に対して、迷いや不明点がある状態のまま入社を決めるのは避けたほうが賢明です。
その違和感は、入社後の仕事への意欲や適応力に影響を与える可能性があります。この労働条件で自分らしく力を発揮できるか、一度立ち止まって冷静に見つめ直してみましょう。
もし一人で判断に迷うなら、労働局の「総合労働相談コーナー」などの公的な相談窓口を活用するのも一手です。自分の考え方や状況を客観的な視点から整理することで、最適な選択ができるでしょう。
POINT年代別に注意したい労働条件のチェックポイント
20代は試用期間と研修期間の扱いを確認
「未経験者は見習い研修あり」といった条件がある場合、その見習い期間・研修期間が「解雇権を保留する試用期間」に当たるかどうかの確認をしてください。
また、見習い期間や研修期間などの名称に限らず、どんな名称にせよ本採用後と労働条件が異なる場合は、期間の長さと労働条件の内容を明確にしてもらうことが大切です。
30代は歩合・インセンティブの計算方法を確認
賃金(給与や報酬)に「歩合」「報奨金」「インセンティブ」などが含まれる場合は、どんな条件で、どの計算方法で支払われるかを確認します。
例えば「毎月の給与計算の締め日の時点で代金回収が完了した○○の販売契約取得につき、その商品代金の3%を当月給与に加算」など。
40代は出向・派遣の有無と条件を確認
「長期出張あり」など、あいまいな条件には注意が必要です。「派遣」「出向」の可能性もあるため確認してください。
もともと法律では、募集企業と勤務企業は同じであることが原則。たとえグループ企業でも、社員を他企業に派遣するには厚生労働大臣への許可が必要です。また、出向の場合は事前にその旨の労働契約を結び、本人の承諾を得ることになっています。
監修者
中野 裕哲
起業コンサルタント®、経営コンサルタント、税理士、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー
起業コンサルV-Spiritsグループ、税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人V-Spirits、V-Spirits総合研究所株式会社 代表
起業準備から起業後の経営まで、窓口ひとつで支援するV-Spiritsグループを主催。年間約1,000件の起業相談を無料で受け、多くの起業家を世に送り出している。経済産業省後援「DREAM GATE」にて12年連続相談件数日本一。
専門分野はビジネスプランのブラッシュアップ、事業計画書作成、創業融資・補助金・助成金の支援、税務会計、人事労務、会社設立、許認可、ブランディング、マーケティング、集客・販促などのアドバイス、人脈の紹介まで行う。
マイナビ転職 編集部
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