転職Q&A【法律関係】
「みなし残業」は違法ではない?
更新日:2025年12月23日
ある会社に商業デザイナーとして採用されることになりました。
労働条件について詳しく聞いたところ、その会社は裁量労働制をとっているとのことで、「みなし残業になるから、残業代は定額だ」と言われました。これは違法ではないのでしょうか?
ジキル(27歳 女性)
A
見なし残業でも、制度の内容や運用に問題があれば違法になることがあります。
見なし残業=固定残業制とは?
「見なし残業」という言葉は、法律上の正式用語ではありませんが、一般には「固定残業代制度(定額残業代制度)」を指して使われることが多いです。これは、あらかじめ一定時間分の時間外労働(残業)を設定し、その分の残業手当を毎月固定額で支払うという給与制度です。
この場合でも、あらかじめ定めた残業時間を超えた分については、別途残業代を支払う必要があります。
例えば、みなし残業が月40時間と定められている職場で、実際に46時間残業した場合、固定残業代に加えて、超過分の6時間の残業代も支払わなければなりません。反対に、残業時間が40時間に達しなかった月でも固定残業代は全額もらえます。
固定残業制が違法になる場合
固定残業代制度が違法と判断されるのは、主に以下のようなケースです。
- 給与明細や契約書に固定残業代の内訳が明記されていない
→「どこからどこまでが残業代か」が不明確だと、無効とされるリスクがあります。 - 規定のみなし時間を超えて働いても、追加の残業代が支払われない
→超過分の未払いは労働基準法違反です。 - 固定残業代の時間単価が最低賃金+割増率(1.25倍)を下回っている
→最低賃金法違反となる恐れがあります。
このように、制度自体は合法でも、運用を誤ると違法になることがあります。
裁量労働制とは?
裁量労働制には、デザイナーや研究開発といった職種の方々が対象の「専門業務型裁量労働制」と、企画・立案・調査・分析などを行う職種を対象とした「企画業務型裁量労働制」の2つがあります。
これら制度は、成果や創造性を求められる職種で、通常の方法による労働時間管理になじまない場合に適用されるものです。
なお、「裁量労働制」と「固定残業代制度(いわゆるみなし残業)」はまったく異なる制度です。
裁量労働制は、あらかじめ定めた「1日○時間働いたものとみなす」制度であり、実際の労働時間に関わらず、決められた時間分働いたとみなされます。
一方、固定残業代制度は、実際の労働時間とは無関係に、決まった時間分の残業代を毎月定額で支払う仕組みです。
仕組みも法律上の位置付けも異なるため、両者を混同した説明を受けた場合は、制度の適用が正しく行われているかを確認することが大切です。
また、特に高収入の専門職を対象に、労働時間の規制を適用除外とする「高度プロフェッショナル制度」もあります。年収1075万円以上などの条件があり、労働時間の上限や残業手当の規定が適用されないため、導入には労使協定と本人の同意が必要です。
裁量労働制の注意点
裁量労働制で働く場合も、「残業代が出ない」と思い込んでしまうのは危険です。
例えば、あらかじめ定められた「みなし労働時間」が1日8時間を超えている場合、その超過分については割増賃金(残業代)を支払う必要があります。
また、22時~翌5時の深夜労働には、裁量労働制であっても深夜手当(25%以上)を支払う必要があります。
更に、上司の指示にしたがって働いていたり、出退勤時間が厳格に管理されていたりする場合には、「裁量がある」とはいえず、制度の適用自体が無効と判断されるケースもあります。
制度が正しく使われているかどうかは、みなし労働時間と実際の働き方が合っているかを確認することがポイントです。
※この情報は2025年7月1日時点のものです。
回答者
永廣 勇資
社会保険労務士
ながひろ社労士事務所 代表
2011年社会保険労務士登録。
豊富な実務経験を基に、企業労務顧問、人事労務アウトソーシングを専門とする。特に、人材確保が喫緊の課題である運送業向けコンサルティングに注力。
独自のノウハウを駆使し、企業の成長を力強く支援するほか、企業のパワハラ予防対策にも定評がある。従業員が安心して働ける職場環境づくりに貢献し、労働トラブルの未然防止にも取り組んでいる。
労働法規の専門知識と実務経験を活かし、企業の持続的な発展を力強く後押しすることを心掛けている。
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