転職後の住民税に要注意! 住民税の納付方法と特別徴収の変更手続きについて
更新日:2024年12月18日


監修者加治 直樹
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定社会保険労務士
記事まとめ(要約)
- 住民税は、転職先が決まっている場合は特別徴収、決まっていない場合は普通徴収で納付する
- 特別徴収とは、企業が会社員の給与から住民税を徴収し、地方自治体に納税する方法
- 普通徴収は、自営業者・個人事業主などが自分で住民税を納付する方法
- 退職時に転職先が決まっているなら、所定の手続きをすることで、特別徴収で引き続き納付できる
会社員の場合、住民税は給与から自動で天引きされるのが一般的です。ただし、転職する場合は、退職する前に転職先が決まっているかどうかで住民税の納付方法が変わることがあります。転職先を決める前に退職すると天引きではなくなるため、住民税納付のための手続きを済ませなくてはなりません。
自分で納付する場合は、支払い忘れがないように、あらかじめ住民税の分のお金を用意しておく必要があるでしょう。
ここでは、転職後の住民税が気になる方のために、
- 転職先が決まっている場合の手続き方法
- 退職日によって異なる納付方法
- 転職前後で引っ越しをした場合の注意点
について解説します。
住民税とは? 税額の決まり方や納付の方法を解説

住民税(個人住民税)とは、「道府県民税(東京都の場合は都民税)」「市町村民税(東京23区の場合は特別区民税)」の総称です。医療・教育・福祉・水道・ごみ処理・防災などの行政サービスに充てられる税金を指します。
住民税額はどのようにして決まるのか?
住民税は、所得に関係なく一律で課税される「均等割額」と、前年分(1月1日~12月31日)の所得を基に算出される「所得割額」の合計金額で計算されます。
住民税には2つの納付方法がある(特別徴収・普通徴収)
住民税の納付方法には、「特別徴収」と「普通徴収」の2種類があります。
特別徴収
特別徴収とは、企業が会社員の給与から住民税を徴収し、地方自治体に納税する方法です。1年分の住民税を12回に分割した金額が給与から天引きされます。
会社から給料をもらっている場合は、特別徴収での納付が基本です。ただし退職や転職を機に普通徴収に切り替わる場合があります。
普通徴収
普通徴収は、会社員ではない自営業者・個人事業主などが自分で住民税を納付する方法です。給与所得者でない人(自営業者・個人事業主など)は、確定申告をして住民税を納めます。
普通徴収では、6月末、8月末、10月末、翌年1月末の年4回が納期限ですが、全額をまとめて納付したい場合は、6月末までの一括払いも可能です。
12回に分けて納付する特別徴収と比較すると、普通徴収は年4回(または一括)の納付のため、1回当たりの納付額が大きくなります。
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転職先が決まっているかどうかで住民税の納付方法が異なる

住民税は、転職先が決まっている場合は特別徴収、決まっていない場合は普通徴収で納付します。以下でそれぞれのパターンを見ていきましょう。
転職先が決まっている場合は住民税の特別徴収で納付が可能
退職時にすでに転職先が決まっているなら、所定の手続きをすることで、特別徴収で引き続き納付ができます。
まずは、転職前の会社で「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を発行してもらいましょう。

引用:東京都中野区「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」
届出書の上段は転職前の会社、下段は転職先の会社の記入欄です。発行してもらった届出書を、転職先の会社を通じて市区町村に提出することで、特別徴収を継続できます。
転職先が決まっていない場合は普通徴収で納付
転職先が決まっていない状態で退職すると、特別徴収ができなくなるため基本的には普通徴収に切り替わります。市区町村から納税通知書が送られてくるので、納期限までに漏れなく納付しましょう。
なお、退職日によっては納付方法が変わるため、次の章で具体的な退職日による違いを解説します。
転職先が決まっていない場合、退職日によって住民税の納付方法が変わる

住民税は1~12月の収入に対して課税され、その支払いは翌年の6月から始まります。年度の途中で退職すると本来特別徴収で天引きされるはずだった住民税の残額はどうなるのでしょうか?
納付方法は6月より前に退職したのか、6月以降に退職したのかで変わります。ここでは、3つのパターンに分けて納付方法の違いを見ていきましょう。
1月1日~4月30日に退職した場合
退職日が1月1日~4月30日の場合、退職月から5月分までの住民税は退職日以降5月31日までに支給される給与から一括徴収されます。
一括徴収される住民税は、退職時の給与や退職金などから差し引かれますが、金額がマイナスになることもあります。
この場合は、給与などから控除しきれないため普通徴収に変更され、後日届いた納付書で不足分を自分で納付する必要があります。
5月1日~5月31日に退職した場合
5月中に退職した場合は、5月分の住民税のみが残っている状態のため、最後の給与から今までと同じ住民税額が天引きされます。
6月1日~12月31日に退職した場合
退職日が6月1日~12月31日の場合は、翌年5月までの住民税を会社に一括徴収してもらうか、普通徴収にするかを納税者本人が選択することができます。どちらにするかは、退職金の額や今後の収入を考慮したうえで判断しましょう。
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転職時に押さえておきたい住民税の注意点

転職と同時に引っ越しをする場合は、住民税の手続きに注意が必要です。以下のポイントを確認して、手続きの抜け漏れを防止しましょう。
転職と同時に引っ越しをしたら……?
住民税の納付先は、その年の1月1日時点で住民票がある市区町村です。年の途中で転職と引っ越しをした場合は、旧住所の市区町村に住民税を納めます。納税先が新住所の市区町村に切り替わるのは、住民票を移した(住所異動の手続きをした)年の翌年からです。
なお、引っ越しをしても住民票を移していない場合、納付先は切り替わりません。実際に住んでいる場所ではなく、住民票の住所が基準になると覚えておきましょう。
住民税の二重払い? 徴収時期について
引っ越しをする際、「新住所と旧住所の市区町村、両方から住民税を徴収されるの?」という心配もあるでしょう。
実際には、転出届と転入届を市区町村に提出して住所異動の手続きを済ませることで、住民税の納付先が切り替わります。転出届・転入届の提出を忘れた場合も、旧住所の市区町村に住民税をそのまま支払い続ける形となるため、二重払いにはなりません。
なお、新住所の市区町村で住民税を納付するのは、住所異動をした年の翌年6月からとなります(1月1日に住所異動をした場合は、その年の6月から)。
ただし、引っ越し後に住所異動の手続きをしなければ、5万円以下の過料と呼ばれる罰則が適用される場合があるため(※)注意が必要です。引っ越し前に旧住所の市区町村で転出届を提出し、新住所に住み始めてから14日以内に、新住所の市区町村に転入届を提出しましょう。
出典:住民基本台帳法第52条第2項
住民税の支払いが遅れると延滞金が発生
住民税の支払いが遅れた場合は、納期限の翌日から納付日までの日数に応じて、延滞金(延滞税)が加算されます。
また、住民税の納期限から20日前後で督促状が発行され、その督促状の発行日から10日以上経過すると財産を差し押さえられる可能性があるため、十分に気を付けましょう。
住民税が特別徴収から普通徴収に切り替わると、給与からの天引きではなくなるため、納付管理がしづらくなるかもしれません。更に、普通徴収では、特別徴収と比べて1回当たりの納付額が大きくなります。
転職先が決まっていない場合は、支払いの遅れが発生しないように納期限をしっかりと確認し、住民税用のお金を準備しておきましょう。
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まとめ
転職先が決まっていれば、所定の届出書を提出することで住民税の給与天引きが継続可能です。転職先が決まっていない場合は、自分で納付する普通徴収に変更されます。
引っ越しをする場合でも、住民税の二重払いは発生しません。しかし、普通徴収の意味を理解しておらず、納付を忘れて延滞金が発生するケースもあります。現在の会社を退職予定の方は、住民税の納付方法について、あらかじめ仕組みを理解しておきましょう。
監修者

加治 直樹
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定社会保険労務士
銀行に20年以上勤務し、融資および営業の責任者として不動産融資から住宅ローンの審査、資産運用や年金相談まで幅広く相談業務の経験あり。在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士および特定社会保険労務士を取得し、退職後、かじ社会保険労務士事務所として独立。
現在は労働基準監督署で企業の労務相談や個人の労働相談を受けつつ、セミナー講師など幅広く活動中。中小企業の決算書の財務内容のアドバイス、資金調達における銀行対応までできるコンサルタントを目指す。法人個人を問わず対応可能で、会社と従業員双方にとって良い職場をつくり、ともに成長したいと考える。
マイナビ転職 編集部
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