通信制大学は学歴にならない?履歴書への書き方やポイント、注意点を紹介
掲載日:2024年04月26日


記事まとめ(要約)
- 通信制大学を卒業すれば、学歴は大学卒業(大卒)になる
- 働きながら学べる、資格取得できる、将来の幅が広がるなどのメリットがある
- 自己管理能力、継続力、教養などを身に付けられる
- 履歴書には「通信制大学卒」であることを明記する必要がある
自宅学習を中心に授業が受けられる通信制大学。しかし、「学歴として評価されるのか」と疑問を感じる人も多いのではないでしょうか。
通信制大学を卒業すると、大卒の学歴が得られるだけではなく、転職活動においてプラスアルファのアピールポイントとすることもできます。
通信制大学に通うメリットや身に付けられる力、履歴書への書き方や面接で聞かれた場合の答え方について詳しく解説します。
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通信制大学は「大卒」の学歴になる?
通信制大学は、四年制大学と同様、文部科学省が認可した正式な大学です。卒業すると「学士」の学位が取得でき、大卒として認定されます。
1999年には大学院修士課程、2003年には大学院博士課程も設置されたため、修士や博士の学位を取得することも可能です。
そもそも通信制大学とはどんな大学?
そもそも、通信制大学とはどんなところなのでしょうか。その目的や卒業するまでの期間などを知っておきましょう。
通信制大学設立の目的
通信制大学設立の目的は、地理的・時間的制約がある人などに大学教育の機会を広く提供することです。
大学が遠方でもインターネットやテキストで学習でき、スクーリングがない通信制大学もありますので、ライフスタイルや目的に合わせて学ぶことができます。更に近年では、さまざまな学びのニーズに対応する教育機関へと変化しています。
卒業するまでの期間
卒業までの期間は大学や学生の状況によって変わります。
通学制の大学であれば、4年制の場合は最低学年数である4年以内に124単位を取得し、卒業を目指すのが一般的です。
しかし、2021年の文部科学省の発表によると、通信制大学の卒業生のうち、最低学年数を超える卒業生の割合は58.0%です。特に社会人の場合、仕事の傍らで勉強をすることになるため、最短年数で卒業することは簡単ではありません。
出典:文部科学省「大学通信教育制度について」「通学制・通信制に係る現行制度等について」
通信制大学に通う4つのメリット
通信制大学に通うメリットは多く存在します。ここでは主な4つのメリットについてご紹介します。
学費を抑えられる
通信制大学の最大のメリットは、学費を抑えられる点です。
4年制の学士課程の場合、通学制大学の授業料は、国立では年間約53万円(※1)、私立では年間約111万円(※2)が標準的です。卒業までの4年間で、国立は約212万円、私立は約444万円が必要な計算となります。
一方、通信制大学で卒業までに必要な費用は、4年制の場合、大学によっても異なりますが70万円~120万円前後です。通学制の大学と比較すると約100万円~300万円も費用を抑えることができます。
通信制大学の場合、単位ごとに学費を支払うため、4年で卒業しても8年で卒業しても費用が大きく変わることはありません。ただ、在籍費用として毎年数万円を支払わなければいけない大学もあります。4年にこだわらず長期間かけて卒業を目指す方の場合、学費以外にどのような費用が必要か、事前に確認することも重要です。
出典:e-Govポータル「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
出典:文部科学省「私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果」
働きながらでも学べる
通信制大学は毎日大学に通う必要がないため、自分のペースで学習できます。そのため、働きながらでも無理なく大卒を目指せます。
実際、文部科学省の調査では、通信制大学の学生のうち42.5%が働きながら学んでいます。近年は大学側も、オンデマンド型の授業の割合を増やすなど、仕事と両立しやすい環境を整えるケースが増えています。
出典:文部科学省「通学制・通信制に係る現行制度等について」
資格取得が目指せる
国家資格の中には、大卒であることや特定の科目を履修していることが受験の条件となっているものがあります。社会福祉士、精神保健福祉士、建築士などの資格が例として挙げられます。そうした資格を取得する機会が得られることも、通信制大学に通う大きなメリットです。
更に、通信制大学の卒業と同時に資格を取得できるものもあります。例えば、小学校教諭などの教員免許状、幼稚園教諭、保育士、司書、学芸員、測量士補などです。
知識が深まる、将来の選択肢が増える
大学では専門的な学びが得られます。自分の興味がある分野を深く追求することが可能です。知識を深めることで、将来の選択肢を増やすこともできるでしょう。
また、転職の応募条件が「大卒」となっていることもあります。通信制大学で学位を得るだけでも、職業選択の幅は大きく広がります。
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通信制大学卒業で得られるアピールポイント

専門知識や資格にとどまらず、通信制大学に通うことで得られる能力をアピールポイントとすることも可能です。代表的な3つの能力について解説します。
自己管理能力
通信制大学は自分のペースで学習できますが、自己管理ができていないと勉強が後回しになり、単位取得が難しくなってしまいます。また、大学によってはスクーリング(対面授業)への参加を求められることもあり、スケジュール調整もしなければいけません。そのため、通信制大学を卒業するためには非常に高い自己管理能力が必要です。
転職活動では、通信制大学を卒業するためにどのような工夫や努力をしたか、具体的なエピソードとともにアピールできれば、自己管理能力の高さを伝えられるでしょう。
継続力
通信制大学には、一般の大学にあるような大学生ならではの人間関係やサークルなどは基本的にありません。そのため、勉強を続けようという強い意志を、自分で保ち続けなければいけません。
多くの企業は、長期間自社で働いてくれる社員を求めています。通信制大学の卒業に不可欠な、やると決めたことをやり続ける「継続力」は、企業にとって魅力的なアピールポイントとなります。
教養・知識力
通信制大学では、専門科目だけではなく教養科目も履修します。また、さまざまな分野の学習プログラムが用意されているため、幅広い教養を身に付け、知識力を高めることもできるでしょう。そうした教養や知識を、仕事やさまざまな場面で生かすこともできるはずです。
通信制大学の履歴書への書き方や注意点
通信制大学の学歴を履歴書へ書く際には、気を付けるべきポイントがあります。具体的な例とともにご紹介します。
履歴書の書き方の例
履歴書に通信制大学の学歴を記載する場合は、下記のような書き方が一般的です。
【例1】
令和○年4月 ○○大学通信教育部○○学部○○学科入学
令和○年3月 ○○大学通信教育部○○学部○○学科卒業
【例2】
令和○年4月 ○○大学(通信教育課程)○○学部○○学科入学
令和〇年3月 ○○大学(通信教育課程)○○学部○○学科卒業
履歴書記入時の注意点
履歴書に学歴を記載する際は、正式名称で書くことが原則です。例えば、正式名称が「○○大学通信教育部○○学部」だった場合、「通信教育部」を省略しないようにしましょう。
また、大学によっては正式名称に「通信」が入っていない場合もあります。その際は、「通信教育課程」「通信教育部」などを明記してください。学歴詐称を疑われるなどのトラブルを回避できます。
以下の記事では履歴書の見本を確認できます。ぜひ参考にしてください。
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面接で聞かれる前に準備しておくこと
通信制大学を卒業していることは、アピール次第で好印象を与えることができます。以下の内容を参考に、面接の前にしっかり準備しておきましょう。
そもそもなぜ学ぼうと思ったのかを明確にしておく
なぜ勉強したいと思ったのか、そのきっかけは何だったのか、理由を明確にしておきましょう。「大卒の学歴が欲しかった」という漠然とした理由を伝えるのはおすすめできません。「○○について学びたかった」というような明確な目的意識があったことを伝えましょう。
特に社会人学生として学んだ人の場合、理由を明確にしておくと、目的意識を持って物事に取り組める人物であることをアピールできます。
なぜ通信制大学を選んだのか明確にしておく
通学制大学や専門学校ではなく通信制大学を選んだ理由を明確にしておきましょう。前述のとおり、通信制大学を卒業するためには自己管理能力や継続力が求められます。通信制大学を選んだ理由にそれを絡めることで、自己アピールにもつなげられます。
通信制大学で学んだこと、身に付いたスキルは何か
通信制大学で学んだことや身に付いたスキルもしっかりアピールできるようにしましょう。専門的な知識やスキルだけではなく、工夫して仕事と学業を両立させたエピソードなどを語れると、より魅力的なアピールになります。
通信制大学での経験を企業でどう生かすのか
通信制大学での経験を仕事にどう生かせるのか、事前にしっかり考えておきましょう。業務に生かせる資格を在学中に取得できた場合は必ずアピールすべきです。
まとめ
通信制大学は、卒業によって「学士」の学位取得が可能です。学費が抑えられる、仕事と両立できるなどさまざまなメリットもありますが、自己管理能力や継続力がなければ卒業できない可能性もあります。
卒業後は、大卒としてさまざまな求人に応募できるようになります。転職面接では、学びを通して得た知識や経験を存分にアピールしてください。
監修者

谷所 健一郎(ヤドケン)
キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)
有限会社キャリアドメイン 代表取締役
有限会社キャリアドメイン 代表取締役 キャリア・デベロップメント・アドバイザー(CDA)。1万人以上の面接と人事に携わった経験から、執筆、講演活動にて就職・転職支援を行う。ヤドケン転職塾 、キャリアドメインマリッジを経営。主な著書「はじめての転職ガイド 必ず成功する転職」(マイナビ出版)、「転職者のための職務経歴書・履歴書・添え状の書き方」(マイナビ出版)、「転職者のための面接回答例」(マイナビ出版)、「転職者のための自己分析」(マイナビ出版) ほか多数。
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