シゴトサプリトピックス
新卒1年目の転職はアリ? 経験が浅くても次につながる辞め方とは
掲載日:2015.6.18
新卒で入社し、晴れて社会人となったものの、会社が合わない…… 仕事が合わない……もっと自分に合った職場があるのではないか? というモヤモヤを募らせ、ついに転職を考え始める新卒1年目の社会人は、意外と多いようです。
検索窓で「新卒」と入れると、ちらほら出てくるのが「新卒 辞めたい」「新卒 退職」というワード。マイナビスチューデントが2013年に実施した「入社1年目で『会社を辞めたい』と思ったことはありましたか?」というアンケートでも、「はい」が49.3%、「いいえ」が50.7%と、ほぼ半々でした。
辞めたいと思っても、気になるのは次の就職先があるのかどうか。入社1年目で辞めた場合、経験が浅すぎて転職は厳しいのでは? という疑問を解決すべく、就職・転職関連の著作を数多く持つキャリアコンサルタントの細田咲江さんに話を聞いてみました。
「ここ1、2年に限って言えば、厳しいということはないと思います。景気が上向きになり、有効求人倍率はリーマンショック前の水準に戻りつつありますからね。売り手市場ということで、入社1年目で辞めた人でもニーズはあります。中小企業が人手不足に悩んでいる状況から、特に競争率の高い企業に入って辞めた人は、その企業に入るだけの能力を秘めているということで、魅力的とされていますね」(細田さん 以下同)
細田さんによれば、求人市場はその人の能力以上に景気に大きく左右されるそう。つまり、現在は新卒入社1年目の転職でも追い風のようです。でも、一般的には「3年は続けないと仕事は分からない」なんて言われますが……。
「今は情報のサイクルが早く、すべての仕事がそうある時代ではありません。職種によっては、1年勤めればその仕事内容が大体分かるものもあります。そのため、仕事が合うか合わないかは、まずは1年経験してから判断しましょうと私は話しています。上司など人間関係が合わないという悩みもありますが、1年すれば付き合い方が見えてきたり、自分もしくは相手が転勤や異動になったりして、離れることもありますから」
ただし、業務内容が法律に違反している場合や、シフト勤務が自分に合わずに体調を崩してしまったというように、心身に影響を及ぼす場合は、早めに決断したほうが良さそうです。それ以外の場合はまず1年勤めて、それでも別の進路に舵を切りたいと思ったら、転職を考えるのも一つの手。その際、あることをするかどうかが、転職活動の明暗を分けるのだそうです。
「今の仕事を辞めたいと思ったら、辞める前に必ず何かを達成し、実績を作ってからにしましょう。中途採用では、その人が企業にどういうメリットをもたらしてくれるのかが問われます。1年目だったとしても、アピールできるものを持たずにただ辞めるだけでは、次は見つかりません。例えば、営業の人なら営業成績で一番を取る、みたいな。小さなことでも良いので何かを達成してから辞めるようにしましょう」
そして、面接では自分を正当化するために、退職理由を妙に取り繕わないほうが良いそうです。
「そもそも、1年で辞めるというのは、その人の会社に対する理解が甘かったということ。まずは自分の未熟さを素直に認め、次はこうしたいと伝えましょう。この時、前職の労働条件や人間関係などに責任転嫁するような退職理由に聞こえないことが大切です。例えば、中小企業から中小企業への転職の場合、労働条件は似ているところが多いものです。それを退職理由に打ち出すと、敬遠されることがあります」
企業によって求める人材は異なるため、例え1年で辞めても気にしない会社もあれば、ある程度の勤続年数を重視する採用担当者もいます。なぜ新卒1年目で会社を辞め、新しい会社で再出発しようとしているのか。今一度自分自身を冷静に見つめ直すことが、新卒入社1年目の転職を成功へ導く鍵となりそうです。
(南澤悠佳/ノオト)
取材協力/細田咲江
早稲田大学卒業後、流通会社で12年間、主に人事部に従事。1994年にハナマルキャリアコンサルタントを設立。高校生や大学生の就職、社会人の転職、主婦向け再就職講座などの講演・執筆で幅広く活躍中。現在は、埼玉女子短期大学でキャリアデザインの教授として授業を行っている。
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