「経験不問」と書いてある求人。本当に未経験でも採用されるの?
シゴトサプリトピックス
2015.9.3

「転職したいな」。そう思い求人情報を見てみると、たまに目に入ってくる「職種経験不問」や、「業種経験不問」という文言。言葉のとおり、「経験は問いません」という意味で、中途であっても誰でも採用のチャンスがあります。そのため、現在の仕事から思いきり変化した仕事に就きたい! という人にとってはかなりありがたいことなのですが…… そんなうまい話にホイホイ乗っかってもいいものなのでしょうか?
「職種または業種経験不問で求人を出している企業は、『経験者のみを募集すると、極端に応募人数が減ってしまう』といった事情があります。なので、多くの人に会うために間口を広げ、その中からより良い人材を採用したいと考えている場合が多いです」
とは、『人材紹介の仕事がよくわかる本』(日本実業出版社)の著者で、転職や採用事情に詳しい小松俊明さん。ただし、この場合は、「経験不問だからといって、未経験者が“優遇”されるわけではない」ということ。じゃあ、未経験者が応募してもムダってこと?
「未経験者でも採用されるかどうかは、アピールの方法次第です。例えば、アパレル店員の経験を持つ人が飲食店員になりたい場合。業種も職種も違いますが、お客さまと直に接する点は同じですよね。ならば、『飲食店ではお客さまとの間に○○といったトラブルをよく聞きますが、実はアパレルでも似たようなことがあります。そういう時、私は▲▲して対処しました』など、飲食店とアパレル店の接客の一致点を分析し、自分の実績アピールにつなげればいいんです」

こうして現職と希望の職の共通点を見つけて自己PRをするのは、未経験での転職に有効のよう。飲食店員から半導体の製造機器メーカーの商品企画へといった、一見すると共通点がなさそうな業界・職種へ転職する場合でも、「働いていた飲食店では、お店にお客さまを呼び込むアイデアを提案してより多くの集客を実現しました。こうした発想力やお客さまのことを考える力は、商品企画に生かせると思います」など、ほんの少しでいいので類似点を探し、そこを突破口にしてみましょう。ハードルの高いテクニックではありますが、何もしないよりは評価が高まります!
「業界も職種も未経験でアピールのしようがないからと、『学生時代部長を務めていたのでリーダーシップはあります』『ハードワーカーです』『粘り強いです』など、学生時代の経験や人間性をアピールしても、正直、中途採用ではポイントにならないと思います。単なる自己評価でしかなく、どうとでも言えてしまうので信じづらいもの。中途採用ならば、やはりこれまでの仕事で証明しないとダメですよ」
また、未経験の職種や業種に応募する際にはある程度の下調べも重要です。ただし、ネット上で見られる匿名の情報や噂は偏っていることもあるので、実際に応募企業で働いた経験のある人に話を聞くのがベスト。とはいえ、それはさすがに難しいかと思うので、できなければ面接時に直接聞いてみましょう。「未経験者が業務を覚えられる研修や育成制度には、どういうものがありますか?」といった問いかけが適切ですよ。
未経験でも希望の仕事があるなら、今の自分の仕事との共通点を見つけてトライしてみては?
(松本まゆげ+ノオト)
取材協力/小松 俊明
『人材紹介の仕事がよくわかる本』(日本実業出版社)、『35歳からの転職成功マニュアル』(ソフトバンク)など著書多数。転職市場やヘッドハンティング事情に詳しい。元ヘッドハンターで、現在は東京海洋大学教授。
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