勤務先に働きがいを感じていない新入社員のうち、約6割が3年以内に退職予定。働きがいは勤続意向に影響あり?
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新型コロナウイルスの流行から丸2年。今年の新入社員は大学の授業や就活の過程でオンラインでのコミュニケーションを経験し、オンライン慣れしている世代と言えます。学生時代にオンラインでのやり取りを経験してきた、今年の新入社員の働き方や働くことに対する意識には、これまでとどのような変化が生まれているのでしょうか。
そこで、マイナビ転職では、2022年4月に入社した新卒にテレワーク状況や会社への帰属意識、勤務先での働きがいなど、気になる実態を調べました。
※調査対象は、2022年4月に新卒入社した会社員(正社員)。WEB調査で2022年6月17日(金)~6月20日(月)までに行ったアンケート調査結果を基にしています。
テレワーク率は19.1%。前年と比べ、フル出社がやや増えている様子
まず初めに、新入社員のテレワーク状況について聞いてみたところ、テレワークをしている人は全体の19.1%。前年(24.3%)からスコアがやや減少しており、「すべて出社勤務」がやや増加しています。
※2021年までは「在宅勤務」で聴取、2022年から「テレワーク」での聴取に変更
新入社員のうち、今の会社を「3年以内に退職予定」は28.3%、「10年以内に退職予定」は51.0%。前年と比べて横ばい傾向
次に、今の会社に何年くらい居続けるか聞いたところ、今年も約半数が10年以内に退職予定、定年まで居続ける予定の方は18.5%にとどまっています。前年から大きな差は見られません。
男女別で見ると、「3年以内」の回答が、男性(26.5%)、女性(30.0%)と、女性のほうが今の会社で長く働くイメージは持っていない様子です。
働きがい有無別で見ると、働きがいがない人は「1年未満」が約3割、「3年以内」が6割を超え、圧倒的に勤続希望が低い結果に。働きがいは勤続年数に影響していることがうかがえます。また、働きがいがある人では「定年まで」が2割を超え最も高いものの、「3年以内」や「4~5年ぐらい」もスコアが極端に低いわけではありません。働きがいがある人のなかでも、キャリアアップのために計画的に転職を考えている人がいることも考えられます。
続いて、長く働くと思わない理由を聞いたところ、男性は「キャリアアップしていきたい」「いろいろな会社で経験を積みたい」など、自身のステップアップに関係する理由が高くなっています。対して女性は、「ライフステージに合わせて働き方を変えたいから」が最も高い結果に。結婚や出産をしても働き続ける女性が多くなり、ライフステージに合わせた柔軟な働き方ができるかどうかが、勤続年数を延ばす鍵になるかもしれません。
※全体の降順で上位5位を掲載
会社への帰属意識は67.6%があり。前年と比べ、フルリモートの帰属意識のスコアがやや増加傾向。
次に、「会社・組織の一員であると意識するか」を聞いたところ、全体の67.6%が「意識している」と回答。テレワーク頻度別で見ると、フルリモートの帰属意識が前年からややスコアが伸びています。2020年のコロナ流行から丸2年間、新入社員のなかにオンライン授業などを経験し、比較的フルリモートの状態に慣れている人が増えているであろうこともスコアが伸びた要因の一つとして考えられます。
働きがいを感じていない人は、コミュケーション不足傾向?
次に、今の会社における「対人関係」の不安や悩みを聞いたところ、全体では「苦手な人がいる」「同世代が少ない」「会話・話が難しい」が上位に。また、テレワーク頻度が高いほど「コミュニケーションしにくい」「相談できる先輩や上司がいない」のスコアも高くなる傾向があります。
働きがい有無別で見ると、働きがいがない人は全体の上位3つのほかに、「社風が合わない」「相談できる先輩や上司がいない」「周りとコミュニケーションが取れず、孤独感を感じる」なども高くなっています。働きがいがない人ほど全体的に人間関係の悩みが多いことから、働きがいを向上させるためには社内で孤立していないか、人間関係で悩みを抱えていないか気に掛けることが重要であると考えられます。
※全体の降順で上位10位を掲載
働きがいがある人は、会社や上司・先輩からやってもらって良かったことが多い。
次に、会社や上司・先輩にやってもらって良かったことを聞いたところ、「話し掛けてもらえる・雑談してくれる」が最も高く、次いで「OJT」「ランチ・食事に誘ってくれる」が続きます。
働きがい有無別で見ると、働きがいがある人は全体的にスコアが高く、やってもらって良かった、もしくはこれからやってほしいことが明確になっており、会社への満足度も高いことが見受けられます。対して働きがいがない人は、全体的にスコアが低くなっています。
働きがいがない故に、会社への期待が低い可能性に加えて、前章で見られるとおり、人間関係が希薄なままの人が多いのかもしれません。まずは先輩や上司との関係性の構築に力を注ぐべきであると考えられます。
※全体の降順で上位5位を掲載
現在「働きがい」を感じているのは65.0%。働きがいを感じるのは「自身の成長を感じる」「誰かの役に立てたと感じる」「褒められる」時など
次に、今の職場は働きがいがあるかを聞いたところ、全体の65.0%が「働きがいがある」と回答。働きがいを感じる職場として挙げられたのは、「自身の成長を感じる」が最も高く、次いで「誰かの役に立てたと感じる」「褒められる」が続きます。
働くうえでモチベーションとして欠かせないと思われる給料に関する項目は「自身の働きに見合う報酬が得られている(31.1%)」と、意外と低めに。待遇よりも精神的充足感が得られるかが大事なようです。また、「上司、先輩、同僚などと同じ場で一体感を感じながら業務を行う(15.4%)」も回答が低く、同じオフィスに出社して働くかどうかは、働きがいにあまり影響しないのかもしれません。働きがいがある人は「自身の成長を感じる」や「誰かの役に立てたと感じる」が、全体よりもやや高いのも特徴的です。
※全体の降順で上位5位を掲載
働き続けるうえで最も大切なものは、「誰かの役に立てたと感じる」が最も高い
次に、働き続けるうえで最も大切なものを聞いたところ、「誰かの役に立てたと感じる」が最も高く、次いで「達成感を感じる瞬間がある」「自身の成長を感じる」が続きます。
働きがいの有無はコミュニケーション量と関係か?
続いて、現在の職場の状況を働きがいの有無別に見てみると、「1日1回は声に出してコミュニケーションをする」「1日1回はありがとうと言う」「1日1回は上司に報告相談しながら進める」などコミュニケーション量に差が見られることが分かりました。また、「自身の成長を感じる」は、働きがいがない人の回答は5.3%にとどまっています。
職場の状況の理想と現実のギャップ差は、「誰かの役に立てたと感じる」が最も高い
続いて、職場の状況の理想と現実のギャップを確認しました。働きがいを感じる職場として理想とされているが、現実は伴っていない、ギャップが大きい項目は「誰かの役に立てたと感じる」(28.3pt)が最も高い結果に。次いで「自身の成長を感じる」(26.6pt)、「自身の働きに見合う評価が得られている」(26.6pt)が続きます。
「誰かの役に立てたと感じる」や「自身の成長を感じる」は、現在の職場の状況の中で低くはないものの、浸透率としては理想の状態には、まだ程遠い様子がうかがえます。成果物に対して細かなフィードバックを行う、作業にかかった時間を比較するなど、「役に立てた」と実感させる声掛けや、本人が成長を実感しやすいようにアシストする施策を検討していくことが望ましいと考えられます。
テレワークを実施している人で、「テレワークが廃止されても働き続ける」は約半数にとどまる
次に、現在テレワークを実施している人に対して、テレワークが廃止されても働き続けるかを聞いたところ、約半数が「働き続ける」、約2割が「テレワークできる会社に転職する」、残りは「分からない」と回答。テレワークを廃止すれば、辞めていく人が一定数いそうであることが分かりました。
テレワークを実施していない人の、2人に1人が「働けるならテレワークがいい」と回答
続いて、現在テレワークを実施していない人に対して、テレワークができる環境で働きたいと思うかを聞いたところ、「働けるならテレワークがいい(50.0%)」「思わない(43.7%)」と分かれる結果となりました。「思わない」と回答した人のなかには、テレワークが難しい仕事に就いており、その仕事を続けていきたいと考えている人が一定数含まれると考えられます。
2022年度の新入社員は大学3年生の4月に全国的な緊急事態宣言を経験した世代。大学の授業や、就活の面接などでオンラインを経験し、入社時点ですでに「オンライン慣れ」しているため、コロナ禍での働き方の一つの判断基準として、就職先を選んだと考えられます。「テレワークを廃止しても働き続ける」新入社員が半数にとどまったのも、その現れと言えるでしょう。彼らは「出社ありき」の感覚は薄く、フル出社に戻す際に「以前そうしていたから」という理由だけではなく、出社勤務だとどのような利点があるのかを丁寧に説明し、理解を得ることがその後の勤続意向に関わってくるかもしれません。
また、今回は近年社員の定着に不可欠と言われる「働きがい」についても調査を実施。働きがいを感じていない社員は勤続意向が低い傾向が顕著に現れました。彼らは人間関係の悩みで「相談できる先輩や上司がいない」「周りとコミュニケーションが取れず、孤独感を感じる」などの回答が多いことも特徴。対面、オンラインを問わず、こまめな声掛けやプラスワンの雑談など、孤独を感じさせない関係性を構築していくことが、働きがいの向上、ひいては定着に寄与すると言えそうです。
マイナビ転職 編集部
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【調査概要】マイナビ転職『2022年新入社員の意識調査』
調査期間:2022年6月17日(金)~6月20日(月)
調査方法:2022年卒の新入社員を対象にWEB調査を実施
有効回答数:800名(内訳:22歳~23歳の男性400名、女性400名)
※調査結果は、端数四捨五入の関係で合計数値と合わない場合があります
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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社マイナビ
転職情報事業本部 サイト戦略広報部 ブランド推進課
Email:mt-brand@mynavi.jp
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