履歴書には、扶養家族や配偶者に関する記載欄があります。扶養家族数は何人なのか、事実婚の場合は配偶者となるのかなど、正しい記載方法が分からない人も多くいるでしょう。また、個人のプライバシーに配慮し、「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の項目は設けない履歴書の新様式例が厚生労働省から発表されています。ここでは、従来型の履歴書を使用する場合の履歴書の扶養家族と配偶者の記載欄について、ケース別の書き方や数え方を説明していきます。
履歴書の「扶養家族欄」の書き方
履歴書の扶養家族欄の書き方について解説します。また、新しい履歴書様式では記入不要ですが、扶養家族欄がある履歴書を使用する場合や、応募企業から記入指示がある場合、入社後の手続きで必要になりますので、一般常識として扶養家族の定義や履歴書に記入が求められる理由について理解しておくことをおすすめします。
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扶養家族とは?
扶養家族とは、自分の収入で生計を同一とする家族のことです。そして、生計を同一とする家族のことを被扶養者と呼びます。
ただし、扶養家族の定義は「税法上」と「社会保険上」でそれぞれ異なるので注意が必要です。
扶養家族の定義 | 内容 |
---|---|
税法上 | ・その年12月31日現在の年齢が16歳以上 ・青色申告者から給与を受けていない、または白色申告者の事業専従者ではない ・年間の合計所得金額が48万円以下(給与のみの場合は給与収入が103万円以下) ・配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族) ・納税者と同一生計している |
社会保険上 | ・被保険者以外の健康保険組合に未加入 ・年収130万円未満で被保険者の年収の2分の1未満(別居の場合は被保険者からの援助額未満) ・3親等以内の同居親族または扶養可能な別居親族 ・被保険者と同一生計している(必ずしも同居の必要はなし) |
扶養家族欄の記入が求められる理由
扶養家族欄の記入が求められる理由は、以下のとおりです。
・社会保険の加入手続き
・各種税金の算出
・住宅手当や扶養手当の算出
履歴書に扶養家族欄の記入が求められる理由は、社会保険の加入手続きや各種税金の算出をする際に扶養家族の情報が必要になるためです。
また、住宅手当や扶養手当の支給、社宅の必要有無など確認するために記入が求められる場合もあります。
扶養家族にカウントされる条件
前述のとおり、扶養家族の定義は「税法上の扱い」と「健康保険などの社会保険に関わるもの」で異なります。
年収額をはじめとした条件に違いがありますが、履歴書の扶養家族数には健康保険上の被扶養者数を記載するのが一般的です。
健康保険上の被扶養者にカウントされる条件について詳しく見ていきましょう。
【1】ほかの健康保険組合で被保険者となっていないこと
健康保険上の被扶養者にカウントされる条件の一つに、「扶養家族が被保険者以外の健康保険組合に加入していないこと」があります。
また、扶養家族が扶養認定後に就職などで被保険者となる場合は、扶養削除の手続きが必要です。
【2】収入が所定の条件を満たしていること
健康保険上の被扶養者にカウントされる条件の一つに、「扶養家族の収入が所定の条件を満たしていること」があります。
また、扶養家族の収入の種類や年齢、障害厚生年金の受給の有無などにより、条件が異なるため注意が必要です。
扶養申請後1年間の収入 | 扶養申請後1カ月当たりの収入 | |
---|---|---|
60歳未満 | 130万円未満 | 108,334円未満 |
60歳以上 | 180万円未満 | 150,000円未満 |
障害厚生年金受給者 | 180万円未満 | 150,000円未満 |
更に、扶養家族の収入が上記の条件を満たすだけでなく、被保険者の年収の2分の1未満である必要がある(同居の場合)などの扶養認定の条件もあります(別居の場合は、被保険者からの援助額未満)。
【3】3親等内の親族で同居している、もしくは別居でも扶養可能な親族であること

健康保険上の被扶養者にカウントされる条件の一つに、「3親等内の親族で同居している、もしくは別居でも扶養可能な親族であること」があります。
直系尊属(父母・祖父母など)・配偶者・子・孫・弟・妹・兄・姉以外の親族を扶養申請するためには、被保険者と同居していることが必要条件です。
【4】主に被保険者の収入により生活をしていること
健康保険上の被扶養者にカウントされる条件の一つに、「主に被保険者の収入により生活をしていること」があります。
扶養家族の主な生活を支えているのが被保険者以外である場合は、扶養申請できません。
なお、被扶養者に該当するかどうかの最終的な判断は、各健康保険組合が実態に基づいて行います。そのため、各組合により判断が異なる可能性があることをあらかじめ押さえておきましょう。
扶養家族数欄の基本の書き方

扶養家族数欄は、被保険者本人を含めずに被扶養者の人数のみを記載します。一般的な履歴書は「配偶者を除く」のただし書きがあるケースが多く、その場合は配偶者を除いた被扶養者の人数を記載します。
更に、年齢が75歳以上の人は健康保険上の被扶養者となれないので、扶養家族数には含めないように注意しましょう。
事実婚の場合は、パートナーを被扶養者とすることができるので、扶養家族数に含める必要があります。ただし、事実婚を証明することが条件となるため、別途証明書類(住民票など)を求められる場合があります。
履歴書の「配偶者欄」「配偶者の扶養義務欄」の書き方
履歴書の配偶者欄の書き方について解説していきます。また、配偶者とは何かについて税法上と社会保険上の違いをまとめているので、確認していきましょう。
配偶者とは?
配偶者とは、自身と婚姻関係にある人のことで、一般的には夫や妻のことを指します。ただし、配偶者の定義は「税法上」と「社会保険上」でそれぞれ異なるので注意が必要です。
配偶者の定義 | 内容 |
---|---|
税法上 | ・民法の規定による配偶者であること ・事実婚や内縁関係は配偶者に含まれない |
社会保険上 | ・民法上の規定による配偶者だけでなく、事実婚や内縁関係を含む |
出典:国税庁 「配偶者控除」、全国健康保険協会「被保険者とは?」
「配偶者欄」「配偶者の扶養義務欄」の基本の書き方

履歴書の「配偶者欄」と「配偶者の扶養義務欄」の基本の書き方は、社会保険上の配偶者の定義を基準にして考えます。
被保険者と配偶者の関係 | 配偶者欄の書き方 |
---|---|
婚姻している | 有 |
未婚(事実婚・内縁関係あり) | 有 |
未婚(事実婚・内縁関係なし) | 無 |
配偶者の年収 | 配偶者の扶養義務欄の書き方 |
---|---|
130万円未満(60歳未満) | 有 |
130万円以上(60歳未満) | 無 |
180万円未満(60歳以上、または障害厚生年金受給者) | 有 |
180万円以上(60歳以上、または障害厚生年金受給者) | 無 |
【ケース別】扶養家族の数え方・書き方
扶養家族の数え方や書き方について、独身の場合、独身で同居もしくは別居している父母(2人)を養っている場合、結婚をしていて配偶者が専業主婦(夫)の場合、別居している親族がいる場合に分けて解説します。それぞれ確認していきましょう。
独身の場合
独身の場合は、配偶者「無」、配偶者の扶養義務「無」となります。
扶養家族数は、独身であっても同居もしくは仕送りをしている親族がいて、主な生活費を仕送り(送金)していたり、負担していたりするなど、その親族の生計を支えている場合には、扶養家族に含めることができます。
同居もしくは別居している父母(2人)を養っている場合は、扶養家族数「2」人となり、父母と同居していても養っていない場合は、扶養家族数「0」人となります。
独身で同居もしくは別居している父母(2人)を養っている場合
扶養家族数は、独身であっても同居もしくは仕送りをしている親族がいて、主な生活費を仕送り(送金)していたり、負担していたりするなど、その親族の生計を支えている場合には、扶養家族に含めることができます。
同居もしくは別居している父母(2人)を養っている場合は、扶養家族数「2」人となり、父母と同居していても養っていない場合は、扶養家族数「0」人となります。
結婚をしていて配偶者が専業主婦(夫)の場合
配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」となります。扶養家族数は、配偶者を除き、夫(扶養者)が養っている収入が基準以下の親族の人数です。
【例】
・夫(扶養者)、妻、子供2人(共に収入なし)
扶養家族数は、「2」人(子供2人)となります。
・夫(扶養者)、妻、子供1人(子供の年収130万円以上)
扶養家族数は「0」人となります。
・夫(扶養者)、妻、子供1人(収入なし)、夫の母(同居・収入なし・75歳未満)
扶養家族数は「2」人(子供1人と夫の母)となります。
結婚をしていて夫婦共働きの場合
それぞれの家族の収入額によって、配偶者の扶養義務と扶養家族数は変わります。
【例】
・夫(扶養者)、妻(年収130万円未満)、子供1人(収入なし)
配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」、扶養家族数「1」人(子供1人)となります。
・夫(扶養者)、妻(年収130万円以上)、子供2人(共に収入なし)
配偶者「有」、配偶者の扶養義務「無」、扶養家族数「2」人(子供2人)となります。
・夫(扶養者)、妻(年収130万円以上)、子供1人(年収130万円以上)
配偶者「有」、配偶者の扶養義務「無」、扶養家族数「0」人となります。
別居している親族がいる場合
配偶者(内縁や事実婚も含む)、子供、孫、兄弟姉妹、父母等の直系親族は、別居している場合も扶養の対象になります。別居している親族を扶養家族に含める場合、主な生活費を扶養者が仕送り(送金)しているなど、生計を共にしていることが条件です。
【例】
・夫(扶養者)、妻(年収130万円未満)、子供1人(収入なし)、夫の母(別居・夫の仕送りで生活・75歳未満)
配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」、扶養家族数は、子供1人と別居している夫の母の「2」人となります。
・夫(扶養者)、妻(年収130万円未満)、子供1人(収入なし)、夫の母(別居・別の者が主な生活費を負担)
配偶者「有」、配偶者の扶養義務「有」、扶養家族数に夫の母は含まれず、子供1人のみの「1」人となります。
履歴書の扶養家族や配偶者に関する質問
履歴書の扶養家族や配偶者に関する質問について回答します。それぞれ確認しましょう。
扶養家族や配偶者を記載しないことで採用に影響はありますか?
厚生労働省では、企業が公正な採用選考に取り組めるようガイドラインを設けており、選考には関わらず、かつプライバシーの要素が高い情報として、「扶養家族数(配偶者を除く)」「配偶者」「配偶者の扶養義務」の欄を削除した「厚生労働省履歴書様式例」を作成し活用を促しています。そのため、記載の有無または記載内容が選考に影響することはありません。
出典:厚生労働省「新たな履歴書の様式例の作成について」
「扶養家族」や「配偶者」の記入欄がある履歴書であったとしても記載することに抵抗がある場合は、無理に記載しなくても構いません。
また、選考に影響が出る可能性を恐れて、虚偽申告をすることはおすすめしません。入社後にトラブルが生じる可能性があり、虚偽の程度によっては内定取り消しや解雇、損害賠償などに発展してしまう恐れがあります。
履歴書は正直かつ正確な情報を記載することを心掛けましょう。
事実婚をしている場合は配偶者に当てはまりますか?
事実婚の場合でもパートナーは配偶者に当てはまります。ただし、事実婚の証明が必要です。これは、履歴書の配偶者欄に関する事項は、社会保険上の定義を基準にするためです。
まとめ
今回は、履歴書の扶養家族や配偶者とは何か、またそれぞれの記載欄の書き方について詳しく解説しました。履歴書における扶養家族や配偶者の記載は、社会保険上の基準で有無を判断します。ただし、社会保険の扶養申請は各組合によって判断が異なる可能性があることには注意が必要です。
また、近年では扶養家族や配偶者の記載事項が削除された履歴書が活用されていますので、必要に応じて活用することをおすすめします。
履歴書の扶養家族や配偶者の記載項目が分からない場合は、本記事で紹介しているケース別の数え方・書き方を参考にしてみてください。
扶養家族欄以外にも履歴書を書く際に役立つツールや情報
履歴書の書き方見本(項目・欄別)
履歴書の項目・欄ごとの詳しい書き方は、こちらをチェック。
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- 志望動機欄の書き方自己PRを交えて、応募企業で貢献できることを具体的に記入しましょう
- 本人希望欄の書き方本人希望欄と併せて、趣味・特技欄なども忘れず記入しましょう
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