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「育児退職」を経験した女性は5人に1人、育休経験男性も4割弱が退職を経験・検討

掲載日:

2022年度の育児・介護休業法改正から約2年。男性の育児休業(以下、「育休」と称する)の取得率は引き続き注目が集まっています。厚生労働省が2023年7月に公表した令和4年度雇用均等基本調査によると、男性の育休取得率は17.13%。前年の13.97%を大きく上回り、政府目標の2025年までに50%に近づいている状況です。しかし、男性の育休取得率は向上している一方、取得日数の短さが課題に。「妻の負担軽減や仕事復帰の後押し」という育休本来の意義を果たせているか疑問の残る状況です。

そこでマイナビ転職では、会社員・公務員800名を対象とした調査を実施し、男女別の育休取得日数や育休で不安なこと、更に育休取得のコツなど、気になる実態を調べました。また、育休以外の子育て制度全般についても、子育てワーカーがどのように感じているのかを確認しました。

※調査対象は、20代から40代の男女会社員(正社員)・公務員800人。
WEB調査で2024年3月1日(金)~3日(日)までに行ったアンケート調査結果を基にしています。

INDEX

男性の育休取得日数、「5日以内」が約2割

育休経験者に育休取得日数を確認したところ、女性では8割以上が「半年以上」と回答しました。対して男性は3割程度が「2週間未満」、さらに1割半ばが「5日以内」に留まっています。男性の育休取得率は年々増加しているものの、取得日数の実態としては男女で大きな差があることが明らかになりました。

この男女間の育休取得日数の差が、後述のキャリアへの影響度合いや育休を取ることへの不安の差、育児経験値やスキルの差、ひいては家庭内の家事育児に関する役割固定につながる可能性もあります。

【育休取得日数】

「あと2カ月取れれば……」育休日数の理想と現実

次に、育休経験者に理想の育休取得日数を確認したところ、男性は平均126日(約4カ月)を理想としているのに対し実際は平均55日(約2カ月)で、育休日数の理想と現実には約2カ月の差があるという結果に。さらに、パートナーからの希望としても、夫の理想の育休日数(女性回答)は、「1カ月以上」が6割半ばという結果となりました。

女性は平均505日(約16カ月)を理想としているのに対し、実際は平均431日(約14カ月)。女性の育休日数の理想と現実にもやはり、約2カ月の差があるようです。

以上の結果から、男女いずれも自身の育休取得日数について「理想には2カ月足りない」ことが分かりました。またパートナーの育休日数について男女ともに「1カ月以上」が多かったことから、男性から見て妻の育休日数は理想通りである一方、女性から見て夫の育休日数は「短すぎる」という状況です。

【育休取得日数】理想と現実のギャップ

続いて、実際の育休取得日数と理想の育休日数を階層別でみたところ、一般社員と比べ、管理職では育休取得日数が少なく、「5日以内」が2割という結果。対して管理職の理想の日数としては、2週間~半年という回答が4割半ばであることから、管理職では一般職と比べ育休を取得しにくい状況となっています。

【育休取得日数】理想<年代・階層・企業規模別>

世帯年収800万円以上では7割が育休を取得。年収がハードルに?

育休経験者の属性としては、育休経験ありの男性では全体と比べ管理職の割合が高く、育休経験ありの女性では、時短勤務が高めの結果に。育休経験者の中でも男女で一部勤務形態に差があることが分かります。この結果から、時短勤務は夫ではなく妻が取り、女性は育児がネックで管理職になりづらい傾向がある可能性が考えられます。

職業

次に勤務先の従業員規模をみると、育休経験ありの男性は約半数が大手企業(従業員数1,000人以上)勤務者で、全体値より高いことが分かります。2023年4月より従業員が1,000人を超える企業は「男性労働者の育休取得率」の公表が義務化されたことから、大手企業では実績を作るという意味合いもかねて、より育休取得が推進されている可能性も考えられます。

一方、大手企業勤務で育休経験ありの女性は約4割で、育休経験なしの女性(2割半ば)と比べ高くなっています。また、育休経験がない、子供がいる女性の7割が中小企業勤務であることから、女性も大手企業のほうが、育休取得が進んでいることが分かります。

勤務先の従業員規模

続いて育休取得経験を世帯年収ごとでみると、世帯年収800万円未満では5~6割台に留まり、800万円以上で7割を超える結果になりました。世帯年収800万円を境に育休取得率に差が出ていることから、800万円未満では一部、育休取得による収入減少が足枷となり育休を取得できていない層がいることが考えられます。

世帯年収ごと育児休業の利用経験

育休取得しやすくする行動、男性は成果を出すことにも注力、女性は人間関係のフォロー

次に「育休を取得しやすくするコツ」について尋ねたところ、育休経験者では、経験なしの人と比べ、同僚との人間関係に重きを置いていると回答しています。

男女ともにトップ2は「上司と話しやすい人間関係を構築しておく」「同僚と相談しやすい人間関係を構築しておく」で、人間関係に関する項目。特に女性は、積極的に他人をフォローし、より関係性構築を意識している様子がうかがえます。人間関係以外で言うと、男性は「日頃から成果を出しておく」が4位にランクイン。女性は4人に1人が、「会社選び」「職種選択」のフェーズですでに「育児のしやすさ・育児にかかわる制度」を意識しているようです。

育休をスムーズに利用するコツ

育休取得のきっかけ、「子の預け先がない」は女性は4割超に対し男性は1割

続いて育休取得のきっかけを尋ねたところ、男性は、「家族と過ごす時間を取りたいから」が圧倒的1位。また周囲の人に促されたことがきっかけとなった割合も、女性と比べて高い傾向がみられました。

一方女性は、2位の「子の預け先がないから」が1位と僅差。「子の預け先がない」に関しては、男女両方に共通する問題のはずですが、問題意識としては、男性は10.5%に留まるのに対し、女性は半数近くの人が回答。女性にとって、子の預け先の有無は就業可否を左右する重要な問題のようですが、男性にとって影響は限定的なようです。

地域によっては保育園の入園が年度初めの4月以外は難しいところもあるため、「預け先が見つかるなら早く仕事に復帰したい」というもどかしさを抱えながら、「自分が育休を取る以外、子供の面倒を見られる選択肢がない」と育休を継続している人も、一定数いるのかもしれません。

育休のきっかけ

男女ともに育休の不安1位は「収入減少」。女性の幅広い不安に夫は気づけていない可能性

次に育休取得で不安だったことを確認したところ、男女ともに「収入減少」が最も高い結果となりました。女性は「仕事の空白期間ができること」「将来のキャリアへの影響」などキャリアに関する不安も一定数回答があがる結果に。これは、男性でも半年を超える育休を取得した人には同様の回答が見られたため、男性であっても長期の育休を取得するようになれば直面する課題と考えられそうです。

また、女性は「周りへの申し訳なさ」も2割半ばに。この「申し訳なさ」の不安から、前述の「育休取得のコツ」にて他の人のフォローを積極的に行っている可能性も。これらの項目は、「妻が感じていそうな不安(男性回答)」ではスコアがやや低く、「妻が育休取得にあたってどのようなジレンマや不安を感じているか」に夫が気づけているとは言い難い状況です。

男性は全体的に女性よりスコアが低い結果となりました。育休期間が短いことによって、不安に感じる項目が少ないためと推察されます。ただし、育休経験ありの男性の中でも、管理職では「人手が足りていない」ことに不安に感じており、自分が抜けた後の管理職としての業務を任せられる相手の有無という点で、不安を感じている可能性が考えられます。

自分自身/パートナーの育休で不安なこと 自分自身の育休で不安なこと

育休取得の障害は、男女ともに「収入減少」が1位。男性は「特にない」と僅差

「育休取得で不安なこと・ハードルになったこと」を尋ねたところ、「不安なこと」では男女ともに「収入減少」が最も多くあげられましたが、実際にハードルになった人は不安を感じた人よりも少ない様子。実際に取得の準備を進めていくなかで、給付金などにより思ったほどの収入減少はないと知った人もいるのかもしれません。

また男性では女性と比べ「人手が足りていない」ことも育休取得への足枷となっている様子。「職場に前例がない」は男女ともに1割未満に留まり、社会全体として、育休取得への理解が進んでいるようです。

自分自身の育休で不安なこと/実際育休取得のハードルになったこと

育休取得によるキャリアへの影響、女性は「思うように働けなくなった」も高め

「育休取得による現在のキャリアへの影響」は、男性は「影響はなかった」がトップで、次いで「ワーク・ライフバランスを意識するようになった」「子持ちの同僚への見方が変わった」が僅差で上位にあがりました。男性で「影響はなかった」が1位だった理由として、育休取得日数の短さも影響している可能性が考えられます。

一方女性は「ワーク・ライフバランスを意識するようになった」がトップですが、2位の「思うように働けなくなった」も僅差に。女性は復職後も、仕事と育児のバランスのとり方にジレンマを抱えている様子がうかがえます。「パートナーが不安に感じていそうなこと」の回答でも男女ともに「影響はなかった/なさそう」が1割半ばで最も高い結果のため、男性は、妻が「キャリアに影響が出ている」「思うように働けなくなった」と感じていることに、気づけていない可能性が考えられます。

なお、育休取得のハードル1位であった「収入減少」は、実際の影響では男女ともに1~2割程度に留まりました。給付金などによって、思っていたほどの収入減少は起きなかったということかもしれません。

育休取得によって現在のキャリアにどんな影響が出たか?<自分自身/パートナー> 育休取得によって現在のキャリアにどんな影響が出たか?<自分自身>

育休から復職時の不安、女性「休みや早退で周りに迷惑をかけるのでは」。男性「特にない」

次に「育休取得後の復職時に感じたこと」を確認したところ、男性は、「特にない」が3割で最も高い結果に。これは、男性の取得期間は約半数が「1カ月未満」で、「1カ月」であれば、復帰時に職場の状況や人間関係が大きく変わってしまっているような事態はそうそう起こらないというがあるのでしょう。ただし、育休期間が長い男性は「仕事についていけるか」などの不安が高い様子が見られました。

一方、女性は、幅広い項目で2割以上に。女性の取得期間は「半年以上」が約8割で、期間の長さから「自身の体力」などの問題に加え「仕事についていけるか不安」なども。長期の離脱や年度変わりを挟んでいると、「業務内容や一緒に仕事をするメンバーなどが変わっている可能性がある」などの不安を覚えることもありそうです。

また、女性の1位であった「子の体調不良による休みは早退で、周りに迷惑をかけないか」というものは、女性は4割に対して男性は1割に留まりました。「いつ仕事を抜けなければいけなくなるか分からない」というプレッシャーを背負っての就業となる「突発の保育園へのお迎え係」は、女性が担いがちな側面があるのかもしれません。

育休から復職する際に感じたこと(感じてそうなこと)<自分自身/パートナー> 育休から復職する際に感じたこと<自分自身>

育休中にできたこと、「保活」「夜泣きの対応」で男女差が顕著

次に育休中にできたことを尋ねたところ、すべての項目で、女性は男性よりもスコアが上回る結果に。特に差が大きい項目は、保育園・預け先の準備と子供のケアに関連する項目でした。

前述の「女性の育休取得のきっかけ」で「子の預け先がない」が高かったことから、「女性は預け先を見つけられなければ復職できない」人も一定数いて、そのため、子供を預けられる環境づくりは女性主導になっている、男性は育休取得期間が短く、保育園準備の時期に休みが重ならなかった、などの理由が推察されます。

また「夜泣きの対応」も女性が男性と比較して2倍以上のスコアという結果に。平均回答個数でみると、女性では選択した項目が、男性と比べ平均4つ多く、育休中に男性より多くの家事・育児を担っていることが分かります。これらにも、男女で育休取得日数に差があることが影響していると考えられます。

自分自身が育休中にできたこと

自分自身の育休への満足度、男性(平均)70.3点/女性(平均)74.7点

次に「自分自身の育休への満足度」を100点満点で確認したところ、男性は平均70.3点、女性は平均74.7点でした。

自分自身の育休への満足度を100点満点であらわすと?

パートナーの育休への満足度、男性→妻(平均)82.7点/女性→夫(平均)58.4点

「パートナーの育休への満足度」を100点満点で確認したところ、妻の育休への満足度(男性回答)が平均82.7点、夫の育休への満足度(女性回答)が平均58.4点でした。妻に対する点数は、女性の自己評価点より高い結果となったのに対して、夫に対する点数は、男性の自己評価よりも10pt以上下回る結果に。女性は、パートナーの育休への満足度が低い様子がうかがえます。

パートナーの育休への満足度を100点満点であらわすと?

夫の育休への満足度、「日数の短さ」「家事育児への協力の低さ」で減点

では、育休満足度の点数の理由にはどのような意見があるのでしょうか。0点~50点・90点~100点をつけた人の自由回答を見てみましょう。男性の育休満足度の点数が低い理由は、「育休期間の短さへの不満」に加え「職場環境による育休取得の難しさ」が意見としてあげられました。点数が高い理由は、「出産後すぐの子供・家族との貴重な時間が取れた・大切にできた」「育児の大変さが少しでも分かった」があげられました。

また女性から、夫の育休満足度の点数が低い理由として、「日数の短さ」「期待したような育児の協力が得られなかった」という意見が散見されました。一方点数が高い理由として、 「寝る時間をもらえた」「家事・育児など率先して対応してくれた」という意見があげられ、夫の育休への満足度は育児への貢献度が大きく影響している様子。

出産後の女性は身体に大きなダメージを負っており、なかには「動くのもつらい状態で、子供のお世話どころか自分の生活もままならない」という方もいます。育休に入る前に妻の健康状態、育児でできることできないこと、復職までの間にクリアしておくべきライン(「数日子供のお世話を一人でできるようになる」など)を設定し、夫婦間で「育休の過ごし方」の認識のすり合わせをしておくことが大切なのかもしれません。

また、男性の育休では、本人・妻ともに「育休取得日数の短さ」が共通の不満としてあがっており、男性の育休取得率は向上しているものの、実際に取得している日数の短さは課題であると考えられます。

<男性の育休満足度の点数理由>

女性の育休満足度の点数が低い理由は、男性同様「育休期間の短さへの不満」があげられました。一方点数が高い理由として、 「戻れる場所があるので安心して子育てに専念できた」「子供の成長を感じられた」など散見されました。男性から、妻の育休満足度の点数が低い理由として、「日数が短い」に加え、「特にない」が多くあげられました。

点数が高い理由として、「しっかり長期間育休を取れて、育児を担ってくれた」「職場環境が育休を取りやすかった」などがあげられ、ほとんど育児をしてくれたといった内容が多くみられました。これらは、妻の育休への満足度の点数の高さ(82.7点)に影響していると考えられます。以上の結果から、男性本人の点数が高い理由では、家族との時間に関する理由が多い一方で、女性本人の点数が高い理由では、職場環境に関する理由も散見されることが分かります。

<女性の育休満足度の点数理由>

ワーキングマザーの約4割が、退職・転職を実施・検討

次に、「育児との兼ね合いが原因で退職・転職をした、または検討した経験」を尋ねたところ、ワーキングマザーの4割強で退職の経験/退職検討経験があることが分かりました。一方、男性も育休経験者は約4割が退職・転職を検討したことがある結果に。仕事と育児を両立していくことの困難さ、離職防止のために仕事と育児を両立できる環境を整えることの大切さがうかがえます。

育児との兼ね合いが原因で、退職・転職を考えたことがありますか

職場にある制度、「時短勤務」「子供の看護休暇」は男性の認知が低い

続いて、職場にある制度を確認しました。男性は育休経験者でも「時短勤務」「子供の看護休暇」のスコアが女性と比較して低い傾向がみられました。「時短勤務」は法律で設置が義務付けられている必須の制度で男性も女性も利用できるものですが、男女で認知の差がここまで出たというのは注目すべきです。男性にとって「時短勤務」「子供の看護休暇」を使用して育児にコミットすることは、身近ではないのかもしれません。

職場にある制度

利用したことがある制度、「時短勤務」は男女差がクッキリ

次に、利用したことがある職場の制度を調査しました。男性では「在宅勤務」「時差・フレックスタイム制」など、「導入されているかは会社次第だが、会社で導入されていれば子供の有無に左右されず使えるケースが多い」という制度の利用が高め。反対に「どの会社にもあるはずだが、子育てフェーズにならないとあまり使用しない」という制度は比較的利用が低いのが特徴。女性は、真逆の傾向が見て取れます。

育休経験ありの女性では、男性同様すべての制度の割合が育休経験なしの女性より高く、特に「時短勤務」「時差勤務・フレックスタイム制」「在宅勤務」「時間休」「子供の看護休暇」で差が大きいことから、育児のためにさまざまな制度を必要としていると推察されます。「育児のために仕事を調整できる制度」の利用に男女差があることは、制度利用者が「育児のために融通を利かせやすい」とポジティブに感じている一方で、「育児のために仕事を離れなければいけない」「思うように働けない(前述回答・復職後のキャリアへの影響)」というジレンマを抱えている可能性も見逃すことはできません。

利用したことがある制度

続いて企業規模別に育休経験ありの女性が利用した制度を比較します。大手企業では中小企業に比べて、「時差・フレックス制」「時短勤務」「子供の看護休暇」でスコアが高い結果に。前述の育児との兼ね合いが原因で退職・転職を検討した経験で、中小企業のスコアが高いのは、これらの制度の有無が影響している可能性も考えられます。

利用したことがある制度<女性・企業規模別>

育児に関わる制度を重視して会社選びをすることが、育休取得に効果的か

次に、入社する時に重視した制度を尋ねました。育休経験者は、男女ともに育休経験がない人と比較して、入社時に育休に関わる制度を重視していることが分かりました。特に女性は「育休」「時短勤務」の割合が育休経験のない男女、育休経験のある男性と比べ高いスコアとなりました。

この結果は、前述の「育休取得のコツ」での「会社選びの段階で、育児にかかわる制度を見ておく」とも一致しています。必要になったら誰でも制度を利用できることが理想ではありますが、現状では、子育て当事者になる前の早い段階から、将来の子育てを意識して就職先やキャリアの選択をしていくことが、「育休」を取得するために重要だと大切なようです。

入社時に重視した制度と実際に利用した制度

夫に「制度を利用して仕事を調整し、育児にコミットしてほしい」妻は一定数

育休経験者に「もしあったらパートナーに利用してほしい制度」を尋ねました。男性が妻に利用してほしい制度は「在宅勤務」が2割程度で最も高く、次いで「時短勤務」「事業所内保育施設」「育休」が同率2位で続きます。対して女性が夫に利用してほしい制度は、「育休」が2割で最も高く、次いで「子供の看護休暇」「在宅勤務」「時間休」が続きます。

「在宅勤務」や「時間休」は、制度が利用できることで「子供が急な体調不良で保育園からお迎え要請があった時」「子供の体調は回復しているけれど、まだ保育園には預けられない時」などに、休みや早退など仕事への影響を最小限に抑えられるというメリットもあります。男性の制度利用実態に対して女性の「利用してほしい」が上回っているものがいくつも散見される点から、「自身のように、働き方を変えたり仕事を調整したりしてでも、育児にコミットしてほしい」と切実に感じている女性が一定数いるのかもしれません。

パートナーに利用してほしい制度と実際に利用した制度

「子育て経験のある同僚」「育児関係なく休みを取りやすい環境」が働きやすさにつながる?

次に、現在の勤務先の仕事のしかたや人間関係を調査しました。トップ10の項目をみると、男女ともに「身近に子育て経験者・産休育休経験者がいる」ことや「育児にかかわらず、休みを取りやすい雰囲気」などの項目で、育休経験者と未経験者の差が開いています。上記のような職場は比較的、制度の助けを借りて子育てをしやすいと言えるのかもしれません。

【仕事のしかたや人間関係】TOP10<育休経験別×性別>

夫は妻の職場の人間関係、妻は夫がより仕事から離れる時間の確保を重視

理想とするパートナーの仕事のしかたや人間関係を尋ねたところ、育休経験男性が妻の職場に望むのは「同僚との人間関係が良好・相談しやすい」が最も高く、次いで「育休を取得しやすい環境である(育休の取得目標が設定されているなど)」、「上司との人間関係が良好・相談しやすい」、「身近に産休・育休経験者がいる」が2割以上で続く結果に。

育休経験女性が夫の職場に望むのは「妊娠や育児にかかわらず、休みを取りやすい雰囲気である」が最も高く、次いで「上司との人間関係が良好・相談しやすい」、「育休を取得しやすい環境である(育休の取得目標が設定されているなど)」「残業が少ない」が2割以上で続く結果となりました。

男性は妻の職場に「育休取得に理解がある人間関係」を求めている一方、女性は夫の職場に「仕事から離れる時間が取れること」を求めており、女性は夫に対して、子育てや家事に協力してほしいと考えていると推察されます。

【パートナーの仕事のしかたや人間関係】理想と現実のギャップTOP10

現在の職場が働きやすさ、平均61.6点。大手企業と中小企業で差

次に、現在の職場の働きやすさを100点満点で表すと何点になるのかを確認したところ、平均点は61.6点となりました。企業規模別では、中小企業(59.6点)と比べ大手企業(65.9点)がやや高い結果になりました。育休経験有無別では、経験なし(57.5点)より経験あり(65.6点)の点数が高い結果となっています。

自分自身の職場は、子育てをする職場としての働きやすさを100点満点であらわすと?

では、働きやすさの点数の理由にはどのような意見があるのでしょうか。理由を自由回答で確認し、企業規模別で比較しました。まず点数が低い理由として、中小企業では「人手不足」「テレワーク・フレックスができない」といった働き方に加え「産休や育休への上司・同僚の理解不足」「育休から復帰した前例がない」があげられました。

対して大手企業では「業務量や拘束時間への不満」が多くあがっています。点数が高い理由として、中小企業では「休みの取りやすさ」「テレワークなど柔軟な働き方」に加え、「上司・同僚が子育てに理解がある」など育児に関する理由が多くみられます。大手企業では「会社全体での育児のサポート体制」に対して満足している様子。一方で、「制度はあるが実態が伴っていない」といった声も見られました。

【企業別】

次に、育児経験ありの男女別で比較しました。点数が低い理由は、男女いずれも「周りの理解が得られない」が多くあげられました。また女性では「業務量が増えた」といった、長期間休むからこその声が。点数が高い理由は、男性では「職場の制度が整っていて、休みを取りやすい」「周囲で理解してフォローしあえる」などがあげられました。女性では「周囲の理解があり、急な休みを取りやすい」「休みを取っても職場に戻りやすい」などがあがっています。

続いて、育児経験なしの男女別で比較しました。点数が低い理由として、男女いずれも育児経験あり同様「仕事が忙しく、制度があっても利用できない」が多くあげられました。また男性では、「男性での前例がない」という声があがり、男性にとって女性と比べ育休のハードルが高いことがうかがわれます。

女性では「業務量が多い」「テレワークができない」といった働き方や、「同僚の理解を得られていない」「妊娠したら辞める人が多い」など人間関係に対しての声があげられました。点数が高い理由として、男性では「職場の制度が整っていて、休みを取りやすい」「メンバーが多いので仕事を任せやすい」などがあがっています。女性では「制度が整っており、急な休みを取りやすい」「手当がもらえる」「男性も休みを取れる」など、会社としてサポートする制度がうまく機能している効果に対しての声があがりました。

【育休経験別×性別】

今回の調査では、一口に「育休」と言っても、男性と女性の育休実態には大きく差があることが分かりました。実態の差は、同じ育休取得者や子育てワーカーでも抱えている不安やジレンマが人によってさまざまであることを示し、現状長期育休を取っている女性が抱えている不安は、今後長期育休を取る男性が直面する課題になっていくことも予想されます。

人手不足感が高まるなか、企業にとって既存社員の離職防止は重要な課題になりますが、育児退職者は悩みを抱えていても子供の体調による突発的な休みや早退への負い目、人間関係悪化への懸念から相談しづらく、上司や同僚、会社側が事前に不安や悩みを把握するのが難しい面もあります。

当事者が抱いている不安、サポートする側が抱いている不安双方を早めに会社が把握し、適切な人員配置、属人化している業務を見直しましょう。それには、DXによる業務効率化など、負担軽減に向けて働きかけていくことが必要と言えそうです。

マイナビ転職 編集部

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【調査概要】マイナビ転職『育休に対する男女の意識差と実態調査(2024)』
調査期間:2024年3月1日(金)~3月3日(日)
調査方法:20代から40代の男女会社員(正社員)・公務員を対象にWEB調査を実施
有効回答数:800名(内訳:育休経験者、育休未経験者で各400名)
※グラフの内訳は端数四捨五入の関係で合計数値と合わない場合があります
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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社マイナビ
転職情報事業本部 ブランド推進課
Email:mt-brand@mynavi.jp

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