人事異動を拒否できる正当な理由とは?異動を理由に転職してもいいの?
更新日:2025年11月06日
記事まとめ(要約)
- 人事異動は原則的に拒否できない
- 拒否すれば、待遇の見直しや解雇処分が検討される可能性がある
- ただし、正当な理由があれば、拒否が認められることもある
- 人事異動を理由に転職しても問題ないが、勢いだけで決めるのはおすすめしない
そもそも「人事異動」とは?
「人事異動」という言葉には、労働基準法などでの明確な定義はありません。そのため、会社や組織によって意味合いが多少異なります。一般的には「会社・組織の命令によって、従業員が部署や事業所などの配置や、地位を変更すること」として捉えられています。
所属部署や職務内容、勤務地の変更のほか、昇進・昇格や降職・降格も含まれることが多いです。なお、一部の会社ではグループ会社や子会社への出向、転籍を行う場合もあります。
人事異動の4つのパターン
人事異動には、以下の4つのパターンがあります。
●昇進・降格
職位や役職の変更を伴う人事異動です。昇進はより高い職位に就くことで、権限や責任が拡大します。逆に降格は職位が下がることで、業務範囲や処遇が変更される場合があります。
●配置転換
同じ企業内で勤務地、職務内容などを長期間にわたり変更することで、「配転(はいてん)」と略されます。
●出向
所属する企業との雇用契約はそのままで、グループ会社などの関連する別企業で働くことです。これまでとは異なる会社で働くことになるため、労働条件なども大きく変わることがあります。
●転籍
もとの所属企業と雇用契約を合意解約したうえで、関連する別企業と新しい雇用契約を結び働くことです。このケースでは、雇用主や所属が完全に変わってしまいます。
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会社はなぜ人事異動を行うの?その理由・目的は?
突然「別の部署で働いてください」と言われれば、不安を感じる人も多いでしょう。そこで、会社が人事異動を行う主な理由や目的を見ていきましょう。
人事異動は多くの会社・組織のなかで、以下の3つのような理由・目的で行われるようです。
社員の成長のため
適材適所によって能力を発揮させるほか、新たな部署で働くことにより、能力の幅を広げるなど、社員の成長を目的とするもの。
組織の成長のため
異動者の経験やノウハウを新たな部署に伝達することによって、後輩社員の育成や、問題解決、業務効率化を図るなど、異動する本人だけではなく、周りの社員も含めた組織の活性化や成長を目的とするもの。
事業方針のため
新規事業の立ち上げや、会社・組織として今後事業を拡大させていきたい部署に配属させるなど、事業方針や組織編成によるもの。退職者の発生に伴う人員整理なども含まれます。
人事異動を拒否すると解雇される?
自身の成長やキャリアアップにつながる人事異動なら喜ばしいのですが、受け入れたくないと感じる人事異動もあると思います。その場合、働く側としては人事異動を拒否したいところですが、実はそれは難しいことです。
日本では、正社員の雇用は長期的に継続することを前提としており、労働者を簡単に解雇できないよう法的に制限されています。
そのため、企業側には一定の人事権が認められており、就業規則に記載された範囲内での人事異動は原則として拒否できないものとされています。
2024年4月からの労働条件明示ルールの変更
2024年4月の労働基準法施行規則の改正により、労働条件の明示事項に「就業場所」と「業務の変更の範囲」が追加されました。これにより、企業は採用時に、勤務地や職務がどの範囲で変更される可能性があるかを具体的に示す義務を負うようになりました。
そのため、人事異動や配置転換の判断も、明示された範囲を前提に行うのが原則となります。もし、その範囲を大きく超える異動命令が出された場合には、合理性が求められ、辞令の見直しの対象となる可能性もあります。
出典:「令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます」|厚生労働省
人事異動を拒否した時の会社側の対応
労働者が人事異動を拒否した場合、会社側はまず理由を尋ねます。その理由に正当性がないと見なされた場合、待遇の見直しや解雇処分が検討される可能性もあります。
「異動を拒否したらすぐに解雇」というケースは少ないですが、人事異動に関して就業規則に「業務の都合により配置転換や転勤を命じることがある」などの規定がある場合は要注意です。拒否すると業務命令違反と見なされ、懲戒処分の対象になることもあります。
仮に明記されていなかったとしても、「人事異動は基本的には断れないもの」と理解しておいたほうが良いでしょう。
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「辞令」と「内示」の違いとは?「内示」なら拒否してもよい?
「辞令」は、人事異動の正式な命令を出すこと、またはその命令を記した正式な書面のことを言います。一方、「内示」は文字どおり「内々に示す」という意味になります。辞令の予告として本人やその上司など限られた人にのみ知らされます。
企業によって異なりますが、転居が不要な場合の内示は1週間前~1カ月前、転居を伴う場合の内示は1カ月~2カ月前に出ることが多く、「異動のための準備期間を与えるもの」とも言われています。転勤が伴う場合の期間が長いのは、業務の引き継ぎだけでなく、引っ越しの準備や家族の仕事・学校などの調整も必要になるからです。
では、「内示」の段階であれば拒否することができるのでしょうか?
残念ながら、内示段階であっても「人事異動」自体が業務命令であるため、拒否することはできないと考えておいたほうが良いでしょう。
ただし、「正当な理由」がある場合は、拒否の申し立てが通る可能性があります。
人事異動を断る前に確認すべきこと
人それぞれに事情はあるため、やむを得ず人事異動を断りたいこともあるでしょう。ただし、人事異動の拒否を判断する前に以下3点を確認しておきましょう。当てはまっていれば、交渉する余地があるかもしれません。悩んでいる方は参考にしてください。
就業規則の人事異動の規定を確認
まずは就業規則を確認しましょう。人事異動に関する規定がない場合は、原則的に本人の同意が必要です。また、異動を拒否した従業員の待遇を下げたり解雇したりすることはできません。
人事異動ができない理由を明確にする
なぜ人事異動を断りたいと思うのか、その理由を明確にしておきましょう。「これまでとは異なる職場になることが嫌」などという感情的なものではなく、会社側に納得してもらえる正当な理由を論理的に伝えられるよう、事前に準備しておくことが大切です。
人事異動の必要性や人選の基準を確認する
なぜ人事異動が必要なのか、本当に必要なのか、どのような基準で自分が選ばれたのかなど、「人事異動の根拠」を人事担当者に確認しましょう。自分が選出された理由に納得がいかない、または人事異動の必要性自体が感じられない場合は、その旨を人事担当に伝えることも重要です。
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人事異動を拒否できる正当な4つの理由とは?
会社・組織は認められている人事権が強いため、基本的に人事異動を拒否することはできません。ただし「正当な理由がある場合」に限っては、拒否の申し立てが認められることもあるようです。
入社時の雇用契約書の内容と異なる
入社時に会社と交わした雇用契約書で「勤務地」や「職種」が限定されており、該当外のエリアや職種に異動を求められた場合は、「契約違反」となるため拒否することが可能です。
やむを得ない事情がある
やむを得ない家庭の事情があるにもかかわらず、本人や家族に過度な負担が生じる場合には、拒否が認められる可能性があります。
例えば、要介護の両親がいて自分以外に介護を担える人がいない場合や、子どもが重い病気を抱えており専門的な治療を続けているため転院が難しい場合などがそれにあたります。
しかし、その負担の度合いや、それに対する会社側の配慮によるため、必ずしも拒否できるとは限りません。
会社側の権利の乱用
気に入らない社員を困らせる目的で、重要でない仕事や慣れない業務に異動させるなどの嫌がらせが行われることがあります。こうした行為が明らかになれば、その人事異動は不当とされ、無効を主張できる場合があります。
ただし、不当性を立証するには具体的な証拠を集める必要があり、実際には難しいことも多いでしょう。
給与が下がる
人事異動によって給与が下がる場合、従業員は拒否することができます。人事異動そのものは会社の権限として広く認められていますが、それに伴う給与の引き下げは原則認められていません。
職務内容に応じた給与体系が設定されている場合は変動があるかもしれませんが、従業員の不利益となるような大幅な減給は認められず、異動命令自体が違法となる場合もあります。
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人事異動を理由に退職・転職してもいいの?
異動によって職務や居住地が変われば、生活だけでなく今後のキャリアプランにも影響します。もし希望するキャリアを築けないと感じた場合は、「転職」を検討することも一つの方法です。
望まない異動が理由で退職してしまうこと自体には問題はありません。また、会社側が従業員の退職を拒否したり、それを理由に不当な扱いを行ったりすることは許されません。しかし会社は人事異動を計画的に行っているため、異動後すぐに退職となるとあまり快く思われないかもしれません。
また、異動先の部署や取引先などに迷惑を掛けてしまう可能性があります。たとえ転職するつもりでも、異動先の仕事をおろそかにしないなど、最低限のマナーは守って会社との無用なトラブルは避けましょう。
人事異動の内示や辞令の後、すぐに退職できる?
会社から言い渡された異動に納得できない場合、「すぐにでも仕事を辞めたい」という気持ちになってしまう人もいるかもしれません。
ただし、内示や辞令の後にすぐ退職することは難しい場合があります。多くの会社では就業規則で「退職の1カ月前までに申し出ること」と定めています。
また、規定がなくても民法上は「退職の申し出から2週間後に雇用が終了する」とされており、退職する場合は2週間前までには企業に伝えないといけません。
業務の引き継ぎや有給休暇消化を踏まえると、1~3カ月前に退職の意思を伝えることが一般的とされており、現実的には異動先での退職・転職ということになってしまうでしょう。
そのため、「いったんは人事異動を受け入れて異動先で働いてみる」「実際に働いてみて、やっぱり合わないと思ったら転職を視野に入れる」など、冷静に見極めるのも一つの手です。
また、この異動が期間を限定したもので、「元の部署や勤務地に戻れる可能性がある」「異動願いを受け入れてもらえる可能性がある」場合もあるため、上司などに相談してみるのも良いでしょう。
退職前からやっておくべきこと
退職の意思が固まっても、すぐに退職するのは避けるようにしましょう。まずは転職先の選定など、退職後のことを見据えた準備を始めます。
例えば転職サービスを利用して転職先を探しておく、キャリアカウンセリングで相談するなどの準備をしておけば、退職後もスムーズに次の仕事に就ける可能性が高くなります。
その場の勢いで「仕事を辞める」ことに気持ちが行き過ぎてしまうこともあるかもしれませんが、退職を人生のプラス要素にできるようにしっかり準備をしておくことが重要です。
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人事異動はキャリアを振り返り、将来を考えるチャンス
「異動が嫌」だからといって勢いだけで転職を決めてしまうのは、あまりおすすめできません。実際、異動してみたら「意外と周囲とうまくやっていけた」「新たなスキルが身に付いた」「キャリアアップできた」「良い人間関係に恵まれた」ということもあるものです。
転職したとしても、その会社でまた異動や転勤を命じられることもあり得ます。人事異動を機に、自分のキャリアを振り返り、将来についてあらためて考えてみるのは有益なことですが、転職や退職など行動に移す前には十分に検討してみてください。
検討した結果、「転職する」と決意したら、自分が仕事をするうえで大切にしたいこと(仕事内容/勤務地/年収/勤務時間/etc.)の優先順位を考え、後悔のない転職をしましょう!
監修者
伊藤 ゆかこ
キャリアコンサルタント
oriiro career代表
大学院で心理学研究に従事後、新卒では技術者派遣のコーディネーターとして、スタッフの登録面談や求人紹介などを担当。その後事務職を経て、2018年に人材紹介業に転身し、複数社で第二新卒から50代の役員クラスまで幅広い世代の転職支援並びに企業の採用支援を行う。
2024年に個人事業主としてoriiro careerを立ち上げ、20代〜50代まで幅広い年代の転職支援・キャリア相談を行うほか、大学での就職支援や仕事に関するノウハウをnoteで発信。また、ライターとしてHR領域のオウンドメディアの記事執筆も行う。
マイナビ転職 編集部
≪人事異動にまつわる質問・トラブル対処法≫
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