退職を伝えるタイミングはいつ? 上司へのスマートな伝え方ハウツー
更新日:2024/04/01
記事のまとめ(要約)
- 退職を伝えるタイミングは、繁忙期や人事異動直後を避ける
- 退職の1~3カ月前に直属の上司に伝える
- 退職理由はポジティブに言い換える。不平不満はNG
- 同僚・取引先への伝え方は上司と相談し決める
- 「引き留め」「話を聞いてもらえない」など、パターン別対応例あり
「会社を辞める決意をしたが、上司にいつ、どのように伝えるべき?」「正直に退職理由を言っていいものか」「退職願の書き方や提出のタイミングは?」「そもそも退職の仕方が分からない」。
そんな悩める人たちへ向けて、上司に退職を伝える方法や時期、切り出し方、トラブルにならない退職理由の伝え方などを伝授します。
その1. 退職を伝える時期・タイミング
退職を決意したからといって、自分の都合でいつでも上司に伝えていいわけではありません。退職を伝える時期やタイミングについては、どのような配慮が必要なのでしょうか。
退職を伝える時期は繁忙期以外に
退職者が増えるシーズンは、一般的に年末の12月と年度末の3月。退職を年度の区切り目に合わせることで、引き継ぎの作業を社内・社外的にスムーズに進めることができるからです。
退職を切り出すタイミングとして避けたいのが“繁忙期”。猫の手も借りたい時期に「係長、お話しがあります。私、来月をもちまして……」と退職を切り出しても、「今は忙しいからまたにして!」と、取りあってもらえない可能性があります。
よって、上司の都合がつきやすく、気持ちに余裕がある“閑散期”のタイミングを選んで退職を伝えるのが正解。
また、大きなプロジェクトの途中や人事異動をした後も、退職を伝えるタイミングとしては好ましくありません。大任を引き受けた後は、辞めにくくなるうえに引き継ぎも困難になるからです。
プロジェクトが終了した直後、人事異動が内示された直後は、引き継ぎも比較的しやすいので、退職を伝えるにはベストタイミング。
ただし、この時点ではまだ退職する旨を同僚たちに話さないようにしましょう。思わぬうわさが立ってしまった場合、円満退職への道が遠のいてしまうかもしれないからです。
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退職の1〜3カ月前に直属の上司にアポを取る
退職の意思表示のタイミングは、会社の就業規則により異なるので、自社規則を確認したうえで「退職日の1〜3カ月前」に伝えるのが一般的です。
まずは口頭で「今後のことでお話しがあります。お時間をいただけないでしょうか」と、直属の上司にアポを取りましょう。
この時、直属の上司以外にアポを取るのはマナー違反。「大事な話が、自分を飛び越えてやりとりされた」と直属の上司の気分を損なうことになり、そのことが原因でトラブルが生じてしまうかもしれません。そうなると円満退職の妨げになってしまいます。
たとえ「直属の上司と折り合いが悪い。もっと言うならば、辞めたい根本原因はその直属の上司だ!」という場合でも、組織体系を無視した行動は慎み、順序を踏んで相談しましょう。
その2.退職理由・退職意思の伝え方
上司への退職意思の伝え方にもコツがあります。3つのポイントを解説します。
退職理由は個人都合が鉄則!
退職理由を尋ねられた場合、会社に対する不平不満を述べるのは厳禁です。「不満要素を改善するから辞めないでくれ」と、引き留めの口実を作ってしまうことになります。
また、会社への不平不満をぶちまけて上司の気分を害してしまっても何の得にもなりません。退職理由はあくまでも個人的な理由を伝えるのが鉄則であると念頭に置きましょう。
退職への固い意志を表明する
退職への固い意志を表明することも重要です。
しかし、だからといって「誰が何と言おうと会社を辞めます」「○月○日までには絶対に辞めます」など、取り付く島もないような断言や一方的な言い方をするのはNG。
上司の心証を悪くすることがないよう注意してください。
ネガティブな理由は伝えることは避ける
退職理由はポジティブに言い換えて伝えましょう。「今後はこの分野でこんな仕事をしていきたい」という気持ちを正直に伝えつつ、退職の時期は「○月までに退職を考えています」と、会社に相談するような表現で伝えるのがベストです。
辞めたい原因が何であれ、円満退職のためにも、「お世話になったのですが」とまずは上司や会社を敬う言葉を述べ、丁寧かつ落ち着いた表現で退職したい旨を伝えます。
その3.同僚や取引先への退職の伝え方
同僚や取引先へ退職を伝えるにも順序やマナーがあります。
同僚への伝え方
同僚に退職を伝える時期は、上司と相談したうえで決めましょう。トラブルを避けるため、上司よりも先に同僚へ退職の話をすることはやめましょう。
取引先・社外への伝え方
取引先など社外へ向けて退職を伝える時期は、後任が決まったタイミングとするのが一般的です。退職メールを送るのか、直接出向いてあいさつするのかについては、上司や先輩に相談して決めると良いでしょう。
社内でも社外でも、必要な引き継ぎはしっかりと行い、感謝の気持ちもあわせて伝え、周囲との信頼関係を損なうことがないよう留意します。
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その4. こんな場合はどうする? パターン別対応例
退職を伝えた際、相手の予想外の反応に困ってしまうこともあるかもしれません。そうした場合も適切に行動できるよう、想定できるパターン別に対応例を解説します。
「引き留められた時」
「君は会社にとって必要な人間だ」と引き留められたら、一瞬でほだされてしまいます。しかし次の転職先がすでに決定している場合は、退職を考え直したり、退職日を延ばしたりする暇はないはず。
まずは今いる会社を辞めることが先決なので、必要とされていることに感謝の言葉を述べたうえで、毅然とした態度で意思表示をしましょう。
【例文】
身に余るお言葉、誠にありがとうございます。しかし、自分なりに何度も検討を重ねた結論であり、ご理解いただければ幸いです。
「話を聞いてもらえなかった時」
直属の上司に話を切り出し、退職の件と分かったうえで聞いてもらえなかった場合には、上司の上司に持ち掛けてみましょう。それでも話が進まなければ、社内の人事担当部署や労働基準監督署に相談してみてください。
なお、民法第627条では、一般の正社員は退職の意志を伝えた日の2週間後には辞められると規定されています。法的にいえば、会社側が退職を拒否することはできません。
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「競合への転職の場合」
会社を辞めたいと伝えた時、ありがちなのが「転職先は決まっているのか」という問い。転職先を伝えるのも伝えないのも本人の自由ですが、円満退職を願うならば、「これから探します」と上手にはぐらかして明言を避けるのが無難です。
特に競合他社に転職する場合は、今いる会社の機密事項や知的財産が流出することが何よりも懸念されます。社会人としてのルールやマナーを守って転職することは当然ですが、あらぬうわさが広がることを避けるために、不安要素はなるべくつくらないようにして退職準備を進めましょう。
【例文】
転職先はまだ決まっておりません。学生時代から簿記の資格取得にチャレンジしてみたい気持ちがあったため、しばらくは学びの時間を確保しながら次の仕事を考えたいと思っています。
「あっさり受け入れられた場合」
特に引き留められもせず、「辞めたい? あ、そう」とあっさり退職を受け入れられてしまったら……。
一抹の寂しさを感じたとしても「無駄にもめなくてすんだ。時短で辞めることができる」とポジティブな気持ちに切り替えて、その状況を喜びましょう。そして、次こそ「必要とされる人材」として活躍すればいいのです。
その5. いよいよ「退職願」を作成・提出
会社を辞める時、書面の退職願は必ず要るわけではなく、口頭で伝えるだけでも構わないとされています。ただし、会社規則や慣習にもよるため、上司に退職願は必要か確認しておきましょう。
退職願はパソコンでも手書きでも、どちらの書式でもOKです。ちなみに「退職願」は自己都合で退職する場合の呼称です。会社都合の退職や、退職が確定した後に届け出る際は「退職届」、役職のある方や公務員の退職では「辞表」となるので状況によって使い分けましょう。
退職願の記入ポイント
会社に退職願のフォーマットがあれば、順に記入していきます。フォーマットがなければ、白地の用紙に縦書きで「退職理由・退職日・退職願を記入した日付・署名・捺印」を記します。
当たり前ですが、鉛筆や消せるボールペンなど消しゴムで消せるような筆記具での記述、または修正テープでの修正は御法度です。
宛名は社長名。退職理由は「一身上の都合により退職させていただきます」とし、余計な言葉は書かないこと。くれぐれも恨みつらみや「ポエムか!」というような感傷的な内容にならないように。また、退職日は上司と決めた日を記します。
封筒も白地とし、表には『退職願』と記します。裏側には名前と部署を明記。最後に誤字・脱字、捺印が丁寧に押せているかを確認しましょう。念のために、退職願のコピーを控えとして持っておくと良いでしょう。
退職願の渡し方
退職願を提出する時期についても、就業規則に定められていることがあるため確認しておきましょう。一般的には、退職日の1カ月~2カ月前、遅くとも2週間前までに直属の上司に直接手渡すとされていることが多いようです。
退職願を提出する日が来たら、厳粛な面持ちで上司の前に移動し、「退職させていただく決心をいたしました」と、サッと内ポケットから退職願を取り出すなど、人目に付かないように渡しましょう。
上司が離席中に、机の上にポンと置いてそのまま会社を去る…… なんてドラマのワンシーンのようなことはNG。本当にやってしまっては「非常識な人」というレッテルを貼られてしまうかもしれません。
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まとめ
退職は、次なるステージの扉を開ける重要な通過点。円満に会社を辞めてスムーズに新環境へとシフトチェンジするためには、「退職の心得」のほかに「上司の心理」を読み解くことが何よりも大切なのです。あくまでもスマートな退職を実現してくださいね。
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