館内中央の吹き抜け空間では国内外アーティストの作品を展示。上の写真はダニエル・ビュレン「ムクドリの飛行のように―GINZA SIXにて」(2018年/© DB - ADAGP, Paris & JASPAR, Tokyo, 2018 G1226)
銀座の新たなシンボルとして6丁目に誕生した複合商業施設「GINZA SIX」が2018年4月に開業1周年を迎え、国内外からの来館者数が2千万人を超えた。「ここにしかないもの、ここでしか味わえない体験」の提供を目指し、世界的ブランドを含む241店舗のほか、屋上庭園や観世能楽堂、アート展示、ツーリストサービスセンターなども配して展開している。
「GINZA SIXは、『世界のGINZA』の文化発信拠点を目指してつくられました」と、プロジェクトに早くからかかわってきた水鳥川さんは語る。森ビルから出向し、現在は同施設の運営を担うGINZA SIX リテールマネジメントに籍を置く。
「父が都市開発に携わっていた影響から、街をつくり上げ、そこに集まる人が幸せになるという、そんな仕事に自分も就きたいと思って森ビルに入社しました」。社長室業務を経て六本木ヒルズのタウンマネジメントなどを経験し、今回の銀座6丁目再開発事業の担当部署へ異動。今から約8年前のことである。
「街づくりはつくって終わりではなく、街自体が魅力的になるよう都市を育んでいくことが大切なんだと学んできました。日本の中心地である銀座に新たな価値を創り出すという大掛かりな事業に、一から携われることになってすごくワクワクしました」
水鳥川さんが最も力を注いだと振り返るのは、再開発に参加する森ビル、J.フロント リテイリング、Lキャタルトン リアルエステート、住友商事という業種の違う4社で行った数年にわたる協議だ。4社の異なる強みを生かしてどう一体の施設をつくるか、どんな商業施設にするか、銀座をどう進化させていくかなど話し合いには多くの時間を掛けた。各社の担当者が週1で集まって5、6時間協議。コンセプトづくりのために数日間、終日会議室にこもって話し合うこともあったという。
「各社違った企業文化を持つ4社なので、重視するものが異なるんです。そこで国内外の視察に一緒に出掛けて行ったり、有識者と勉強会を重ねたりと、物事を見る目線をそろえて共通言語や価値観を育てていきました。心掛けたのは常に説明を丁寧に行い、社を背負う担当者それぞれが求めるものを考えること。ただ、『これまでにない最高の施設をつくりたい』という思いは一緒だったので、最終的に一つになれました」
椎名林檎さんが楽曲の制作を担当してトータス松本さんとデュエットした、GINZA SIX スペシャルムービー「メインストリート」編
開業2年目に入った、銀座エリア最大級の複合商業施設「GINZA SIX」。その初期から水鳥川さんはプロジェクトに携わってきた。銀座では施設の開発を行う場合、銀座の街との話し合いが必要で、GINZA SIXについても説明に何度も足を運んだという。
「GINZA SIXには中央通りに面して複数のラグジュアリーブランドが並んで入ることになり、各ブランドが独自でファサード(外観)をデザインすることになりました。そこで銀座街づくり会議と事業者で『デザイン懇談会』を立ち上げ、各ブランドごとにデザイン責任者をお連れして意見交換したんです。『特別な場所』銀座を長く支えている方たちと、日本一の旗艦店づくりに力を込めている一流ブランドの担当者たち。考えが異なることもありましたが、双方の思いや背景を理解しながら丁寧に説明し、できることを探りました」
そうしてもう一つ、水鳥川さんの開業までの大仕事がオープニングのプロモーションだった。単なる商業施設ではないGINZA SIXの魅力や、銀座を世界にプレゼンテーションしていくという思い、そして「新しいラグジュアリー」というテーマをどうしたら伝えられるか、ギリギリまで議論を重ね、具体的な案が固まったのは開業2カ月前だったという。
「時間との闘いで夢に見ることもありましたが、クオリティーには最後の最後までこだわりました。個人的にはオープニング用のCM動画に思い入れがあります。新しい銀座を象徴する歌で世界にアピ―ルできるよう、楽曲を椎名林檎さんに依頼しました。出来上がった映像は90秒の映画のようで、携わった皆の想(おも)いが凝縮されたものになったと思います」
開業前のオープニングレセプションにはたくさんの人や来賓が訪れ、海外40カ国に報道されて観光客が来店するきっかけづくりにもなった。水鳥川さんは「開業日は人の波とやることがあまりにも多くて感動しているどころではなかった」と笑う。
「無事開業できたことはもちろん、かかわった多くの方たちと一緒に喜べる仕事ができて本当にうれしいです。今回はいろいろな立場の方と仕事をし、その難しさと楽しさを経験して、さまざまな視点からものを考えることがいかに大切かを学びました。街をつくり育てる仕事は世の中に対してインパクトが大きく、そこで何をどう伝えられるか、視野を広げて考えていきたいです」
いつも身につけているブレスレット
以前、地方の複合施設開発を担当したことがあったのですが、それが完成した時に自分へのご褒美として購入したものです。いつも身につけていられるものが欲しいと思い、ブレスレットを初めて買いました。これを見ると「あの時頑張ったなぁ」という思いがよみがえり、「今の仕事も頑張ろう」と気持ちを新たにできるんです。
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