防水や保温など機能性が高く、おしゃれでリーズナブルな作業服は、アウトドアや日常着に応用して一般の人にもウケている
作業服などの専門店チェーン「ワークマン」の新業態店舗「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」が躍進している。建築や工事現場で使われるプロ仕様の商品を応用したアウトドア衣料やスポーツウエアなどが、防水、防寒といった機能面で優れていながらも、デザイン性が高く価格も手頃と一般の人に人気を得ているのだ。
「こんな展開になるとは想像もしていませんでした」と笑顔で語る林さん。現在、販売促進グループマネジャーとして全国の店舗の販促に加え、CMやSNS、メディア対応など広報の役割も担っている。そしてワークマンプラス立ち上げ時メンバーの一人でもある。
大学時代、衣料品の小売りのアルバイトをして販売の面白さを知ったという林さん。ワークマンに入社したのは同社が東海地方に店舗展開を始めた時期だ。「僕は岐阜県出身なんですが、それまで知らなかったワークマンを身近に見て、その勢いや熱さに引かれたんです」
入社1年目からいきなり直営店の店長となり、体当たりで仕入れや販売に取り組んで、翌年から約10年間は、フランチャイズ各店への販売アドバイスを担った。そんななかで、いつも突き当たる壁があった。それは一般の人への知名度の低さ。「印象深いのは店舗開発部にいた数年前、九州に赴任した時のことです。出店したい土地を見つけても、地主に話を聞いてももらえない。うちは作業服では一番手で、当時全国700店舗に手が届きそうな規模だったのに。だからもっと会社の知名度を上げなければと、現在の部署への異動を志望しました」
それが3年前、ちょうどワークマンが変わろうとしていたころだった。「専務と話していた時、『もし千店舗を達成したら、うちはそこで頭打ちだ』と言われたんです。なぜなら職人さんの数には限りがあり、飽和状態になるからと」。それを打破して売り上げを伸ばすには、ワークマンのファンを職人以外にも増やすしかない。
そんな時、バイク乗りがワークマンの防水防寒着を愛用したり、厨房用の滑らない靴に妊婦が注目したりと、機能性に優れた同社商品の話題がSNSを中心に広がり始めていた。ワークマンは店舗数が多く一度にたくさん製造できるため、アウトドアのブランド品などに比べて低価格が実現できる強みもあった。
この機に一般の人も来やすい店を作ろうと、会社は勝負に出る。それがショッピングセンターへのワークマンプラスの出店。「認知度を上げる絶好の機会。失敗は絶対したくなかったです」
「過酷ファッションショー」。大雨にも負けないという防水性をアピールするため、降水機で雨を降らせた
2018年9月、作業服チェーンのワークマンは東京・立川のショッピングセンターに、カジュアルウエアなどが充実した新業態のワークマンプラス1号店をオープンさせる。その初日、販売促進グループマネジャーの林さんは「ぼちぼちでもお客さんが来てくれたら」と考えていたという。すると目に入ったのは遠くから音を立てて走ってくる人の波。
「どこかでイベントか? と思ったら、うちに来店する人たちで驚きました」。結果、この日のセールスは既存のワークマンのオープン時に比べて約2・5倍を記録。これ以降も好調で、その売り上げ報告に社内は驚愕(きょうがく)の渦となる。新たな試みで手探り状態だったため、会社としては4年赤字も覚悟していたのだ。
「本当にうれしかったですね。オープンに先駆けて準備も多く大変だったので」。例えば今までの店舗はマネキンもなく倉庫のような感じだったが、それをカジュアル衣料品店のような商品展示にしたり、撥水(はっすい)や防水などの機能を素人のお客さんにも分かりやすく説明できるようスタッフを教育したり。
また、広報を担う林さんは宣伝のためのメディア戦略にも力を注いだ。「これまでは業界紙しか付き合いがなかったのですが、テレビやネットなど幅広く声を掛け、多くのメディアの方に内覧会に参加していただきました」
そしてSNSも駆使。アウトドア分野で影響力のあるインフルエンサーを社内に招き、商品に対する意見を聞いたりした。また更に、新商品発表会で「過酷ファッションショー」も開催。降水機や降雪機で荒天を再現し、嵐のような「過酷」な状態を会場に作って防水や防寒などの機能性をアピールした。
こうした努力が実を結び、優れた機能性を持ちながらも安価な同社商品の魅力は広く伝わって、女性誌でも紹介されるまでになった。現在、ワークマンプラスは約160店舗。ワークマンでは今後、新店舗をすべてワークマンプラスの業態にするという。
今、会社は第二の創業期のようで、忙しくもやりがいがあると林さん。ただ、好調な時ほど足元を固め、さまざまなアクシデントや新たな展開に備えなければならないと語る。「欠品が出ない物流システムや在庫調整、店内オペレーションの見直しなど課題は山積みです。とはいえ、これからも機能性の高い作業服を開発していくことに変わりはありません。多くの方に喜ばれる優れた製品を地道に作り続けていきます」
愛犬の写真
12歳になる愛犬、チワワの「マニちゃん」です。もうね、めちゃくちゃ可愛いんですよ。ツンデレの性格で僕も妻もメロメロ。スマホで撮った写真を通勤の際や仕事で疲れた時、何かに行き詰まった時など始終眺めて和んでいます。
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