好きなことにも向き不向きはある
小島:僕たちが初めて出会ったのは2008年、バラエティー番組のロケでした。
さかな:はい! 早朝からわざわざ千葉の館山まで来てくださいました! その前からテレビで拝見していて、全身で笑いのパワーを届けてくださる小島さんを大尊敬していたのでギョギョ感動でした。
小島:さかなクンは裏表がまったくないし、何より一緒にいて楽しいんですよね。
さかな:ギョエー! うれしい。
小島:ただ、さかなクンの人生を意外にまだきちんと聞いていないような。
さかな:ギョギョ! そうでしたか。お魚との出会いは小2の時です。友達が描いたタコを見て感動し、本物が見たくて水族館や海に行って一気にお魚にのめり込みました。学校でも勉強そっちのけでお魚図鑑を見て絵を描いていたので、中学のころからあだ名は「さかなクン」でした。
小島:へえ。じゃあもうそのころから将来はお魚関連へって決めていたんですか?
さかな:はい♫ 学生の時は水族館で実習を受けたし、お魚屋さん、熱帯魚屋さん、おすし屋さんで働いてきました。でも、どこへ行っても失敗ばかりで。
小島:結構挫折を繰り返したんですね。
さかな:でも、すギョいチャンスが訪れました。勤め先のおすし屋さんの大将から「店の壁に魚の絵を描いて」と頼まれ、描いたその絵が評判になってテレビ局からドキュメンタリーを撮りたいという話が舞い込み、更にその番組を見た今の所属事務所からお声が掛かったんです。
小島:ピーヤ、そんなことがあるんだね。
さかな:そうなんです!! 事務所に入ったら今度は社長が「静岡のテレビ番組でリポーターをやってみないか?」と。
小島:初リポートはどうでしたか?
さかな:目が泳いじゃって全然ダメでした。でもその時、社長に「カメラのレンズの向こうにいる、魚の話を聞きたい人たちに向かって話すように」と言われ、すギョく奮い立ったんです。それ以来、どんなお仕事でも「自分がお魚を好きだという気持ちをそのまま伝えよう」と心掛けるようになりました。
小島:なるほど。ところでトレードマークのハコフグの帽子はいつから?
さかな:01年に「どうぶつ奇想天外!」という番組に出るようになってから。今年でちょうど20年目です。
固執せず、自分の特性が生かせる土俵へ
小島:僕は子供のころから目立ちたがり屋で、生徒会長や学級委員長をやったり、帰りの会でコントをしたり。
さかな:すギョい! そのころからお笑い芸人を目指していたのですか?
小島:そう。でも、本格的に始めたのは大学でお笑いサークルに入ってから。その中のメンバー5人で結成したグループで5年近くプロとして活動。みんな熱量が半端なくて、濃厚な5年間でしたね。
さかな:ピン芸人になられたのは?
小島:グループを解散してすぐ。メンバーの一人が前から知り合いだった今の所属事務所のマネジャーと街で遭遇し、「興味ある人がいれば、うちに来ないか」と声を掛けてくれたのがきっかけです。
さかな:すばらしいです♫ ブレークされたのは?
小島:ピンになって3カ月後に「そんなの関係ねぇ!」のギャグができたんです。先輩に誘われて行ったクラブでネタが全然ウケなくて、どうにかしなくちゃと思って出てきたのがリズムつきの「(ウケなくても)そんなの関係ねぇ」。どっとウケて笑い声が響き渡り盛り上がりました。
さかな:あのフレーズ♫ 瞬発的に生まれたのですね。さすが小島さん、すギョい!
小島:そこからオーディションを受けるようになり、テレビ番組にも出していただけるようになりました。裸でこのギャグをやり出したのもこのころです。
さかな:人気に火がつき、すギョかったですね!! 全国のお子さんたちがみんな「そんなの関係ねぇ!」と叫んでました。
小島:夢のようでした。ただ、どの現場でもうまく立ち回れなかったので、うれしいと同時に挫折感も味わいましたね。
さかな:ギョギョ。どういうことです?
小島:バラエティーに出てもロケへ行っても何の爪痕も残せず、番組の力になれないことが多かったんです。そのうち同じようなリズムネタの後輩が出てきて何となく一発屋的な扱われ方もし始めて。
さかな:そんなギョ苦労があったとは!
小島:そんななか、自分は何を強みにすればいいのかと悩んでいたら、ある先輩が「子供向けのライブをやったら」と。それで踏ん切りがつきました。今いる場所に固執せず、自分の特性が生かせる土俵へ移動し、勝負することにしました。
(続きは10月30日(金)公開の後編で)
リーダーが語る、アシタを開く言葉
さかなクン
「お魚パワーでみんな元気」
ギョギョ!! いつもお魚からものすギョくたくさんのパワーをいただいています。お魚さんたちからもらったパワーをお届けして、みんなで元気になりたいです。
小島よしおさん
「オール・ハッピー・ピープル」
1日24時間、人生だって100年しかないんだから、それをわざわざ暗い気持ちで過ごすことはないと思います。みんなでハッピーになりたいです。
さかなクン
東京都生まれ、館山市在住。東京海洋大学名誉博士/客員准教授、画家。さまざまな形で魚や海洋に関する情報や知識の普及・啓発活動を行っている。2011年、農林水産省「お魚大使」、12年文部科学省「日本ユネスコ国内委員会広報大使」に任命。『朝日小学生新聞』でイラストコラムを連載中。著書に『さかなクンの一魚一会』など多数。今年6月、ユーチューブ「さかなクンちゃんねる」を開設。
小島よしお
1980年沖縄県生まれ、千葉県育ち。お笑いタレント。早稲田大学教育学部卒業。在学中からお笑い芸人として活動を開始し、2007年「そんなの関係ねえ!」で大ブレイク。その年の流行語大賞にノミネートされる。著書に『小島よしおのとけいドリル』『キッズのココロわしづかみ術』など。ユーチューブ「おっぱっぴー小学校」「ピーヤの休日」が大人気。
※10月24日(土)からそれぞれのYouTubeチャンネルにてコラボ中。