

副業の平均月収は「5万9,782円」。希望と実態のギャップは「7万2,764円」で半分に届かず
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政府によるモデル就業規則の改定を契機に企業の副業解禁の流れが広まってから3年、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用情勢の不安定化もあり、企業が社員の副業を認める流れが加速しています。働き手側でも、テレワークの導入による余暇時間の増加や、収入減少、将来不安などを理由に、以前よりも副業に関心を持つ人が増えてきているようです。
そこで、マイナビ転職では、副業経験または副業意向がある会社員・公務員800名を対象に、副業のきっかけや実際の収入、副業をして感じていることなど、気になる実態を調べました。
※調査対象は、3年以内副業経験、または副業意向がある20代から50代の会社員(正社員)・公務員800人。WEB調査で2020年11月13日(金)~11月16日(月)までに行ったアンケート調査結果を基にしています。
副業を始めたいと思った理由は「金銭的不足・不安」が圧倒的多数
まず初めに「副業を始めたいと思った理由」について聞きました。最も回答が多かったのは「お小遣い・趣味に使える収入を増やしたいから」(52.8%)。年代別で見ると20代は特に多く、62.0%に上りました。社会人としての年次が浅く、ほかの年代よりも給与が低い20代ならではの事情が伺えます。
2位と3位には、「将来への備え・貯金を増やしたいから」(48.3%)、「将来の収入への不安を感じたから」(40.4%)とこちらも、金銭的な不安に関するものがランクイン。自身の収入減少や新型コロナの影響による雇用情勢悪化のニュースが耳に入ってくるなか、「何かしなければ」という危機感から副業を意識する人が増えているのでしょう。
一方で、「スキル・経験を身に付けたいから」(22.8%)、「生きがい、ライフワークを見つけたいから」(22.1%)は、全体の2割程度にとどまっています。副業をキャリアップの手段として意識している人は、比較的少ないようです。

副業で得たい収入と実際に得ている収入のギャップは、月額約7万円
金銭的不安を解消する手段として始める人が多い副業。具体的にどのくらいの収入を得たいと考えているのでしょうか。副業経験者の回答を見ると、副業で得たい収入の平均は月額13万2,546円でした。ボリュームゾーンは「~5万円」(31.3%)、「~10万円」(28.2%)となっています。
しかし、実際に副業で得ている金額は、平均5万9,782円という結果に。希望金額13万2,546円の半分に満たず、7万2,764円も下回りました。
実際の金額のボリュームゾーンを見ていくと、「3万円以下」が47.2%と約半数を占めています。「~5万円」(21.1%)の層も含めると、7割近くに。このことからも、副業で得たい金額と実際に得ている金額には、大きなギャップがあると言えます。

希望するほどの収入は得られなくても副業に満足?
続いて、副業経験者に副業の満足度を聞いたところ、「満足」の回答が65.6%。「どちらとも言えない」が27.8%。「不満足」はわずか6.7%という結果に。希望するほどの収入が得られていなくとも、多くの人が副業には満足しているという、意外な実態が見えてきました。

では、どのような点に満足しているのでしょうか。実際に副業をやってみて感じたことして、「視野が広がった」(29.2%)という回答を筆頭に、「人脈が広がった」(23.9%)、「やりがいを感じた」(23.9%)など、精神的充足感を伺える回答が上位に入っています。
一方、「時間のやりくり、管理が難しいと思った」(25.4%)も上位に。副業に満足していない人だけで見ると3割を超える結果となりました。同じく副業に満足していない人の回答では「体力的にきついと思った」(27.8%)を挙げる人も多く、この両者が副業に対する満足度に影響していることが分かります。

「現在の本業では副業でやりたいことが実現できない」と答えた人が4割以上
本業と副業の両立には大変な一面もあることが分かりました。ならば、副業でやりたいことが本業でもかなうならば、負担は少ないはずです。そこで、副業でやりたいことを本業で実現できるか聞いてみたところ、42.5%が「実現できない」と回答。「実現できる」は36.6%、「分からない」は20.9%でした。

本業では実現できないと思う人がネックに感じていることとして、
<収入面>
- 昇給制度がない(40代)
- 今の勤め先では収入アップが期待できない(30代)
- 会社の業績が良くなる見込みがないから(50代)
<その他>
- 勤め先の事業内容とやりたいことが違う(20代)
- 決定権がない(30代)
- 上長に理解してもらえない(30代)
- 大企業であるが故のスピード感の遅さ、失敗が許されない雰囲気(20代)
- 定年後も続けられる仕事を求めているから(30代)
という声が挙がりました。会社の制度やビジネス領域が障壁になる場合は、実現が難しいと感じるのも無理がないかもしれません。
20代の4割以上が「副業でやりたいことは転職でも実現可能」
現在の勤め先での実現が難しいのならば、転職したら実現できる可能性はあるのでしょうか。副業でやりたいことを転職で実現できそうか聞いてみると、「転職でなら実現できる」の回答が33.5%。一方、「転職しても実現できない」は、22.8%でした。
年代別に見てみると、20代は「実現できる」の回答が多く43.5%と4割を超えています。上の年代よりも転職への抵抗感が薄いことや年齢的にキャリアチェンジしやすいことから、転職で実現できると考える人が多いのかもしれません。

「転職で実現できる」と回答した人のフリーアンサーを見ると、
- 転職によって収入アップは可能だと思う(20代)
- 現在全国規模の大企業に勤めている。地域貢献の副業を行っているが、地域の企業に転職すればより地域に密着した仕事ができると思う(30代)
- レストランでのサービスなど接客業をしたい。資格が必要なものではないから転職すれば可能(50代)
- 自分が持ちうるスキルや資格をもって求人があるから(40代)
と、転職によって収入改善や新しい仕事に挑戦することが可能と考えていることが分かります。「実現できない」と回答した人のフリーアンサーは、次のようなものが挙がりました。
- 食べていけるほどの収入が見込めないため(20代)
- やりたいことは年収が低い業界のビジネスなので、転職するのは難しい(20代)
- 自分のスキル、年齢、実力を考えると転職しても今以上の収入になる事はない(40代)
- 今から仕事を変える勇気がない(50代)
- 今の職場は福利厚生がしっかりしている。転職すると今以上の条件を望めない(50代)
- あくまで仕事ではなく副業としてやりたい(20代)
- 誰にも縛られず自分の思うようにやりたいから(20代)
「実現できない理由」としても、収入面を挙げる声や、今の会社で得ている待遇や福利厚生を手放したくないという声が見てとれます。いくらやりたいことでも、生計手段として今の勤め先以上のメリットがないと本業にはできないという、シビアな仕事観があるのかもしれません。
本業に満足していても副業をしたい人が6割以上。本業と副業は別もの?
副業は収入補填だけではなく、精神的充足感にもつながっていると分かった今回の調査。最後に、本業に満足していても副業をやりたいかを聞いたところ、「本業に満足していても、副業をやりたい」という回答が65.4%と6割を超えました。対して、「分からない」(18.1%)、「やりたくない」(16.5%)はいずれも2割以下にとどまっています。副業は本業とは別の位置付けのものとして、やってみたいと考えている人が多いと言えます。

今回の調査で、副業経験者のなかには、金銭的な不安がきっかけで副業を始める人が多いものの、求めているほどの収入を得ることは難しいという実態が分かりました。現状では、副業だけで収入を補填し、将来の不安を解消していくのは容易ではないかもしれません。
しかし一方で、副業を通じて「視野が広がった」「人脈が広がった」など、ポジティブな刺激を受けているという声も。たとえ大きな収入に結び付かずとも、仕事の価値観を広げ、今後のキャリア形成を考えるきっかけとして副業経験が有意義なものであることは間違いなさそうです。
今後も副業をする働き手が増えていくことを考えると、企業側としては、副業によって培われた社員のスキルや知見を本業に還元していく仕組みを整備しておくことが、求められるかもしれません。
マイナビ転職 編集部
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【調査概要】マイナビ転職『副業に関する意識調査』
調査期間:2020年11月13日(金)~11月16日(月)
調査方法:3年以内副業経験、または副業意向がある会社員(正社員)・公務員を対象にWEB調査を実施
有効回答数:800名(内訳:20歳~59歳の年代ごとに200名)
※グラフの内訳は端数四捨五入の関係で合計数値と合わない場合があります
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【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社マイナビ
転職情報事業本部 サイト戦略広報部 ブランド推進課
Email:mt-brand@mynavi.jp
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